鳴き声からわかるフェレットの気持ちについて

細長いカラダつきと好奇心たっぷりの性格が魅力のフェレット。あまり鳴かない動物だけに、たまに発する鳴き声は、フェレットの気持ちを察するための重要な手がかりとなります。

  • サムネイル: 羊田ユウジ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

フェレットってどんな動物?

フェレットは野生のイタチを家畜化して、改良を重ねた哺乳小動物です。日本ではまだペットとしての歴史が浅い動物ですが、古代エジプトの遺跡の壁画に描かれるなど、古くから人とともに生活してきました。現在はアメリカやカナダ、ニュージーランドなどにフェレットを繁殖するファームがあり、そこで生まれたフェレットが去勢、避妊、臭腺の除去手術を施された後、世界中に送り出されています。

艶のある毛並みが美しく、つぶらな瞳がとてもキュートなフェレット。好奇心旺盛で頭が良く、飼い主と遊ぶことが大好きです。一方でマイペースな一面もあり、活発的に遊んでいても眠くなったら寝てしまいます。眠りがとても深いため、抱きかかえてもなかなか起きないフェレットが多いようです。

基本的にはケージ内で寝て過ごすことが多く、起きている時に部屋の中で遊んであげれば、毎日外を散歩させる必要もありません。

フェレットの鳴き声と意味

フェレットは犬や猫のように大きな声で鳴くことはありませんが、たまに小さな鳴き声を出すことがあります。その鳴き声にはいくつかの種類があり、それぞれに意味があります。

「クックック」「コッコッコ」と小刻みに鳴くのは、うれしい時、楽しい時、遊んでいる時です。少し興奮している状態で、鳴くというより喉を鳴らしている感じです。機嫌が良い時の声なので、フェレットがこの声を出している時は一緒に楽しく遊んであげるとよいでしょう。

「シューシュー」「シャー」は警戒や威嚇している時の声です。怖い、興奮している、怒っているという感情を表現しています。初めて見るものに対して発するほか、楽しく遊んでいる時でも、興奮しすぎるとこの声を発することがあります。威嚇のわりには小さな声なのでなかなか気づきにくいかもしれませんが、なるべく聞き逃さないように気をつけて、リラックスさせてあげましょう。

「キーキー」「キュー」「キャー」は痛い時、驚いた時、怖い時の声です。フェレットの鳴き声の中でもとくに大きくかん高い声で、聞き逃すことはまずないでしょう。多頭飼いでケンカになった時、何かにカラダの一部がはさまるなどのアクシデントが発生した時などに発するので、この声が聞こえた時は必ずフェレットの様子を確認するようにしてください。

「クククク」と低い声で鳴く時は不機嫌な時、何かに不満な時、退屈な時です。エサや飼育環境に問題はないか、遊びや運動量は不足していないか、あるいは飼い主がかまいすぎていないかなど、不機嫌の原因を見つけて解消してあげましょう。

また、生後3ヶ月くらいまでのベビーフェレットはよく鳴きます。「キャン」「グワー」と
かわいらしく鳴く声は、仔犬の鳴き声にも似ています。親が恋しくて、生後3ヶ月を過ぎてもしばらく鳴き続けるフェレットもいます。

フェレットの鳴き声に困ったら…

あまり鳴かないはずのフェレットが頻繁に鳴いたり、長時間鳴き続けたりしている場合は、その鳴き声から原因を探ってみましょう。飼育環境に問題はないか、ちゃんとエサを食べているか、遊びの時間は充分か、どこか具合が悪いのかなど、飼育環境とフェレットの体調をチェックして、これまでの飼育方法についても振り返ってみましょう。ケージの中が汚れている、ケージからなかなか出してもらえずにストレスが溜まっている、などがよくあるケースです。しっかりと鳴き声の原因を見極めて、フェレットの不安や不満を取り除いてあげましょう。

また、家に迎えたばかりのフェレットは、環境が変わったことによる不安から、しばらく鳴き続けることがあります。ケージを清潔に保ち、エサと水を充分に与え、一緒に遊んであげることでフェレットの信頼を得ることが大切です。

まだ幼いベビーフェレットの場合は、飼い主が親代わりになって優しく寄り添ってあげましょう。愛情をこめて接することで、ベビーフェレットも安心します。ケージ内に、親に似たぬいぐるみを置くのも一つの方法です。フェレットが成長すれば、飼い主が落ち込んでいる時などに、今度はフェレットが寄り添ってくれたりもします。

普段はあまり鳴かないフェレットが鳴く。それは、フェレットが飼い主に何かを伝えようとしているサインです。「うるさい!」と叱るのは逆効果。フェレットに限らず、ペットと楽しく暮らすためには、しっかりと信頼関係を築くことが何より大切です。フェレットが鳴いた時は、鳴き声からその理由を考えて、適切に対処してください。不安や不満を解消してあげることで、フェレットと飼い主の信頼関係も深まります。
鳴く原因の判断がつかない場合は、フェレットの診療に長けている獣医師に相談することも方法の一つとなります。

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