この記事では獣医師監修の元、犬と猫の水頭症(すいとうしょう)の原因や症状そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。
犬猫の水頭症(すいとうしょう)とは?
脳の表面や内部には、脳脊髄液と呼ばれる液体が流れています。
水頭症は、この脳脊髄液の産生・循環・吸収のバランスが崩れることで、脳室とよばれる空間に過剰に貯留し、脳圧が上昇した結果、脳の機能障害を引き起こす病態のことを指します。
犬猫の水頭症の原因は?
水頭症は脳脊髄液の産生過剰や脳脊髄液循環路の閉塞、脳脊髄液の吸収障害によって引き起こされます。
犬猫でよく見られる原因
- 先天性:脳奇形、尾側後頭骨奇形症候群(後頭骨の形成異常による脳の変異)など
- 後天性:脳腫瘍、猫伝染性腹膜炎(FIP)など
発症しやすい犬種・猫種
先天性水頭症は、犬ではチワワやトイ・プードル、ヨークシャー・テリア、パグ、ペキニーズ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどに多く認められます。
猫では先天性、後天性いずれも非常に稀です。
水頭症の症状は?
脳圧の上昇により以下の症状が見られる場合があります。
沈鬱、活動性の低下
脳圧の上昇により意識レベルや活動性の低下が見られることがあります。
活動性が高まってくる成熟期に以下のような症状が観察されます。
- 寝ている時間が長い
- 起きている時もぼーっとしている
- 呼びかけへの反応が乏しい
ふらつき、視覚障害
運動神経や視覚に関する神経が障害されることにより、歩行の異常や物にぶつかる、などの症状を認めることがあります。
痙攣発作
脳細胞が興奮し、痙攣を引き起こすことがあります。
気になる症状がある場合はご相談ください
特に重症の場合、ぐったりして元気がなくなってしまったり意識障害や神経症状を引き起こすことがあるので、できるだけ早く動物病院に行くことが薦められます。
JR山手線「原宿駅」徒歩4分 /
地下鉄東西線「神楽坂駅」徒歩1分
東急田園都市線「三軒茶屋駅」
水頭症の検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)
当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。
神経学的検査
意識状態や前後の脚の動き、脳神経の機能を評価して、脳の異常の有無を調べます。
血液検査
血液検査が水頭症の直接的な診断になる訳ではありませんが、水頭症で見られる意識レベルの低下や痙攣発作などの神経症状が他の原因で起きていないかどうかを除外するために、血液検査を推奨しています。
超音波検査
頭蓋骨に泉門と呼ばれる骨の無い開口部があれば、そこから超音波を当てて脳室の評価が可能です。
脳圧の状況は評価できないため、MRI検査が必要になります。
MRI検査
脳内を画像化し、脳室の大きさや脳圧の亢進状況を評価します。検査には全身麻酔が必要になります。
当院ではCTやMRIの設備がないため、設備を備えた病院をご紹介致します。
水頭症の治療方法
利尿剤(脳圧降下薬)
脳脊髄液を尿として排出するよう促すことで、脳圧の上昇を軽減します。
ステロイド
副腎皮質ステロイド薬の脳脊髄液の産生を抑制する効果を利用して、脳室内への脳脊髄液の貯留を抑えます。
外科手術
脳室ー腹腔シャント術(V-Pシャント術)と呼ばれる手術法があります。
脳室と腹腔をチューブで繋ぎ、脳室内に過剰に貯留した脳脊髄液を腹腔内に流すことで、脳圧の上昇を抑えます。
当院が水頭症の診療で心がけていること
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な水頭症の検査料金をご紹介します。
検査内容 | 料金の目安 |
---|---|
カルテ新規開設料 | 1,100円 |
初診料 | 4,950円 |
神経学的検査 | 4,130円〜 |
超音波検査 | 4,500円〜 |
※2022年8月現在の価格です