【Shi-Ba】見よ！ これが我が家のジョーシキ ＆ ヒジョーシキ（その２）

取材協力

東京都　溝口ガム（メス・1歳）

元気いっぱいで、オモチャを与えるとすぐ壊してしまうが、空気も読める。「外で友達犬と遊んでいても、小さい犬にも優しいです」と奥様の彩英子さんは、誇らしげに語る。

東京都　河本レン（オス・3歳）

事情により飼えなくなった前の飼い主さんから譲り受けた。まだ河本家に来て間もないが、家族との関係は良好。奥様の幸江さんは「徐々に心を開くようになって嬉しい」という。

神奈川県　伊藤まる（オス・1歳）

一日100回は、まるのことを「かわいい」と言う伊藤家。父の正一さん、母の順子さん、長男の稜真さんが、取材に協力してくれたが、全員から「まる大好き！」というオーラが……！

千葉県　山守もなか（メス・3歳）あんこ（メス・2歳）

もなかもあんこも、すごく人懐っこい。もなかは、何か悟ってるんじゃないかと思うくらい、穏やかな目をしている。2匹とも換毛期は毛がたくさん抜けるので、掃除が大変。

特集内定義

【ジョーシキ】とは？

少数派だと自覚しつつも普段の生活でよく愛犬にやっていることを、本特集ではジョーシキと呼ぶ。どんなことをみんなやっているのだろう。

【ヒジョーシキ】とは？

非常識とは「常識から外れていること」だが、本特集では家族の数人がすること、たまにやること、意識的にやらないことをヒジョーシキと呼ぶ。

みんな違ってみんないい？ ジョーシキとは、なんなのだろうか

「このヒジョーシキものが！」と叱られた経験、みなさんはあるだろうか？ 特に学生が社会人になったら、こういうことはよく起こる。
本特集ライターも、ビジネスメールに絵文字を入れたりして、よく雷を落とされた。当時は叱られる度に「ジョーシキって難しいな」と思った。

何が言いたいかというと、自分ではジョーシキだと思っていることも、他人にはヒジョーシキな場合もあるということ。それは犬の飼い方、接し方にも当てはまるんじゃないか。現に、本誌スタッフにも“ちょっと変わったこと”を取材中にしていたりする人たちがいる（詳しくは追ってご紹介）。

いろいろなお宅を取材すれば面白そうだ。愛犬を讃える歌を千曲自作したとか、一つコマンドを覚えたらお祝いのケーキを焼くとか、というのはさすがにないかもしれないが、それに近いものはあるような気がしないでもない。

とういうことで、読者のジョーシキ、ヒジョーシキを、探ってゆく。

猫じゃらしに注目！

友紀さん「こっち向いて！」
もなか「母ちゃん何やってんの？」
あんこ「見ない方がいいよ」

まず最初に紹介したいのは、こちらの写真。もなかとあんこの飼い主、友紀さんは愛犬の写真を撮るのが好き。2匹の隣に鎮座する、柴犬グッズの量にも驚かされる。だが、もっと面白いのは、カメラ目線をもらうために、自分の髪に猫じゃらしを挟み、愛犬の注意を引いていることだ。「え！ これって変ですか？」と友紀さん。でもこれ、かなり使えるテクかも! ?

かわいく撮ってね

我が家の【ヒジョーシキ】遊び編

たまにしかやらないことや、初めてのことって結構楽しい。たとえヒジョーシキなことであっても、犬たちは遊びを楽しんでいるようだ。

そうか。考えてみれば、雑誌の撮影は「普段起こらないこと」という意味では、犬にも飼い主にもフツーではない事態。ハッスルしてくれたのか、ヒジョーシキなことがいくつか起こった。

まるは、ボール遊びが好きで、たまにラグビーボールで遊ぶ。実は稜真さんはラグビー部。ということで（! ?）愛用しているヘッドギアを「絶対かわいいと思うんです」とまるにつけ始めた。「なんだこれ？」という反応だったが、かぶってくれた。なんだかんだ、イレギュラーな事態を楽しんでいる。

