犬だって言葉は理解している! 柴犬への口のきき方には気をつけろっっ!!
犬は人間の言葉が理解できるのか? 都合の悪い時は何言ってもわからなそーな顔してるけど、ホントは……って、この謎も現代科学によって解き明かされてきたという。犬的には解き明かされたくないのかもしれないけど。(Shi-Ba 2017年7月号 Vol.95より)
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犬は赤ちゃん言葉で話しかけられるのが大好き
犬はある程度、人の言葉を理解していると思う、思いたい、そうあってほしい。そう願っている飼い主は大半だと思う。たぶん。そんな方々に朗報っす。昨年の夏に学術雑誌『サイエンス』に掲載された研究発表によれば、犬の脳も人間と似た方法で情報を処理していることが判明したとか。
また、今年になってイギリスの研究チームがさらにこれを検証して「子犬は、赤ちゃん言葉で話しかけられるのが好きみたいっす」と、いうことがわかってきた。人間の子供と同じで子犬の場合も「お元気でちゅか〜」と、やや高い声で優しく話しかけられると、嬉しくなっていい感じのテンションが保たれる。
また、成犬の場合でも、それなりにいい反応を示すという。まあ、人間でも、優しく語りかけられると素直になれたりもする。相手の口調に対する印象は違ってくる。その印象を踏まえて起こすリアクションもまた違ってくるということ。
そこで、Shi-Baでもこの研究成果をふまえて、読者の方々の愛犬はホントに言葉を理解してるのか? と、柴犬の人語に対する理解度を検証してみようと思ったわけです。さて、どんな結果になることやら。
ちゃっくん「よくよく注意するように!」
お嬢さん「ひ〜! すみません〜」
Shi-Ba編集部がよく使う言葉①
◦かわいい!
犬が初対面にも関わらず、懐っこく近づいてきてくれた時などによく発せられる言葉。オス、メスどちらへも多用。
◦かっこいい!
犬が凛々しくポージングした時や、ワイルドな動きをした時などによく発せられる言葉。「すてき!」と併用することも。
◦すごい!
ボールキャッチや、得意技などを犬が見せてくれた時などによく発せられる言葉。手を叩きながら言うこともあり犬には迷惑!?
◦すてき!
女性スタッフが犬に惚れ込み、メロメロにされてしまった時などによく発せられる言葉。オスへ多用し「かっこいい」とも併用。
Shi-Ba編集部がよく使う言葉②
◦頭いい~! or 賢い!
「こんなポーズしてほしいな~」というお願いなどを、犬が叶えてくれた時などによく発せられる言葉。「すごい!」との併用も。
◦オヤツ or ゴハン
食べることが好きな犬を撮影する時によく発せられる言葉。ただしスタッフはオヤツを持っていないことが多い(準備しとけよ!)。
◦食べる?
「オヤツ」「ゴハン」同様、食べることが好きな犬を撮影する時によく発せられる言葉。「おいし~!」と言ったりすることも。
◦オモチャ
遊ぶことが好きな犬を撮影する時によく発せられる言葉。実際にオモチャを提供するかどうかは本犬や飼い主さんと要相談。
Shi-Ba編集部がよく使う言葉③
◦遊ぶ?
「オモチャ」同様、遊ぶことが好きな犬を撮影する時によく発せられる言葉。「うわ~楽し~!」とスタッフもテンションをあげる。
◦散歩
散歩をすることが好きな犬を撮影する時によく発せられる言葉。「い、行きたいっ!」と目を輝かせること請け合い。
◦行く?
「散歩」の他、「車で~」「ベッドに~」など犬が好きな場所を連想させるためによく発せられる言葉。いきいきとした表情になる。
◦好きな人 or 犬の名前
カメラ目線が欲しい時によく発せられる言葉。「え! あのコいるの!?」とワクワクした嬉しい表情でカメラに向いてくれる。
「メッ」の一言で、家庭内の平和は保たれる!?
鈴木豆助(オス・1歳)
言葉、結構理解してまっす!
【呼び名:まめ】
イタズラをよくしていた豆助だが、しつけの甲斐あって聞き分けの良い犬に育ったという。でも、大好物のリンゴを目にすると、何を言われても聞こえない!?
