【獣医師監修】猫のノミ事情。症状や原因、治療法、予防法について
ノミは、体長2mm程度でかなり小さいうえに動きが素早いことから、寄生している数が少ない場合は見つけ出すのも一苦労です。しかし、ノミに寄生されると、猫は激しい痒みに襲われるだけでなく、様々な病気を発症してしまうおそれがあります。愛猫につらい思いをさせないために、まずは予防が大切です。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
ノミに寄生された時の症状
ノミが猫に寄生すると、皮膚に噛みつき血を吸います。ノミが噛んでできた傷は強い痒みを引き起こすので、猫はカラダを掻きむしるようになります。また、ノミの唾液にアレルギー反応を起こす皮膚病や、赤血球が異常化し貧血を引き起こすマイコプラズマ感染症(猫ヘモバルトネラ症)など、様々な病気の原因となる厄介な寄生虫です。
さらに、ノミはほかの寄生虫の媒介役にもなります。ノミの体内には瓜実条虫という寄生虫が寄生していることがあり、猫がこの虫を、毛づくろいをしている最中などに飲み込んでしまうと寄生が成立します。
ノミに寄生される原因
ノミには様々な種類がありますが、猫に寄生するノミのほとんどがネコノミです。ネコノミは、散歩中につくことが多く、どんなに駆除してもすぐにまたついてしまいます。このネコノミ、人間にも移る可能性もある面倒なノミです。
ネコノミの体長は2~3mm。気温18~27℃・湿度75~85%くらいの環境で活発化し、猫のカラダの表面で産卵して増えていきます。つまり、日本の梅雨時期はネコノミにとって最高の繁殖環境になってしまいます。しかも、ネコノミの成虫1匹が1日に産む卵の数は4~20個ほど。一生のうちに1000個以上の卵を産む個体もいるといわれるほど繁殖力が強いため、どんどん増殖していきます。
また、ネコノミはカーペットや畳でも繁殖します。人間の足首を噛むことが多く、噛まれた場所に5mmほどの丘疹ができます。1週間以上痒みが続くので、気をつけましょう。猫と同じ布団で寝ている飼い主は全身をノミに噛まれることがあるので、とくに注意が必要です。
ノミの治療法・予防法
ノミを見つけた時には、動物病院で即効性のあるノミの駆除薬を投与してもらいます。しかし、ノミはいくら駆除してもすぐついてしまうので、予防が肝心です。
できる限り室内で飼うのが一番ですが、散歩でストレスを発散する猫の場合は、毎日ノミの駆除をするようにしましょう。ノミ取りグシを使って毎日根気よくブラッシングを行うほか、動物病院で販売されているノミ取り駆除薬を定期的に投与することで予防します。
ノミの予防で一番やってはいけないのが、ノミを発見した時につぶすことです。そのつぶしたノミがメスで、しかも卵を持っていると広い範囲に卵が飛び散ってしまい、ノミ増殖を助長してしまいます。
家庭でノミ取りをする必要にせまられた場合は、ノミ取りグシでノミを捕まえ、つぶさずに中性洗剤を薄めた液体に沈める方法で駆除します。また、ノミを家の中で発見した時には、猫の行動範囲のすべてにノミがいるといってもよいでしょう。そこで、猫が移動したことのある場所すべてに掃除機をかけ、ガムテープや粘着テープを使ってカーペットや布団をきれいにします。また、ノミ駆除用の燻蒸剤を使用するのもおすすめです。このような対策をしっかりすることでノミを駆除できますが、徹底的にノミを駆除するには1ヶ月はこの掃除を続けましょう。
上述の通り、ノミの繁殖力は異常なほど協力なので、ノミの成虫が1匹いるということは、その何千倍ものノミの幼虫・卵が家の中にいると考えられます。ノミの根絶はなかなか大変ですが、猫の健康を守るためにもしっかり駆除をしなければいけません。
ノミはとても小さいですが、猫が大きな病気を患うきっかけになる可能性があるだけでなく、時には飼い主が被害を受けることもあります。猫がノミに寄生されないよう、しっかりと予防するようにしましょう。
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