普段はラグビーボールで遊ぶだけなのに！

なぜかヘッドギアをかぶされ、ラグビーボールのように、持たれてしまったまる。こんなことはヒジョーシキ！

「かっこいい？」

稜真さん「トライ！」
まる「なにやってんの？」

成功することがヒジョーシキなお遊び

ベルを鳴らすと、オヤツがもらえる遊び。レンはまだ覚えたてなので成功率は低く、たまに成功する。

「今日は成功？」

我が家の【ヒジョーシキ】コミュニケーション編

コミュニケーションの方法は、千差万別。たとえあまり良くない行動でも、愛ゆえに、あるいはやむなく時々やってしまうこともある。

レンは散歩後にはいつもジャーキーをもらえるのだが、この日は撮影ということもあり、幸江さんが与えるのを忘れていた。これはヒジョーシキ。しっかり「忘れてるよ」と目で要求するレン。ジョーシキにこだわる一本気な男……！

ヒジョーシキな事態でも遊べる男

撮影機材に最初は驚く犬もいるが、レンはどこ吹く風。ヒジョーシキな事態でもマイペース。

「僕は強いんだ！」

お客さんに最初は少し警戒。でも慣れてくれ、コミュニケーションをとってくれたレン。

「怪しいなあ」

あれ？ 今日はここで寝る？ 最高に幸せな時間

週末以外リビングではあまり寝転がらないが、一緒にリラックスできるので、2人にとって癒しの時間だ。ガムも横になったら？

「はーいい時間」

もなかとあんこは、普段隣り合って用を足すことはあまりないが、この日はなぜか寄り添ってオシッコ。やがてこのヒジョーシキは、ジョーシキになる！？

男子的コミュニケーション“連れション”は犬も有効！？

珍しく、寄り添い合って排泄をする仲良しなもなか とあんこ。たまにこんな感じで、連れションをする のだそう。これでさらに仲良くなった！？

もなか「フヒー」
あんこ「ふいー」

公園の遊具に登って、上からアイコンタクト

この日は、ちょっと高いところにのぼってみたあんこ。上から飼い主を見つめる、新しい世界。

「ジー いつもと違うなあ」

柴犬ってルーティンが好きなので他の犬種よりも、ジョーシキを重んじるタイプが多いイメージだが、皆さんうまくヒジョーシキな事態に対応しているようだ。

【ジョーシキ ＆ ヒジョーシキ】ちょっといい話

2歳で河本家に来たレン。当初、気を遣っていたのだろう。ケージの中で過ごすのがジョーシキだったが、最近は外に出るように。
「要求吠えも最近するようになって。私は嬉しいんです。やっと自分を出してくれるようになったんだなと」

もう気を遣ってないよ

犬が提案 コレ、【ジョーシキ】にして！

犬が考えてそうな、根付かせたい新ジョーシキを編集部で考えてみた。って、ほとんどが自分勝手なものだなあ。まあ、その素直さが犬の魅力だから、ヨシとしよう！

どれかは採用してね

犬の希望は、やはり至極単純！ 犬をもっと甘やかしてください

犬による犬のための新ジョーシキを勝手に提案してみた。「多分まるは、もっともっとかわいがれって思っている気がします。例えば、一日500回くらいかわいい！ っていうのがフツーになってほしいんじゃないですかね？」と順子さん。