理解はできるんだけどねぇ
いたずらはやめられねっす
好きな言葉
◦ハウス
鈴木家ではこれが“ゴハン”、“オヤツ”の意。おいしいものをもらえる魔法の言葉なので、食べることが大好きな豆助は大喜び。
◦パン
これも鈴木家では“オモチャ”の意になる。遊んでもらえる合図なのでもちろん大好き。他人にとっては難解な言葉も完全理解!?
嫌いな言葉
◦ダメ
これを言われると、一瞬動きが止まって挙動不審に。叱られてることは理解できているようだ。
◦メッ
「ダメ」よりさらにキツ~イ叱責。この言葉を言われると、マジ落ち込む。まあ、回復も早いのだけど。
高音
飼い主さん「おいで~コロコロしてあげる」
まめちゃん「この状況で重低音 なんか笑っちゃいそう」
「コロコロしてあげる」これが至福の時っす
カーペット掃除のついでに「コロコロしてあげる」と高い声で語りかければ、豆助も嬉しそうに目を細める。コロコロ・マッサージはかなり好き。
飼い主さん「まめちゃ~ん ちょっと待って……」
まめちゃん「息があがってると高い声は悲鳴に聞こえる」
高音の赤ちゃん言葉は犬を喜ばせるツボ!?
「まめた~ん」と高音で優しく呼んでやると、大喜びでテンションあげあげ。だが、男性のご主人には、人前だとちょっと恥ずかしい?
まあ、基本的にいつも上機嫌っす
ご主人との会話を拒絶しているのか!?
ご主人が話しかけると、叱っているわけではないのに豆助は顔を背けることがある。「仕事のグチなんぞ、聞きたくねーんだよ」とか、思ってたりするのかも。
中音
犬の牙でつくるダメージジーンズ いい値がつきそう
甘噛みされた時悲鳴は逆効果か!?
豆助はご主人を甘噛みすることがよくある。戯れているのだが、けっこう痛い。「痛い、痛い」と大声で叫んでも効果なし。むしろ大喜びして激しくなる!?
オヤジたちの口のきき方
玄関から直行!?
帰宅すると一直線に豆助のもとへ
仕事から帰宅したご主人は一直線に豆助に行き「まめた~ん、元気ぃ」と赤ちゃん言葉であいさつ。奥さんはこれについて、ちょっと妬けるのだとか。
口調が変わる時
飼い主さん「ねぇ、ここ これ誰がやったの!!」
まめちゃん「さぁ、誰でしょ 記憶にございません」
ご主人の怒りは伝わってなかった!?
新築間もない家の壁をいたずらして破壊した時には、普段は優しいご主人も「まめ~」と重低音でお説教したとか。でも、時間が経過してから叱っても、豆助には何のことやら……まったく効果なし。
新築の壁を破壊された時は「ダメッ」の声もだせず……
リビングの隣にある和室にクレートが設置してある。鈴木さんご夫妻が家を留守にする時、豆助はここに入って留守番。
ご主人は帰ってきた時に「マメ、ただいま」と、リビングに入る前にまずは豆助のいる和室に入ってあいさつするという。「ただいま」の言葉がわかっているかどうかは不明だが、とりあえず豆助は大喜びしてシッポを振る。「ただいま」は寂しさと退屈から解放されるキーワード。
「わかっていると思いますけど」
これは、ご主人の希望的観測ではあるのだが。クレートがある和室は豆助が1日の大半を過ごす場所。リビングやキッチンからは見えにくい。それだけにいたずらし放題。見れば壁のあちこちが剥がれている。
「これでも1度修理したんですけど、子犬の頃は特に激しくて」
発見した時には、壁紙は剥がれ、大きな穴が空いていたという。
「あの時は、ダメって言葉もでませんでしたよ。でも、普段は“ダメ”と言えばすぐにやめます。聞き分けは良いほうだと思います」
いたずらっ子でしょっちゅう「ダメ」と言われてるだけに、この言葉の意味もわかっているのか? 普段は「ダメ」だが、それでも意固地になってやめない時には「メッ」と強めの口調で言う。これも効果があり、また、豆助に少し甘いところがあるご主人が言うより、しつけに厳しい奥さんが言うほうが、効き目はてきめんなようで。
豆助との会話には、鈴木家だけで通じる家庭内言語もあり。例えば、豆助の食事はいつもクレートの中で与えているので「ハウス!」と言えば、それは「ゴハン」の意。また、大好きなオモチャはパンを模したクッションなので「パン」は「オモチャ」のことになるという。
日本語の理解度については怪しいところはある。だが、少なくとも頻繁に使用するこれらの家庭内言語は、豆助は完璧に理解しているようである。
オス犬だってたまには優しく声をかけてほしい!?
