【獣医師監修】猫に白菜を与えるメリットと注意点
猫は本来肉食動物なので、野菜を好んで食べるイメージはあまりないかもしれません。しかし、実際には、様々な野菜を好んで食べる猫もいるようです。では、冬の鍋には欠かせない白菜は、猫に与えても大丈夫な食材なのでしょうか? 今回は、猫と白菜の関係について解説します。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫に白菜を与えても大丈夫?
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結論からいうと、大量でなければ、猫が白菜を食べても問題はありません。白菜には、猫にとって有害な成分は含まれていません。ですので、猫が白菜を食べたからといって慌てる必要はないでしょう。
白菜は成分の95%が水分でできている野菜で、おもな栄養素としては、カリウム、ビタミンKなどが含まれています。カリウムは、神経信号の伝達や心臓が正常に動くために大切な役割を果たしており、ビタミンKは血液の凝固などに役立ちます。ただし、猫は「白菜」からこれらの栄養素を吸収するのが得意ではありません。
猫は野菜の消化吸収が苦手
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一般的に、肉食動物の腸は短く、草食動物の腸は長い傾向があります。これは、肉類と比べて、植物の消化には時間がかかることを意味します。つまり、短い腸を持つ完全肉食動物の猫は、白菜を含めた野菜の消化吸収が得意ではありません。
肉食動物の猫が白菜を食べる理由
一部の猫が白菜などの野菜を好んで食べる理由は、現在のところはっきりとわかっていませんが、一説では、猫にとって嗜好品としての役割を果たしているのではないかといわれています。
猫の嗜好品としてよく知られているものに、「猫草」があります。猫は猫草を食べることで毛玉を吐き出そうとしている、便秘の予防をしているなどの説がありますが、こちらもはっきりとした理由はわかっていません。また、すべての猫が猫草を好むわけではないように、白菜を好む猫もいれば、白菜に興味を示さない猫もいます。
注意したいのは、猫が自分から食べているならその食材は安心だ、と飼い主が思い込んでしまうことです。実際には、飼い主が目を離した隙に盗み食いした食べ物が原因で、猫が体調を崩してしまったり、中毒に陥ってしまったりすることは少なくありません。人間が普段食べているものの中には、猫にとって有害なものがたくさんあることを忘れないでください。
食べすぎに要注意!
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上述のように、白菜には猫にとって有害な成分は含まれていませんが、毎日継続的に与え続けることは避けてください。肉食動物の猫にとって、白菜を含む野菜の消化吸収は胃腸に大きな負担をかけ、胃腸障害を起こしてしまう可能性があります。
また、猫が白菜などの野菜ばかりを食べていると、本来弱酸性であるはずの尿がアルカリ性に傾いてしまいます。これにより、結石など尿路疾患にかかるリスクが高まります。
一般的に、猫が自分から野菜を大量に食べることは考えにくいですが、万が一のリスクを回避するためにも、飼い主がしっかりコントロールするようにしましょう。