【獣医師監修】猫の頭部外傷に要注意! 硬膜外血腫の症状と原因、対処法

猫が交通事故にあったり、猫の頭に重たい物を落としたりしてしまったら、外側から見てわかる傷がなくても要注意。猫の頭部に強い衝撃が加わることで、硬膜外血腫(こうまくがいけっしゅ)を発症するおそれがあります。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

猫の硬膜外血腫とは

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猫の脳は、外側から順番に「硬膜」、「くも膜」、「軟膜」の3枚の膜で覆われています。猫の頭部に強い衝撃が加わると、硬膜の外側にある毛細血管が破れ、硬膜と頭蓋骨の間に血が溜まり、脳を圧迫してしまうようになります。この状態が硬膜外血腫です。

よく似た病名に「硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)」というものがありますが、これはくも膜と硬膜の間に出血が起こることで生じます。

猫の硬膜外血腫の症状

猫が硬膜外血腫になると、以下のような症状が現れます。

●意識状態の異常(沈うつ、昏睡)
●目の反射の異常(瞳孔サイズ、眼振)
●運動機能の異常(姿勢異常、反射異常)

猫に限らず、動物の脳には神経が集まっています。その脳内の神経が出血により圧迫されることで、様々な神経症状を発症するのが硬膜外血腫の特徴。頭蓋内に占める血腫の質量に応じて、症状の程度も変化します。

さらに重症の場合、強い圧迫により脳が正常な場所から逸脱する「脳ヘルニア」を発症することがあります。この「脳ヘルニア」を発症すると、呼吸停止や心停止により死に至る危険が高まります。

猫の硬膜外血腫の原因

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猫の硬膜外血腫のおもな原因は、頭部への外傷です。

具体的には、高いところから落ちた、交通事故に遭った、何かが落ちてきて頭に当たったなどの衝撃が猫の頭に加わることにより、硬膜の外側に血が溜まり、硬膜外血腫を発症します。

なお、硬膜外血腫には、外傷を受けてすぐに発症する急性硬膜下血腫と、外傷を受けてからしばらく時間が経過したのちに発症する慢性硬膜下血腫があります。

猫の硬膜外血腫の治療と予防

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MRI検査やCT検査により、猫が硬膜外血腫と診断されたら、基本的には外科手術を行って血腫を取り除くことになります。

硬膜外血腫の予防方法としては、猫が頭部に外傷を受けるリスクを排除することが全てです。屋外での事故を防ぐために猫を完全に室内飼育にしたり、猫を散歩させる習慣がある家庭なら、散歩中の事故に注意したりすることが大切です。また、家の中では猫の上に落下する可能性があるものをできるだけ排除しておきましょう。

硬膜外血腫は、猫の命にもかかわる病気。猫が頭を強く打った可能性がある時は、すぐに動物病院へ連れていきましょう。また、猫が安全に暮らせるように、しっかりと飼育環境を整えてあげてください。

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