竹内バロン(オス・12歳)
渋い名前でしょ
【呼び名:バロン】
飼い主の竹内さん夫妻と一緒に登山やトレッキングを楽しむというアウトドア犬。物静かで穏やかな性格だが、遊ぶ時には気合入れて走りまわる。
竹内紅緒(メス・11歳)
まだまだ若いよ~
【呼び名:べに】
保護団体から引き取られてきた紅緒だが、先住犬のバロンよりも態度が大きい? 甘え上手なお嬢さん気質で、今ではすっかり家族の中心的存在に。
好きな言葉
◦よーし、いいコ
ご主人が帰宅時に声かけする言葉。紅緒はこの言葉が大好き。毎日言われてるけどほめ言葉は気分がいいみたい。
◦ありがとう
「ありがとう」の後には必ずごほうびがあるから、食いしん坊のバロンには嬉しい言葉。
嫌いな言葉
◦いけない
時にはゴミ箱をあさることもあるというバロンは、それを制止される「いけない」という言葉が嫌いなのかも。
◦マテ
早く食べたいのに「マテ」は……ちょっと、辛い。まあ、そのうち食べられるからいいんだけど。
高音
これも、奇跡の一枚かな?
飼い主さん「べにちゃん すごーい!」
べにちゃん「何してるの……?」
飼い主が大げさに喜んだら犬はどうする!?
ボール遊び中「キャー」と大げさなリアクションをしてもらう。しかし紅緒の態度はいつもと変わらず、手前でポトリとボールを落として傍観。
お得意ポーズ めひょ〜!
犬科の動物も“女豹”になれるのか?
「女豹」と言えば、紅緒はすぐにこのポーズをとる。言われたらそう見えなくもないのだが……。コマンドは高い声で言えば効果も高いという。
中音
話、聞いてるよ!
人の話をよく聞く犬 会話の内容もわかる?
バロンは普段から人の話に聞き耳を立て聞いてることが多い。取材中にも、気がつけば輪の中に入り、自分も話に加わっているつもりだろうか?
口調が変わる時
森でクマと 遭遇した時は……
死んだふり
死んだふり……
重低音でビシッと、しつけには効果あり
バロンは基本的にどんな口調でも、指示には忠実に従う。なかなか言うことをきかない紅緒は、普段の「べにちゃん」ではなく低く強い口調で「紅緒!」と言えば、これが効果てきめん。
さて、キミの話を聞いてやろうじゃないか
それなりには人の話を聞いている
普通に話しかけても、バロンはよく聞いている感じ。紅緒は興味が他のところにある時は、あんまり聞いてないような。
トレーニングの賜物 コマンドの理解度は高い
竹内さん夫妻はドッグトレーナーの指導のもと、バロンをスパルタで育てたという。その甲斐あって、聞き分け良く礼儀正しい犬に育った。
レッスンの時に様々なコマンドも使ったので、そういった単語は理解しているようだ。大好きな言葉は「ありがとう」。車の中などで待たせた時には、この言葉をかけてごほうびのオヤツを与える。それをよく覚えているようだ。
一方、バロンを迎えた後、里親として引き取った紅緒には「べにちゃ〜ん」と、ふたりとも大甘。理解できるコマンドも、バロンと比べればかなり少ないという。長男には厳しかった両親が、末っ子の娘には甘いってのは、人間の子育てにもよくあるパターンだったりするのだが。
特にご主人のダブルスタンダードは激しい。例えば、紅緒を呼ぶ時には「べにちゃ〜ん、ほら、こっち来て」だが、バロンには「ほら! こっち!」といった具合。男同士の照れというのもあるのだろう。まあ、バロンのほうは、もともとが鷹揚な性格なので「どっちでもいいっす」と、この状況を受け入れてるようではあるのだが。
それでも、低い声で「バロン!」と呼ばれるよりも、少し高いトーンで「バロ〜ン」と呼ばれた時のほうが嬉しそう。
「高い声の時は、私たちも機嫌が良いんだと判断してるみたいです。そんな時には、何かおいしいものがもらえるかもって期待してるみたいで」
日頃から飼い主をよく観察して、その声の感じから意図を察する技を会得できたようだ。
「犬たちにはよく話しかけますよ。ゆっくりした口調で話せば、ある程度は単語を理解できていると思います。それから、人に話すよりは少し高い声で話すようにしています。そのほうが、犬の反応も良い感じはありますね」
犬との意思疎通には、単語そのものよりも、声の高さやイントネーションが重要なのかもしれない。
「ちゃっくん、ゴハ~ン」その言葉を聞けばテーブル下の定位置に爆走
金子茶太雄(オス・8 ヶ月)
茶色い男だからなっ
【呼び名:ちゃっくん】
男は黙って……渋い感じの茶太雄だが、これでけっこう寂しがり屋。食事の時もお風呂の時も、家族がいる場所にはいつも一緒についてまわる。
家族の会話に聞き耳 ひょっとして人語がわかる!?
