【獣医師監修】ウサギの鳴き声について。 鳴き声は感情を表現している証拠?
犬のワン、猫のニャー、というような声は出さないウサギ。物静かで、あまり鳴かないイメージがありますが、じつは、ひかえめながらも「鳴き声」で感情表現をしていることも少なくありません。耳をすませて、ウサギの「声」を聞き分けてみましょう。
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監修:オールペットクリニック 平林雅和院長
ウサギは鳴く?
ウサギの鳴き声ってどんな声? と聞かれても、ぱっと思い浮かびませんよね。小学校でのウサギの飼育当番や動物公園での触れあいでも、ウサギが鳴いていた記憶はない、という人は多いでしょう。
ウサギには声帯がないので、犬や猫のような鳴き声を発することはありません。その代わり、鼻を鳴らしたり、食道を狭めたりすることで、「声」のような音を発します。ウサギが鳴くのは心地よい時や怒った時で、声は、その子の様子を知る手がかりになります。
とはいえ、ウサギの声は、犬や猫のようにクリアではなく、まったく鳴かないウサギもいるそうです。この子は鳴くタイプかな? どんな時にどんな声を出すことが多いのかな? と注意して耳を傾けてみましょう。
鳴き声で分かる感情表現
ウサギは、「プゥブゥ」「クゥクゥ」などの鳴き声で、感情を表現します。注意したいのは、同じ「プゥブゥ」でも、トーンによって意味が異なること。また、声を発した時の様子や行動によっても、喜怒哀楽を表現しています。鳴き声だけではなく、行動もよく観察し、ウサギの気持ちを推しはかりましょう。
嬉しい時や甘えたい時
「プゥプゥ」「プープー」と軽く鼻を鳴らすような、高い音で鳴きます。ケージから出して遊んでいる時などに発することが多く、鳴きながらジャンプしたり、飼い主のまわりをグルグルまわって甘えたり、声だけでなく、全身でご機嫌な気持ちを表現する子もいます。
リラックスしている時
ウサギがケージの中で寝そべったり、眠そうに目を細めていたりする時、「クゥクゥ」「プゥプゥ」と小さく鼻を鳴らすような音が聞こえることがあります。これは、ウサギがリラックスしている証拠。愛らしい鳴き声についハグしたくなりますが、驚かせてしまわないよう、そっと撫でる程度にとどめましょう。
怒っている時
「プップッ」という低いトーンの声は、不満や怒りの表現。「ブーブー」とブーイングのような音を発することもあります。こうした声が聞こえる時は、ケージが汚れているなど何らかの問題があるはず。原因を突き止め、不快を解消してあげましょう。
こわがっている時、悲しい時
「キーキー」「キュー」という鳴き声は、恐怖や苦痛を訴えています。慣れない人に突然抱かれた時などに発することもあります。また、苦しげな声の調子は、病気や怪我が原因かもしれません。フードをちゃんと食べているか、脚をひきずっていないかなど、よく確認しましょう。
鳴き声以外の感情表現
歯ぎしり
ウサギが歯ぎしりをしている時は、痛みを感じているサインです。ウサギは幸せを感じている場合にも歯をこすり合わせることがありますが、痛みを感じている場合の歯ぎしりはそれより強いものになります。ガチガチ、ギリギリと大きな音を立てて歯ぎしりをする場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
足を踏み鳴らす
ウサギが強く足を踏み鳴らす場合は、緊張や恐怖を感じているサインです。もともとは危険が接近していることを周囲の仲間に知らせるための行動で、警報音のような役割を持っていました。また、怒っている時にもこの行動をとる場合があります。過剰なストレスを与えてしまわないためにも、ウサギが恐怖や苛立ちを感じている原因を見つけ、取り除いてあげてください。
あまり鳴くイメージのないウサギですが、小さな声にもしっかりと耳を傾けることで、その感情や要求を感じ取ることができます。大切なウサギの健康を守るためにも、日頃からウサギの鳴き声や仕草に気を配るようにしましょう。