1日5時間は、外で遊びたい！

遊び好きな犬の場合、一日中公園でいたいと思ってる犬も多いはずだ。

もなか「あと3時間！」
あんこ「ちょっとしんどいよー」

なるほど！ でも、柴犬は硬派なところがあるから構われすぎるのは嫌だと思っている犬もいそう。難しいところだ。

拾い食いは1日5回はOK

飼い主が食事中に落とした肉を発見！「何食べたの？」と奪わずに、拾い食いは大目に見て！

彩英子さん「こら！やめなさい」
ガム「うあー！」

あと、家族と一緒に食卓を囲んで、おいしそうな人間用のご飯を一緒に食べる！ というのは、ほとんどの犬が賛同する新ジョーシキだろう。

公園では、枝を献上してくれ！

枝が好きな犬は多い。自ら探すのがめんどうなので飼い主が探して、家に帰りたい時献上してほしい。

「今日はあと十本ね」

今回の取材も、「食事中は足元にずっといます」という犬ばかりだった。他にも「ゴハンは一日5食！」とか「ワンと吠えればオヤツをもらえる」とかは、絶対採用してほしい犬は多いはずだ。

机の下に潜ったら、絶対捕獲禁止！

お手入れや、シャワーなど嫌なことをされそうになったら、机の下へ。ここは、飼い主も入ってはならない新ジョーシキ。

食事つながりで言えば「うちの子は骨が好き！」というお宅が多かったから、「部屋のインテリアは全部骨！ そうしたら、いつでも骨をかじれるじゃん！」って思っているかもしれない。

どこで寝ようが犬の自由！

留守番中も、家族が寝る時も、好きな場所で寝たい！ 一緒に寝るかは、犬が決める！？

「今日はここ！」

また、今回の取材で共通していたのは、どの犬も公園が好きなこと。てことで、「町内に最低10個は公園を！ しかも犬もOK！」というのも、犬の希望としてありそうだ。
て、全部無理な注文だなあ！ てことで残念だけど却下！

タグは取っても、 叱られない社会を！

毛布やぬいぐるみ、服のタグを取るのが趣味の犬は多い。ついでに、どの商品にも、タグをつける決まりが欲しい! ?

「取り放題！」

ちょっと変わったジョーシキも犬と飼い主が楽しく、幸せならOK！

取材をしてみて確信しましたヒジョーシキでいいじゃないか

世の中の常識も、移り変わる。それは、家庭の中においても同じだ。
「当初、ガムはベッドの中に入れないようにしようと、主人が言っていたのですが、今年の冬は寒かったので、主人がベッドに入れてあげようと言い出したんです」と彩英子さん。

散歩の主導権は犬が持ちたい！

家に帰りたい時も、もっと歩きたい時も、犬に決定権があるのがジョーシキだったらいいなあ！ なんて思っている犬は多いはずだ。

「断固拒否！」

「最初は人間のご飯をあげていませんでしたが、ついついめでたい時はあげるようになりました」とまるの飼い主さん。みんなジョーシキとヒジョーシキの境界線が、ゆらゆら動いている。

ほめる時は、家族総出で拍手！

コマンドを指示する時は、家族が集まって、成功したらみんなでほめ讃えてくれるとやりがいがある。

「わーさすが！すごーい！」

それでいいと思う。最近まで柴犬は外飼いが多かったが、今は室内飼いも増えてきたように、常に社会や環境は変わる。

マッサージは犬が満足するまで続けるべし

できればずーっと揉んでいてほしい。10時間くらいやってくれると嬉しい？
いやー、それはちょっと無理っす。

「あー、そこそこ」

また、「他人のフツーは気にしなくても、うちにはうちのフツーを作ればいいや」とも思った。だってどのお宅も、違うジョーシキを持っていて、しかも犬・人共に幸せそうだから。たしかに一瞬驚くジョーシキもあったが、飼い主さんと犬が楽しそうで、周囲に過度の迷惑をかけていないなら、問題はないと思う。だから、自分達が幸せなジョーシキを貫けばいいのだ。なんか勇気が出た！ これからもヒジョーシキと言われようが、気にせずに生きていく所存であります！

たまには犬が飼い主を散歩させる

飼い主にリードをつけて散歩に連れて行きたい。しかしそんな妄想は、なかなか現実にならない。

「夢が叶うように気合い入れてみる！」

無理だったから散歩させてる気分で我慢

Text：Daizo Okauchi
Photos：Masayuki Satoh、Minako Okuyama、
Teruhisa Tajiri

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