愛犬が食べ物を噛まないで食べる。放っておいても大丈夫?

犬を飼い始めて飼い主がびっくりすることのひとつに、犬がドッグフードを噛まずに丸飲みするという行動があります。固形物を噛まずに飲み込んでしまうのは、飼い主から見ると心配になってしまいますが、じつは噛まずに飲み込む理由もあるのです。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬は「噛まないで食べる」のが普通

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犬がドッグフードやおやつを噛まずに飲み込んでしまうと、「しつけに失敗したのでは…」と考える飼い主も少なくないようです。しかし、犬が食べ物を噛まずに丸飲みするのは、しつけの問題ではなく犬の習性です。犬にとっては、食べ物を丸飲みするのが普通なのです。

もともと野生で生活していた犬は、狩りをして手に入れた食べ物をほかの犬に奪われないように急いで食べなくてはなりませんでした。そのため、噛まないで飲み込むことが習性となり、それは人間と共同生活を送っている今でも変わりません。ドッグフードを与えた時に「待ってました!」とばかりに急いで飲み込んでいくのもその名残です。

もちろん、この習性は犬種を問わず共通するものです。チワワも、トイプードルも、柴犬も、シベリアンハスキーも、食べ物を丸飲みするのが犬の習性なのです。

犬が噛まないで食べる理由は「歯の構造」

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もうひとつ、犬が食べ物を噛まないで丸飲みする理由があります。それは、犬の歯の構造です。

犬の前臼歯は食べ物を「引き裂く」ために使用され、後臼歯は食べ物を「しっかりと咥える」ために使用されます。人間の歯には食べ物を「すりつぶす」という役割がありますが、犬の歯にはそもそも「すりつぶす」という役割がなく、噛むという動作に向いていない構造をしています。犬の歯の形を見てみると、すべて先が尖っているので「引き裂く」ことは得意でも、「すりつぶす」ことには適していないことがわかります。

犬はもともと肉食動物ですので、最優先される歯の役割は「引き裂く」ことです。この「引き裂く」動作だけで食べ物を胃の中に送るため、噛むという動作が習性として身についていないのです。また、生肉のようなものであれば歯を使って「引き裂く」行為がみられますが、ドッグフードの場合はその目的で歯を使用する頻度が減ってしまうという側面もあります。

犬のおやつの丸飲みには注意!

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では、犬が丸飲みしてしまった食べ物はしっかり消化されるのでしょうか? じつは、犬の胃は、噛まずに胃までやって来た食べ物を消化できるように、胃液がたくさん出る仕組みになっています。食べすぎや異物でない限り、丸飲みした食べ物は消化されます。

同様に、犬が唾液を垂らしている様子を見ることも多いと思いますが、これは丸飲みした食べ物が喉・食道を通りやすくするための生理現象なので、とくに問題はありません。

ここでひとつ気をつけておきたいのが、野生動物時代の犬が食べていなかったもの…たとえば、乾燥肉やガム系のおやつなどは消化されるのかということです。じつは、これらの食べ物は、大きな塊で胃の中に入ってしまうと消化しきれないことがあります。乾燥肉やおやつの類を与える際は、丸飲みしても消化できるように、その犬のカラダに合わせて適当な大きさにカットしてあげましょう。

丸飲みが原因で動物病院に運ばれてくる犬の事例として多く見られるのが、誤飲による喉の詰まりです。唾液や胃液がたくさん出るとはいえ、サイズに合っていない食べ物や異物を丸飲みしてしまうと事故につながります。犬に食べ物を与える際は、必ず誤飲の危険性がないかを確認するようにしましょう。また、仔犬の場合はとくに丸飲みする傾向があるので、さらに注意が必要です。

犬は言葉を話せないので、飼い主側から寄り添って犬の希望を受け入れるようにしなければなりません。日頃からしっかりコミュニケーションをとり、どのような食べ物は丸飲みしても大丈夫なのか、どれくらいの大きさであれば消化できるのかなどをチェックしておくようにしましょう。そうすることで、より楽しく充実したペットライフが送れるはずです。

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