飼い主が考えてることだいだいわかりますよ
リビング中央のソファが茶太雄の定位置である。ここにいれば、家族の会話も聞き漏らすことがない。人語を分析しながら、家庭内の情報を収集しているのだろうか?
好きな言葉
◦ゴハン
この言葉に勝るものはなし!! 食べることが大好きなだけに、やっぱり最も強い反応をする。
◦かまちゃん
息子さんの友人の「かまちゃん」が大好き。その名を聞けば、キョロキョロと探しまわる。
嫌いな言葉
◦お風呂
嫌いなこの言葉を聞けば、風呂場からできるだけ遠ざかり、隠れながら必死の抵抗。これだけは勘弁?
◦留守番
お風呂の次に嫌いなのは1匹でする留守番。「留守番してて」も、なんとなくわかっていそうな感じ。
高音
頭になんか乗ってる気が……
甲高いほめ言葉に茶太雄もご満悦
頭にオモチャを乗せるのは嫌がる……はずが、この時はたまたま成功。家族が「きゃースゴイ」と大喜びすると、茶太雄もまんざらでもない表情。
なんか、ふたりとも今日はヘンですよ!!
女たちの嬌声にモテ男は何を思う!?
茶太雄をどちらが抱っこするかで、母娘が取り合い。お嬢さんが「やだ~」と叫んでも「モテる男はつらいな」ってな感じで、されるがまま。
えーと、えーと、 俺、呼ばれてる?
俺の噂してるん!? なんか気になるなぁ
2階から家族の話し声が聴こえてくると、かなり気になっている様子で階段下から様子をうかがう。しかし、呼んでも階段を上がってはこない。
かーちゃん、ねーちゃん 今日は混浴でお願いします
ドアの向こう側がとっても気になる……
家の中では誰かの側について離れない。お母さんと娘さんが風呂に入ると、風呂場に直行して様子をうかがう。お風呂は大嫌いなはずなのだが。
オヤジたちの口のきき方
人前で赤ちゃん言葉はやっぱ、無理……
家の中では「チャッく~ん」と甘い声、赤ちゃん言葉にかなり近い感じだが。さすがに人前では恥ずかしいようで、散歩中の屋外では「チャー、行くぞ」と、小学校高学年の息子に話すくらいな口調に変わる。
とーちゃん 顔近くない……?
口調が変わる時
叱られ慣れてないだけに意外と打たれ弱い!?
「チャー、ダメ! わかった?」と、ご主人が強い口調で叱る。茶太雄は目をそらして、ご主人と目を合わせない。その後しばらくは、おとなしくより上目遣いで様子をうかがっていた。かなりヘコんだ感じが見てとれる。
俺、叱られるよーなコト何かしましたか!!(涙)
物言わぬ無口な犬もその表情を見れば……
茶太雄は吠えない。無口というのだろうか、知らない人が家の中に入ってきてもジッと見てるだけで静か。
「子犬の頃から、吠えたり鳴いたりすることなかったですね。視界に入ってない時は、どこにいるのかわからない。静かな犬なので飼いやすいです」と、飼い主さん。
確かに、物静かで飼いやすそうな犬なのだが、反応が少々わかりづらいか……? はたして人の言葉をどこまで理解しているのか?
