ワンちゃんの命は飼い主さんが守る! 災害にあう前に確認したいペット防災とは

地震や台風など、災害が多いことで知られる日本。もし大きな災害が起きたときに、ワンちゃんのことを守ってあげられるのは飼い主さんだけです。日頃から少しずつ準備をして、いざというときに安全を確保し、迅速な行動ができるようにしたいですね。

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大きな災害はいつ起きるかわかりません。そんなとき、愛する犬の命を守ることができるのは、飼い主さんだけです。いざという時のために日ごろから備えをしておくことが大切です。まずは、どのように災害に備えておけばよいか、考えていきましょう。

1.家の環境を見直す

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まず、ワンちゃんと飼い主さんが一番長い時間を過ごすことになる、家の環境を見直しましょう。大がかりな耐震工事ができればもちろん良いですが、コスト面を考えると簡単に取り掛かれることではないですよね。なのでまず最初はその日のうちからできることをやり、最低限の安全の確保をしましょう。

災害に遭った場合、必ずしも冷静な対応ができるとは限りません。家の中の安全を確保しておくことで、パニックになったワンちゃんがケガをしたり、脱走したりすることを防ぎます。

家の中に“危険な場所”を作らない

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■余分なものを捨てる
■重いものは床の近くに置く
■大型の家具は固定する

簡単にできる災害対策として、「家の中の整理整頓」があります。家の中に物が多いと地震が起きた際に物が散らばり、ケガをしたり、避難がしにくくなります。1年以上使っていない物は捨て、普段から使わない物を外に出しっぱなしにしないことで、災害時に散乱することを防ぎます。

辞書や大型の書籍類、食器など重たいものが倒れると、ワンちゃんが圧死してしまう可能性があります。重たいものは戸棚の下に置き、万が一落ちてきても危険が少ないように対処しましょう。

また、テレビや本棚など大型の家具に関しては、あらかじめ固定しておくことが大切です。近年では、家具を固定することができるシールや金具など、様々なものが販売されているので、上手く活用しましょう。食器棚にはストッパーをかけ、割れ物でワンちゃんが怪我することを防ぎたいですね。

危険な場所を作らないことは、災害対策において大切なことです。特にワンちゃんの場合は、ガラスの破片などで足裏を怪我しやすいです。ガラス窓には飛散防止フィルムなどを貼って、できるだけ割れ物が少ない環境にしたいですね。

安全な場所の確保

■クレートやキャリーの使用
■犬が出入りできるドア

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危険な場所をできるだけ少なくした後は、ワンちゃんにとって安全な場所を作ってあげましょう。災害時、飼い主さんが外出中でも、ワンちゃんがある程度安全な場所に逃げ込めるようにすることがポイントです。

一緒に避難するときにもスムーズにいくよう、普段からワンちゃんに“クレートは安全な場所だ“と思ってもらうことが大切です。できれば、ブランケットなどを敷き、いつもの寝床として使うとよいでしょう。災害時、ワンちゃんがとっさにクレートに入ってくれれば安全も確保しやすく、避難もしやすいですね。

クレートを設置する場所にも注意が必要です。周りに重たいものや落ちて来るものがなく、割れ物などがふってこないような位置に置いておきましょう。

地震などが起きた場合、戸が歪んで開かなくなることもあるので、外出時にはワンちゃんが部屋を移動し、逃げることができるように、部屋のドアを開けておくとよいでしょう。

避難用の荷造りをする

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■最低限の食料と水
■トイレ用品
■予備のリードや首輪
■包帯や常備薬

災害が起きたときに、ワンちゃんと自分の安全を確保しながら、必要なものを選んで持っていけるとはかぎりません。速やかに非難するためにも、避難用のバッグを作り、すべてその中にいれておくようにしましょう。

ワンちゃんが普段食べ慣れている食べ物と水は、1週間以上配給がなくても大丈夫なように多めに入れておきましょう。また、ワンちゃんには必要不可欠なトイレ用品や、予備のリードや首輪も用意しておきたいですね。ワンちゃんが怪我したときだけでなく、飼い主さんが怪我した際にも使える医療キットなども準備しましょう。

避難バッグは持ち出しやすいように玄関の近くや、ワンちゃんのクレートの近くに置いておきましょう。できれば複数の避難バッグを作り、あちこちに置いておくと、崩壊や物の転落によって避難バッグが取れない、という事態を防ぐことができます。

ワンちゃんがパニックになっていたリ、ケガをしていた場合に抱えて歩くことができるように、両手が空くようなリュックサックに必要なモノを詰めるとよいでしょう。大人が持つのであれば、重さは8キロ前後を目安にして、物を詰めてくださいね。

