【獣医師監修】猫の肺水腫 考えられる原因や症状、治療法と予防法
猫が肺水腫(はいすいしゅ)になると、呼吸困難などの症状が現れます。心疾患などの影響により発症するといわれており、発症から非常に短時間で死に至ってしまうこともある恐ろしい病気です。今回は、猫が肺水腫になる原因、症状、治療法などについてみていくことにしましょう。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
肺水腫の症状
肺水腫とは、肺の中で二酸化炭素と酸素の交換(ガス交換)を行う「肺胞」という袋の内部に、毛細血管から染み出した血液中の液体成分がたまってしまった状態をいいます。その結果、酸素がうまくカラダに取り込めなくなり、呼吸困難などの症状が現れます。
肺水腫のおもな症状
●呼吸困難
●呼吸数の増加
●開口呼吸
●粘膜蒼白やチアノーゼ
●泡のような液体を吐き出す
軽度の肺水腫では呼吸困難の様子も軽度ですが、重度の場合は苦しそうに首を伸ばして呼吸をするような姿がみられたり、ピンク色の泡のような液体が気管を通って吐き出されたりすることもあります。なお、重度の肺水腫では、発症から短時間で死に至ることもあるので、迅速な対応が必要になります。
肺水腫の原因
猫が肺水腫を起こす原因としてもっとも多いものは、心筋症などの心臓病です。心筋症などの心臓病が原因なのか否かで心原生肺水腫と非心原生肺水腫の二つに分けられます。
心原生肺水腫
心臓の疾患を原因とする肺水腫です。心臓の動きが悪くなり、肺の血管に圧がかかりすぎることにより発症します。猫では肥大型心筋症、拘束型心筋症、拡張型心筋症などが原因となります。
非心原生肺水腫
心臓の疾患以外を原因とする肺水腫です。電気コードをかじる、飼い主の料理中などに煙を吸い込む、気道の閉塞などが原因となるケースがあります。
肺水腫の治療方法
軽度の場合は、原因となる基礎疾患の治療を行います。
重度の場合は、発症後急激に死に至ることもあるため、早急に酸素吸入、薬物療法などの入院治療が必要になります。状態が安定してきたら、基礎疾患に対して必要な治療を行っていきます。
肺水腫の予防方法
心筋症などの心疾患を患っている場合は、処方されている薬をしっかり投薬し、定期的に心臓の状態を評価してもらうことが大切です。
心疾患以外を原因とする肺水腫に関しては、電気コードをかじる事故などが原因となることもあるため、室内環境を今一度確認してください。
早期発見が何よりも大事
愛猫の様子を毎日チェックし、異変が起こっていないか確認するようにしましょう。ほかの病気にもいえることですが、とくに肺水腫は、症状が現れてから対処したのでは、手遅れになってしまうこともあるほど短期間で病態が進行します。猫の様子に少しでも違和感を覚えたら、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
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