金魚を稚魚から育てよう! 飼育のポイントと注意点

金魚は成長過程をつぶさに目にできれば、かわいさもひとしおです。でも、金魚の稚魚の飼育は簡単ではありません。飼育のポイントをおさえて、稚魚を立派に育ててみましょう。

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稚魚のエサについて

金魚の稚魚の大きさはわずか5ミリ程度。環境のわずかな変化で死んでしまうほど、とてもか弱い存在です。水槽内にはもちろん稚魚のエサとなるプランクトンは生息していないので、稚魚が食べることができるエサを飼い主が与え、水質を適切に管理しなければなりません。

ふ化したばかりの稚魚はお腹に栄養を蓄えた袋(ヨークサック)があり、ふ化後2~3日間はエサが不要です。ヨークサック内の栄養分が尽きると、稚魚はエサを探して水槽内を泳ぎ回るようになり、この状態になったタイミングで、エサやりを始めます。稚魚用のエサは、生餌と人工餌の2種類。

生餌にはエビ類の幼生のブラインシュリンプ、ミジンコ、ゾウリムシなどがあり、その中でも定番として利用されるのがブラインシュリンプです。ペットショップなどで販売されている乾燥卵を、水温約28度の塩水に入れてふ化させてから稚魚に与えましょう。ブラインシュリンプの幼生を冷凍して固めたタイプもあるので、食いつきや与えやすさで選んでみてください。

人工餌には、稚魚の成長に必要な栄養分を満たしたパウダーフードなどがあります。そのまますぐに与えることができるので、生餌より手間がかかりません。ただし、人工餌は稚魚の食いつきが悪く、栄養不足に陥ってしまうことがあります。稚魚が栄養不足になると、背骨が曲がりや、成長後に発色が悪くなる可能性もあるので注意しましょう。

そのため、人工餌を与える場合は、スプーンやスポイトを使って根気よく食べさせるなどの努力が必要です。また、最初はブラインシュリンプと人工餌を混ぜて与え、人工餌もエサであることを認識させながら、少しずつ生餌から人工餌に切り替える方法も有効です。エサやりの頻度は、どちらも1日3~4回が目安です。

水質管理の仕方

稚魚がエサを食べ始めるようになると、食べ残しのエサやフンなどで水質は悪化してくるので、綺麗な水質を保つためにも換水が必要になります。
水質管理のために通常ろ過器を使用しますが、稚魚の場合小さすぎてろ過機に吸い込まれてしまうためスポイトを使って少しずつ行います。

スポイトでフンなどを古い水と一緒に吸って捨てていきましょう。スポイトで稚魚を吸い込んだり、水流を起こしたりしないように、ゆっくり慎重に行ってください。3分の1ほどの水を捨てたら、カルキ抜きした新しい水をそっと入れます。これも、水流を起こさないようにゆっくり行います。稚魚はわずかな水流も激流に感じ、ショック死してしまう場合があります。
なお、どうして換水の手間を少しでも省きたい場合は、吸い込み防止用のフィルターをろ過機に使用してください。

ふ化してから10日ほどで最初の換水を行い、以降は1週間おきを目安に行います。
また、稚魚の水槽の水を換える際は、水温にも注意してください。温度差が大きい場合も、やはりショック死の危険があります。稚魚専用の水槽は、常に水温20~25℃くらいを維持しましょう。

また、稚魚の水槽には、軽いエアレーションも必要です。強いエアレーションは稚魚の負担になるため、ゆるく小さい泡を保ちます。隠れ場所として水槽内に水草を設置してあげると、稚魚は水流から身を守ることができます。

ふ化後1ヶ月を過ぎると、稚魚は成魚に近い状態での飼育が可能になります。

金魚は1回の産卵で約500個、品種によっては5000個から1万個の卵を産みます。ふ化率が高いと大量の稚魚が誕生するので、卵はふ化させたい数だけ残しましょう。ここで卵をふ化させすぎてしまうと、飼い主が面倒を見きられず、後々間引きをしなくてはならなくなる場合もあります。そうならないためにも、自分が育てられる数の卵だけをふ化させるようにしましょう。また、ふ化した稚魚もすべてが成魚に育つわけではなく、強い個体以外は淘汰されていきます。時には、正常な稚魚とそうでない稚魚を、飼い主が選別しなければならない場合もあるでしょう。ふ化してから1ヶ月の間は、稚魚の様子を注意深く観察し、健康な成魚になれるよう、適切なお手入れをしてあげてください。

また、稚魚は親やそのほかの金魚と同じ水槽にしてしまうと、食べられる可能性があるため、必ず専用の水槽で飼育しましょう。

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