【獣医師監修】犬の咳。咳の原因や考えられる病気、治療法、予防法について
犬は、人ほどには咳をする動物ではありませんが、刺激があった時などに「カハッ」と咳をすることがあります。しかし、定期的に咳が続く場合は、何かしらの異常があるサインです。今回は、犬の咳がどのような意味を持っているのか解説していきます。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
犬の咳が出る原因
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人間のような「コホン」というものではなく「カハッ」といった喉に何か詰まったような音を出します。
犬の咳が続く場合、以下のような原因が考えられます。
呼吸器疾患
鼻、のど、気管、気管支、肺などに炎症や感染、異物、変性などがあると咳が出ます。仔犬でよくみられる「ケンネル・コフ」という咳が主症状の疾患は人でいう風邪のようなもので、ウイルス感染や細菌感染が原因となります。
循環器疾患
心疾患により拡大した心臓が気管を押し上げることで咳が出ます。また、血液循環が正常に行われず肺の血管がうっ血することも咳を誘発します。
犬フィラリア症により、心臓や血管に寄生したフィラリアの影響で咳が出ますが、定期的にフィラリア薬による予防をしていれば感染を予防できます。
不自然な姿勢で水を飲ませている
これは病気ではありませんが、無理な角度で水を飲むと、飲水後にむせてしまうことがあります。ケージの高い位置などに給水器を取り付けている場合は、頭を下げて自然な姿勢で水が飲めるようにしてあげましょう。
犬の咳の治療方法
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このように咳がサインとなっている病気は様々なので、その治療法も違います。
呼吸器疾患による咳に対しては内服薬を処方されることが多いですが、ひどい場合はネブライザーを使用して薬を吸入する必要があります。また、感染を起こしている場合はその原因により抗生剤なども処方されます。循環器疾患が原因の場合は、心臓の働きを助けるような薬や、うっ血している水分を尿として排泄するために利尿剤が使用されます。
フィラリア症に対しては、駆虫剤を使用したり、場合によっては外科的に摘出することもあります。
犬の咳を予防する方法
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一番大切なことは、予防できる病気はワクチンや予防薬でしっかり防ぐことです。また、太り過ぎは気管を圧迫するので、体型にも気をつけましょう。
その他の病気に関しては、定期的に健康診断を受けることで、早期発見を心がけることが重要です。ひどい咳を起こす前に病気の存在に気づいてあげたいですね。
また、汚れやアレルゲンなどを、環境からなるべく取り除いてあげることも忘れずに行いましょう。こまめな掃除やブラッシングに加え、気になる場合は空気清浄機を使用するのもいいでしょう。
犬の健康をしっかり守っていきたいですね。