犬と猫の乳腺腫瘍:原因、症状や検査・治療法について解説 | 動物医療センターPeco

この記事では獣医師監修の元、犬と猫の乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)の原因や症状そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。

記事の監修者
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細谷芽里
動物医療センターPeco 獣医師

犬猫の乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)とは?

乳腺腫瘍とは、乳腺の組織の一部が腫瘍化して「しこり」ができる病気です。

犬の乳腺腫瘍のうち、約50%が良性、残り約50%が悪性とされています。さらに悪性だった場合、その約50%で診断時に転移が認められます。

猫の乳腺腫瘍は約85-90%が悪性であり、90%以上の症例で初診時に肺やリンパ節への転移が存在していると報告されています。

犬猫の乳腺腫瘍の原因は?

犬猫でよく見られる原因

乳腺腫瘍は『女性ホルモン』の影響により乳腺組織が増殖するうちに腫瘍化した病気と考えられています。

避妊手術による乳腺腫瘍の予防効果

乳腺腫瘍は、若齢期に避妊手術を行うことで発生率を抑えることができることがわかっています。

犬の場合

犬では、避妊手術をしていない場合は約4頭に1頭の割合で乳腺腫瘍が発生します。

その発生率は、避妊手術を行う時期が初回発情前では0.5%(約200頭に1頭)と非常に低くなり、2回目発情前では8%、2回目発情以降では26%に上昇します。

猫の場合

猫の乳腺腫瘍の発生率は、避妊手術を行う時期が初回発情前では9%、2回目発情前では14%、2回目発情以降では89%に上昇します。

※犬も猫も2歳を過ぎての避妊手術では乳腺腫瘍の発生予防効果はほとんど無いとされています。

このように乳腺腫瘍は動物では数少ない予防可能な腫瘍と言えます。ただし、発生した乳腺腫瘍に対し避妊手術をしても腫瘍が小さくなることはありません。

犬猫の乳腺腫瘍の症状は?

乳腺のしこり

単一または複数の乳腺に、単一または複数の「しこり」がみられます。大きさや性状も様々です。

腫瘍の自壊

腫瘍の増殖とともにサイズが大きくなると、皮膚がやぶけ、出血や壊死を起こすことがあります。

腫瘍の転移

悪性の乳腺腫瘍はリンパ節や肺などに転移することがあります。

肺転移では、胸水がたまることなどにより、呼吸が早く荒くなる、呼吸困難になるなどの症状もみられます。


炎症性乳がん

  • 乳腺が赤く腫れる。
  • 熱感をもち、触るととても痛がる。

このようなしこりを形成する悪性の乳腺腫瘍は「炎症性乳がん」とされます。

発症率は犬の乳腺腫瘍のうち10%以下であるものの、がん細胞の浸潤性が強く、炎症を伴いながら周りへ広がり激しい痛みや潰瘍を伴います。また、リンパの流れが阻害され、後ろ足がむくんで腫れてしまう場合もあります。転移率が非常に高く、命に関わる悪性度の高い疾患です。

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乳腺腫瘍の検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)

検査室の風景

当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。

一般的な検査は、問診を含めて1時間近くかかりますが、原因や病状によってさらに時間がかかることや、診断のために何度か通院してもらう必要がある場合もあります。時間に余裕をもってご来院ください。

触診

基本的に犬の乳腺は計5対、猫の場合は計4対あります。

触診により乳腺のしこりの有無、また近くのリンパ節の腫れをチェックします。

細胞診検査(針生検)

細い注射針で「しこり」の中の細胞を採取し顕微鏡で観察し、腫瘍の種類や良性か悪性かの仮判定を行います。

胸部レントゲン検査

胸部レントゲン検査では、肺やリンパ節に転移を疑う所見がないかを確認します。

腹部超音波検査

腹部超音波検査では、腹腔内臓器への転移がないかを確認します。

CT検査

レントゲン検査では確認できない小さな転移がないかなど、CT検査で確認します。

※必ずというわけではなく、ご相談次第の検査となります。当院にはまだCTの設備がないため、ご希望の場合にはCT検査センターやCT設備を備えた病院を紹介させて頂く場合がございます。

病理組織検査

外科的に切除した乳腺腫瘍とリンパ節は、病理組織検査を行います。

乳腺腫瘍が良性なのか悪性なのか、またリンパ節への転移の有無を診断します。

乳腺腫瘍の治療方法

外科的切除

乳腺腫瘍に対して推奨される治療は主に外科的な切除です。

犬では腫瘍のサイズ、悪性度、ステージ、年齢や一般状態を考慮し、術式を決定します。乳腺を部分切除するものから両側乳腺を広範囲に摘出するものまで様々です。

猫の乳腺はリンパ管ですべて繋がっています。そのため乳腺の片側もしくは両側をすべて切除する手術が再発防止のために最も有効とされています。

悪性度が高い、もしくは遠隔転移が認められる場合

非常に悪性度の高い炎症性乳癌、あるいは遠隔転移を起こしている場合には、外科手術を根治目的ではなく緩和治療目的で行うことがあります。

乳腺腫瘍切除手術と同時の避妊手術について

卵巣から出る女性ホルモンが腫瘍の発生に関与しており、乳腺腫瘍摘出と避妊手術を同時に行なった場合に新たな乳腺腫瘍ができる確率が低くなること、また犬では乳腺腫瘍があると高い確率で子宮卵巣に異常があるという報告もあることから、同時の避妊手術を行うことがあります。

しかし、全身状態や転移の有無により行わない場合もあります。

化学療法(抗がん剤治療)

病理検査結果により、術後に抗がん剤による化学療法を併用することがあります。

当院が乳腺腫瘍の診療で心がけていること

乳腺腫瘍予防の知識の普及

乳腺腫瘍は、2回目の発情前までの避妊手術により発生を抑制できます。出産させるご希望がなければ、若齢期での避妊手術をお勧めいたします。

※避妊手術の必要性や有効性についてご不明な点がございましたら、獣医師までご相談ください。

早期発見・早期治療

乳腺腫瘍は早期発見・早期治療がとても重要です。

おうちの子が女の子の場合、日頃から乳腺腫瘍がないか触ってあげてください。

もし、乳腺に「しこり」をみつけたら早めにご相談ください。

初診時の一般的な検査費用

当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的な乳腺腫瘍の検査料金をご紹介します。

検査内容料金の目安
カルテ新規開設料1,100円
初診料4,950円
胸部X線検査6,000円〜
腹部超音波検査4,500円〜
病理検査8,800円〜
※治療費は別になります。
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