【獣医師監修】猫の便秘 考えられる原因や症状、治療法と予防法のすべて

猫は、便秘になりやすい動物です。水分をあまりとらないために便が体内にたまりやすく、それが原因で体調を崩したり、病気になったりすることがあります。そこで今回は、猫の便秘の原因から治療・予防方法を解説していきます。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫の便秘の原因

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便秘は、便に含まれる水分が少ないことが要因でスムーズな排便ができない時に起こります。

偏った食生活・運動不足・ストレス

消化に悪い穀物類を多く摂取した時や異物を飲み込んでしまった時は、腸からうまく便が排出できないため便秘になってしまいます。また、水分が不足している時も便の硬化により同様の症状が起こります。また、運動不足や精神的なストレスが便秘の原因になるのは、人間も猫も一緒です。

排便時に痛みがある

腸の中にある異物が痛みを発していたり、痔になっていたりすると、便をする時に痛みがあるので、排便を我慢するようになります。そして、腸に便がどんどんたまるので、便の水分がなくなり便秘になってしまいます。

抗生物質を飲んでいるとき

ほかの病気で鎮痛剤や抗生物質を飲んでいる時に、その副作用で便秘になることがあります。正確には、医原性便秘といいます。

遺伝

マンクスのようなしっぽがない猫種は、先天的に仙椎(尾てい骨)の形に異常を起こしていることから便秘になりやすくなります。このような遺伝的な要因が便秘につながることもあります。

そのほかには、10歳以上の高齢猫や毛を飲み込みやすい長毛種、避妊手術後に肥満になった猫などは、便秘になりやすくなります。

猫の便秘の症状

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猫は便秘になりやすいとはいいますが、排便困難がみられる様子がある場合は便秘として判断してよいでしょう。

便秘になると、お腹が張り有害ガスが発生して腹痛を起こします。また、肛門のすぐそばにある結腸に便がたまってしまうと、巨大結腸症という病気につながることも。この病気を患うと、数週間から1ヶ月以上便秘が続くこともあり、手術が必要となるケースもあります。猫のストレスも大変なことになってしまいますので、その前に便秘を解消するようにしましょう。

猫の便秘の治療・予防方法

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まずは水分を多く摂る

便秘対策の一番手は、何よりも水分をしっかり摂ることです。しかし、猫は水を積極的に飲む動物ではないので、フードをドライからウェットにするだけで水分が摂取できます。また、ドライをふやかして与えるというのもひとつの方法です。

高繊維のフードを使う

便秘がちの猫には、高繊維のフードを与えるようにしましょう。この高繊維のフードは療法食なので、まずは動物病院で相談してみましょう。

運動不足を解消する

1日のほとんどを寝て過ごすといわれる猫ですが、あまりに運動量が不足すると内臓機能が活発化せず便秘につながってしまいます。そこで、1日10分でもよいのでカラダを動かすように促しましょう。おもちゃを与えたり、キャットタワーを設置したりして、猫が運動するように仕向けることで便秘が解消されていきます。

便秘対策マッサージをする

スキンシップタイムの時に、そっとお腹を撫でてマッサージをします。この時、腸を押したり揉んだりするのではなく、皮膚を撫でるだけで充分です。撫でることでお腹の周りの体温が上がり、代謝や循環が上がることで便の流れがスムーズになります。

便秘が何日も続くと、飼い主としても心配になってきます。その場合は、動物病院で便秘薬を処方してもらうことになります。人間同様、下剤と浣腸がありますが、効果の弱い下剤から効果をみていくようにします。

また、腸の疾患などで便秘を起こしている場合は、その病気の治療が便秘の治療につながります。猫の便秘は、病気による二次的症状によるものが多いので、いつもは順調に排便している猫が便秘になった時には、念のために獣医師の診断を仰ぐようにしましょう。

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