【獣医師監修】気になるチワワの体臭事情とニオイ対策
チワワは日本でも多く飼育されている室内犬ですが、じつはその体臭に悩む飼い主も少なくないようです。今回は、チワワの体臭について解説していきます。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
チワワの体臭はきついの?
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チワワの体臭については個体差がかなり大きく、中にはまったく臭わないと感じる飼い主もいます。もちろん、生き物である以上、多少の体臭がするのは当然ですが、チワワは一般的に体臭の少ない犬種といわれています。
チワワのニオイがきつくなる原因とは?
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どんなにニオイが少ないとされる犬種であっても、「体臭」「口臭」「便臭」の3つのニオイは発生します。
体臭
人間同様、犬も2種類の汗腺を持っています。体温調節のための汗をかくエクリン汗腺と、フェロモンとしての役割を持つ汗を分泌するアポクリン汗腺です。
犬のカラダには、肉球や鼻先など、ごく限られた部分にしかエクリン汗腺がないため、体温調節のための汗によるニオイはほとんどありません。一方、犬の全身にあるアポクリン汗腺は、皮脂を分泌する皮脂腺とつながっており、皮脂を含んだ汗を分泌します。
この皮脂が、酸素に触れると酸化して脂肪酸というネバネバした物質に変化し、毛穴の詰まりを引き起こします。そして、この脂肪酸を好む細菌が毛穴に集まり、脂肪酸を分解することで体臭が発生します。
口臭
口腔内にエサやおやつの食べかすが残っていたり、歯に歯石が付着したりすると、口臭の原因となります。また、胃腸内で発生したガスが体外に排出されることで、口臭がきつくなることもあります。そのほか、肝臓や腎臓の病気になることで、口臭が生じる場合もあります。
便臭
そして、大腸の中には腐敗臭を作り出す原因となる悪玉菌が多数存在しています。大腸菌やウェルシュ菌といった30兆個もの細菌も存在し、たんぱく質・脂肪を分解して有害な物質を生成すると同時に、アンモニアや硫化水素などの腐敗臭を発生させます。これが、犬の便臭の原因です。
このようなニオイは、犬自身ではどうしようもできないので、飼い主がケアしてあげる必要があります。
チワワのニオイ対策
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犬の中では比較的体臭が少ないとされるチワワですが、生活環境によりニオイの強弱は変わってきます。では、ニオイを抑えるためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
体臭対策
体臭対策の基本は、定期的にシャンプーを行い清潔に保つことです。目安としては、月に1回のシャンプーを行うようにしましょう。また、その時に肛門腺を絞ることも忘れないようにしましょう。肛門腺絞りはコツが必要なので、動物病院やトリミングサロンでお願いしてもよいでしょう。
また、シャンプーは回数を増やしすぎると、肌が乾燥しすぎて必要な脂分まで流してしまうので注意が必要です。
シャンプーが終わった後は、自然乾燥させるのではなく、必ずドライヤーを使ってしっかりカラダを乾かしてください。長時間に渡り皮膚や被毛が濡れた状態が続くと、細菌が発生し、皮膚病の原因になる可能性があります。
ドライヤーは毛の流れと逆向きに風を当て、やけどをしないように万遍なく乾かしていきます。できれば、ドライヤーのタイミングでブラッシングもできると、被毛の艶がよくなります。
犬の体臭の元は「脂肪分」です。そのため、脂肪分の多いフードを与え続けると体臭がきつくなる可能性が高くなります。ビーフジャーキーのような脂肪分の多いフードが好きな犬の場合でも、そのようなフードが体臭の原因になっている可能性があるので、一度フードの種類を見直してみましょう。
そのほかにも、日常的にブラッシングをしてあげたり、ベッドやケージの中などの生活環境を清潔にしておいたりすることも大切です。犬に害のない消臭剤(スプレータイプが使いやすいです)を利用したり、こまめに換気して空気を入れ替えたりすることで、チワワの生活環境を清潔に保ってあげましょう。
口臭対策
口臭対策としては、こまめな歯磨きが有効です。理想は毎食後ですが、最低でも1日1回はしっかりと歯磨きをしてあげましょう。成犬になってから急に歯磨きを始めるのは難しいので、仔犬の頃から習慣づけておくことが重要です。
便臭対策
犬の便臭の原因は、食事に含まれる脂肪分です。そのため、脂肪分が少ないフードに変えると、便臭が軽減されるかもしれません。しかし、脂肪分は犬にとって必要な栄養素でもあります。
脂肪分が不足すると、免疫力の低下や皮膚のトラブルを引き起こすほか、脳出血や心臓病など重大な疾患につながる可能性もあります。便のニオイが気になるからといって、脂肪分を含まない食材ばかりを与えるようなことはやめましょう。
生き物である以上、ニオイがするのは当然のことです。しかし、こまめにケアをしているにも関わらずきついニオイがする場合は、病気のサインかもしれません。日頃から犬の様子に気を配り、異常がみられた時はすぐに動物病院に連れて行くようにしましょう。