外飼いの場合も環境を整える

■塀やガラスの真下に犬小屋を設置しない
■リードにはある程度余裕を持たせておく
■首輪やマイクロチップをする

外飼いをしている場合でも、周囲の環境には気を配りましょう。まずブロック塀やガラス窓は災害によって崩れたり割れたりすることがあるので、犬小屋はその周辺に設置しないようにしましょう。ワンちゃんが身に危険を感じたとき、ある程度動けるようにリードには余裕を持たせておきたいですね。

また、万が一迷子になったときの身分証となるので、首輪やマイクロチップなどを装着しておきましょう。首輪はワンちゃんが脱走しづらいというメリットがありますが、パニックになったワンちゃんに絡まってしまったり、飼い主さんの帰宅が遅れて痩せてしまった場合に抜けてしまうというデメリットがあります。

下記でご紹介するマイクロチップと併用したり、抜けてしまったときの対策に出入り口に扉を設置するなど、対策を取る必要があります。

2.飼い主さんが心構えをしよう

避難所の把握

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東日本大震災以降、各地の自治体で防災計画の見直しが進んでいます。自分が住んでいる地域の防災計画はどうなっているのか、災害が起きる前に知っておくことも大切です。

まずは自宅から一番近い避難所はどこなのか、ペットの受け入れは行う予定なのか、よく調べておく必要があります。

避難場所が分かったら、ワンちゃんと一緒に散歩がてら歩いてみましょう。家から歩いて行く場合はどのくらい時間がかかるのか、道が崩落していた場合には回り道ができるのか、歩きながら調べてみてください。自治体が発行しているハザードマップなどを参照するのも良いですね。

地域の人との連携

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災害が起きたとき、飼い主さんの力だけではどうにもならないこともあります。災害時に飼い主さんが近くにいなかったり、ワンちゃんが脱走してしまったり、様々な問題に直面します。そんなときに頼りになるのが、同じようにワンちゃんを飼っている人たちの協力です。

まずは、散歩で出会う近所の人たちに挨拶するところから始めましょう。顔見知りになっておけば、ワンちゃんが居なくなった時などに手分けして探すこともできます。

犬好きが集まる集会などがある場合は、定期的に参加するようにして、飼い主さん同士が協力できるような環境を作っておきましょう。協力者がいれば情報の共有も早いので、ペット受け入れ可の避難所や動物病院の情報が入りやすくなります。

大切なのは、飼い主さんたちが思いやりの心をもって協力しあうことです。非常時だからこそ、同じワンちゃん好き同士協力し、安全を確保してあげましょう。

犬のことをよく知っておく

■犬の性格を知っておく
■パニックになるか
■災害時はどうなるのか

飼い主さんは誰よりもワンちゃんのことを理解しているかと思いますが、災害という非常事態になった場合、ワンちゃんはどのような行動を取るか予想ができるでしょうか。

普段温厚なワンちゃんでもパニックになり、人を噛むかもしれませんし、臆病なワンちゃんの場合は吠えてしまうかもしれません。飼い主さんが落ち着いていれば、あまり動じないという場合もあります。

自治体などが運営する防災イベントではワンちゃんと一緒に参加できる防災訓練があります。地震を疑似体験することもできるので、そのようなイベントを通してワンちゃんが災害時にどんな反応をするのか、よく知っておくと安心ですね。

3.気を付けておくべきこと

ワクチンの接種

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避難所では沢山のワンちゃんや猫ちゃんと一緒に暮らすことになります。衛生状態も良い環境とは言えないことが多く、病気が広がりやすい環境にです。そんなとき、しっかりと予防接種をしておけば、ある程度は病気を防ぐことができます。

ワンちゃんの場合は、5種類の混合ワクチンが基本です。犬種やワンちゃんによっても変わることがあるので、獣医さんと相談しながら、定期的にかならずワクチンを打つようにしましょう。

更に、ワンちゃんの場合は接種が義務付けられている「狂犬病ワクチン」もあります。必ず定期的にワクチンを打ち、飼い主さんとしての義務を果たすのが大切です。

犬を自治体に登録した際に発行される"鑑札"と、注射をしたときに発行される"注射済票"を首輪に身に着けておけば、狂犬病のワクチン接種が済んでいるかわかるだけでなく、迷子になった際も飼い主さんの元へ戻ってきやすくなります。

マイクロチップの装着

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先ほど紹介した"鑑札"なども、ワンちゃんが迷子になったときに役立つ身分証ですが、ワンちゃんの首輪が外れてしまうと意味がありません。そんな時に便利なのが体に埋め込む身分証、"マイクロチップ"です。

マイクロチップは専用の機械をかざすと、そのチップからワンちゃんの飼い主さんの情報などを読み取ることができるので、迷子になっても再会できる可能性があがります。鑑札と併用して、マイクロチップの装着を検討してはいかがでしょうか。

備えをしておけば、いざ災害に遭ったときにワンちゃんが怪我をしたり、迷子になったりする可能性が下がります。日頃から少しずつ準備をして、心構えをしておきましょう。

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