【獣医師監修】難度が高いといわれるハリネズミの飼育。その理由とは
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【獣医師監修】難度が高いといわれるハリネズミの飼育。その理由とは

手の中でくつろぐ姿とつぶらな瞳がたまらなくキュートなハリネズミ。ペットとして人気のエキゾチックアニマルですが、じつは飼育の難しい生き物です。ハリネズミを飼う時は、ポイントをしっかりおさえましょう。

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監修:オールペットクリニック 平林雅和院長

ハリネズミの飼育が難しいとされる理由

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ハリネズミはネズミの仲間ではなく、モグラと近縁の小動物です。日本でペットとして飼われているのはヨツユビハリネズミで、ペットショップではピグミーヘッジホッグの別名で販売されていることが多いようです。もともとは西アフリカから東アフリカにかけて生息する小動物のため、ハリネズミにとって四季のある日本の気候はかなり厳しい環境といえるでしょう。

ハリネズミは体温を調整できる恒温動物ですが、保温効率が悪いため、暑さにも寒さにも弱い欠点があります。ハリネズミの飼育に適切な温度は24~29℃、適切な湿度は30~50%程度なので、日本の冬の寒さや梅雨時の湿気、夏の猛暑を乗りきるためには、適切な装置や飼育用品による管理が必要です。

ハリネズミは、かわいらしくおっとりした性格の癒し系の小動物ですが、人になつくというより、人に慣れるという感じです。犬や猫のように一緒に遊ぶことはありませんが、人に慣れると手に乗ってくれます。また、昼間に寝る夜行性の動物であるため、飼い主と生活のリズムがなかなか合いにくいかもしれません。トイレのしつけも難しく、1日に数回の掃除が必要なハリネズミもいます。生活時間帯やその容姿、怖がりな性格からコミュニケーションがとりづらいこともあり、病気の発見が遅れることがよくあります。また、病気になっても食欲に変化がなく、普段通りにエサを食べるため、健康管理の指標として「食欲」というものがあてにならない場合がほとんどです。当然、病気になったら、動物病院に連れていかなければなりませんが、現在のところ、ハリネズミを専門的に治療できる動物病院は、飼育頭数に比べて少ないようです。

飼うためのポイント

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ハリネズミのケージについて

ハリネズミは単独生活を行う習性があるため、1匹1ケージが基本です。60cm×60cm以上の床面積で、回し車などを置けるサイズがおすすめです。ハリネズミはカラダに対して足が細いため、金属製のスノコや金網などの床で足を痛めてしまうケースが多くみられます。ストレス緩和のために、シュレッダーにかけたパルプなどのもぐりこめるような床材を敷いてあげたり、衛生上の観点からペットシーツを敷いてあげるとよいでしょう。

また、ハリネズミは夜行性のため、暗い場所を好みます。ケージ内に小屋やシェルターを設置し、安心して隠れられる場所を作ってあげるとよいでしょう。エサ皿や水皿も、ハリネズミの体高に合ったものを選びましょう。運動不足解消のため、回し車を利用する飼い主も多いようですが、足を挟むなどの事故が多いため、時間を決めて遊ばせる、回し車に足を挟まないように加工するなど、ハリネズミにとって安全な使用方法を考える必要があります。

ケージは直射日光が当たる場所を避け、風通しがよく、温度差が大きく変動しない場所に置きます。ハリネズミは暑すぎると夏眠や熱中症の危険があり、寒すぎると冬眠してしまうことがあります。夏眠と冬眠はカラダへの負担が大きく、そのまま死に至ることもあります。温度・湿度管理は重要な飼育ポイントなので、ペット用ヒーターや暖房器具、エアコン、保温シート、扇風機などを利用して、室温と湿度管理に気を配ってください。
また、ハリネズミは聴覚が発達しているため、テレビや音楽などの生活音がストレスになる場合があります。ケージの設置場所には、騒音のない場所を選びましょう。

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ハリネズミのエサについて

野生のハリネズミは、地面や土中で採食できる小型の様々な生き物を捕食しています。具体的には、イモムシ、ハサミムシなどの甲虫類、ミミズ、ナメクジなどの軟体動物、ハエ、ウジ、ムカデ、シラミ、ハチ、クモ、バッタ、コオロギなどの昆虫類やトカゲ、ヘビ、カエルなどの爬虫類、両生類さらに小型のげっ歯類や鳥の卵や雛鳥のほか、植物の葉や、種子、苔、樹皮、根、果実も食べることが確認されています。

ペットとして飼育する場合は、このようなエサを与えることは難しいため、市販のハリネズミ専用フードと根菜、コオロギなどを与えるのが一般的です。現在のところ、10種類前後のハリネズミフードが開発・販売されており、場合によってはこれらのフードを1日~数日おきに切り替えて与えることもあります。デンタルケアのために、フードをふやかさないで与えることや、外骨格のある虫を1日1匹与えることもおすすめです。気に入ったエサを手渡しで与えることで、コミュニケーションをはかることができるので、ハリネズミにストレスのかからない範囲で試してみてください。

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ハリネズミと触れ合う際の注意点

ハリネズミは名前の通り、背中に5000本以上の針があります。ハリネズミが飼い主の手の中にいる時、あるいは抱っこしている時に、大きな物音に反応して針を立ててしまい、飼い主が驚いてハリネズミを落としてしまうことがあります。針が刺さると痛いですが、針を立てても慌てず、そっと床に置いて落ち着くのを待ちましょう。

ヨツユビハリネズミの飼育難度は高めなので、飼う側に覚悟と根気が必要です。飼育ポイントをおさえて人に慣れるまで飼えば、小さくてかわいい姿に毎日癒されますよ。

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