【獣医師監修】猫のお尻から白いものが出ている。それは条虫症かもしれません
猫のお尻から、白いひものようなものが垂れ下がっていたり、お尻をやたらと痒がっていたりしたら、それは条虫かもしれません。条虫症(じょうちゅうしょう)と呼ばれる病気や症状などについてみていくことにしましょう。
- 更新日:
監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫の条虫症の病態と症状
条虫症とは
条虫症とは、細長く平たい形をしている「条虫」と呼ばれる扁平動物が、ヒトや犬、猫などの小腸に寄生することで現れる症状全般のことをいいます。一般的にサナダムシと呼ばれる寄生虫が有名です。猫に寄生する条虫としては「マンソン裂頭条虫」 、「瓜実条虫(うりざねじょうちゅう/サナダムシ)」、「ネコ条虫」、「エキノコックス」などが存在しています。
条虫症の症状
●肛門周辺を壁や地面に擦りつける
●肛門周辺を舐める
●肛門周辺に白いゴマやひものようなものが確認できる
●下痢
●食欲不振
●体重減少
●毛艶の悪化
もし、猫の肛門から、白いひものようなものやゴマのようなものが出ていたら、それは条虫かもしれません。ただし、条虫以外にも誤って飲み込んだひもである可能性もあります。腸内で引っかかって重症化してしまうケースもあるので、見つけても無理やり引っ張ることはやめてください。
また、寄生している条虫の数が少なかったり、猫自身が健康である場合、条虫に寄生されていても症状が現れず、寄生されていることにすら気づかないケースも多々あります。条虫は、しばしば肛門から排出されることがあり、その時に猫はかゆみを感じて、肛門をしきりに気にするようになります。猫が多くの条虫に寄生されていた場合は、激しい下痢や体重減少などの症状がみられます。
猫の条虫症の原因
猫が条虫症にかかる原因は、経口感染がおもになります。様々な条虫は、それぞれノミやカエル、ネズミなどを通じて猫に寄生します。
瓜実条虫(サナダムシ)
瓜の種のような形の節が100個以上連なっている条虫です。節の一部を分離し、感染している猫の糞便とともに体外へ出た後、節の殻が破れて出てくる卵をノミが食べ、そのノミが猫の口に入ると感染してしまいます。
マンソン裂頭条虫
長さが5~10mもある条虫です。感染している動物の小腸内で卵を産み、糞便とともに体外へ出たのち、水の中に入ると卵がふ化します。それをミジンコが食べ、食べたミジンコをカエルなどの水生動物が食べ、その水生動物を猫が捕食すると、そのまま猫のカラダに入り込み、成虫化します。
ネコ条虫
ネコ条虫は、長さ30~60cm程の条虫です。感染した猫の糞便に産み落とされた卵をネズミが食べ、そのネズミを捕食することで猫の体内に入り込み、感染します。
エキノコックス
キタキツネや犬、猫の腸内に寄生する条虫で、卵が糞便とともに体外へ排出され、その卵を水や食料と一緒に口にすると感染します。
猫の条虫症の治療法と予防法
猫が条虫症にかかってしまった場合、ほとんどの場合は症状がまったく出ないか、出ても軽微なケースが多いようです。治療法としては、駆虫薬を投与して、体内の条虫を除去します。また、症状が現れている場合は、それに対しての対症療法を行います。
予防法としては、猫のカラダに住み着いているノミを定期的に駆除するのが効果的です。猫のカラダのノミを取り除くこと、部屋を清潔に保つことで、瓜実条虫が発生する原因を絶っていきます。また、マンソン裂頭条虫が生息する、屋外の水たまりや、生魚に猫を近づけないようにしましょう。さらに、ネコ条虫を媒介するネズミを、猫を飼育している環境から駆除することも大切です。エキノコックスは、人間に対しても寄生し、感染すると重篤な症状が出る場合があります。野良犬や野良猫、野キツネの糞便には、猫も人間も近づかないように注意しましょう。
条虫症は、症状は軽微かもしれませんが、大量に寄生されると下痢や食欲不振などの体調不良を引き起こすおそれがあります。愛猫の為にも日々予防できるように、定期的な検診や掃除を怠らないようにしましょう。
猫のノミ事情。症状や原因、治療法、予防法について | PECO(ペコ)ノミは、体長2mm程度でかなり小さいうえに動きが素早いことから、寄生している数が少ない場合は見つけ出すのも一苦労です。しかし、ノミに寄生されると、猫は激しい痒みに襲われるだけでなく、様々な病気を発症してしまうおそれがあります。愛猫につらい思いをさせないために、まずは予防が大切です。
猫の下痢が止まらない。原因や考えられる病気、治療法、予防法について | PECO(ペコ)猫が突然下痢をした…飼い主にとっては心配になってしまうところですが、健康な猫でも便がゆるくなることはよくあります。ただし、放置しておくのは危険ですので、どのような下痢をしているかをチェックしておきましょう。