「無口だけど人の話はよく聞くんですよ。よくよく観察すれば、小声で“うぉうぉ”と相づち打ったりすることもあります。また、言葉に対する反応を見ていると、かなり理解してるんじゃないかなとは思います」
例えば、「パパ帰ってきたよ」と言えば玄関にダッシュしてお出迎え、大嫌いな「お風呂」の言葉に逃げまわり隠れ場所を探す。「ちゃっくん、ゴハ〜ン」の声を聞けば、大急ぎでテーブルの下に潜り込んで待機。「何かもらえるかも」と期待でワクワクした表情になるという。
なるほど、確かにわかりやすい。「いいコだね〜、かわいいね〜」「賢い犬だね〜」と、ほめ殺しの実験をしてみたところ、興奮するでもなく吠えることもなく。いつもと変わらぬ平常心を保ってるようだが……よくよく観察してみると、まんざらでもなさそうな表情。
もしも茶太雄に人語が話せれば、口をついて出る言葉は「当然だろ」ってなところだろうか。
はじめて飼った犬だけに声のかけ方にも気を遣う
吉田ひまわり(メス・4歳)
トカゲ「つ、捕まった」
ひまちゃん「なにこれ~~!」
【呼び名:ひま】
駅前のペットショップで偶然見つけ、家族の総意で迎えることに。吉田家では犬を飼うのは初めてだったが、ひまわりが来たことで家族間の会話も増えたという。
好きな言葉
◦ゴハン
「ゴハンだよ~」と言われると、大喜びして駆けてくる。1日中、この言葉を待ってるような。これに勝る言葉なし!!
◦散歩
次に好きな言葉は「散歩」。散歩に関連する「行くよー」などの言葉も好き。ただし、雨の日は嬉しくない様子。
嫌いな言葉
◦病院
この世で一番嫌いなのが病院。「ビョーイン」「チュウシャ」の言葉で、すぐ表情が曇る。
◦ダメ
やりたいことをやめさせられる言葉が嫌い。聞き分けの良い犬も、ほとんどはやりたいことを途中でやめさせられたら嫌だよな~。
高音
いま呼んだ?
家族の会話がとっても気になる
家族で話をしてる時、ひまわりの名前を口にすると、首をもたげて見てくる。自分の話をしているということはわかっているようだ。
中音
このタイミングで話しかけられてもなぁ
他人の目線を気にせず外でも自然体で声かけ
「ウンコ」という言葉は年頃のお嬢さんには恥ずかしいと思いきや。ひまわり相手だと、恥ずかしい言葉や口調ほとんどないのだとか。
低音
女のコにも変声期あるの!?
声の高低よりも雰囲気がなんかヘン!?
娘さんが低音で話かけようとするが、なかなか声が低くならなくて……でも、何か違和感を覚えたようで、ひまわりは少し警戒モード?
その声で「散歩」と言われてもなんか、楽しくない
どんな声で言われても嫌なものは嫌だ!!
ひまわりは首輪をされるのを嫌がる。お母さんは低い声で話しかけて首輪をつけるが、声の高低ではひまわりの反応に変化なし。
口調が変わる時
かじりたいなぁ
大きい声は苦手なんだよなぁ
ひまわりは高低よりも、声の大小のほうが敏感に察知するようだ。大きめの音量で「いけない!」と言えば、ピタリと動きを止めて上目遣いで様子をうかがう。
オヤジたちの 口のきき方
とーちゃんも苦労してるのだな
やっぱり他人には聞かれたくない……
「ひまちゃん、いいウンコでたねー」と言ってるとこを人に聞かれて、気まずい思いをしたことがある。散歩時は家の中よりも声が低くなってるかも。
めったに使わない低音だから叱責の効果は満点
「犬にはできるだけ高い声で話しかけたほうがいい。そう聞いていたもので意識してます」と、奥さんは言う。
また“はひふへほ”の語感は、犬が怖いイメージを抱くという話を聞いて「ひまわり」の名も改めるべきか……と悩んだ時もあったが、幸い、犬のほうは気にすることなく「ひま〜」と呼べば、どこからでもシッポを振りながらすっ飛んで来るという。
ひまわりが楽しく暮らせるように、声のかけ方には気を遣っている様子。声の低いご主人も、ひまわりに話しかける時は、無理して少し高めの音域を意識しているという。
しかし、とある日にご主人が大切にしていた高価なイヤホンを、ひまわりが壊したことが。夜中に帰宅してそれを発見した時には「ひま〜!!」と、思わず重低音の怒声を発してしまったという。初めて聞く音域に、ひまわりも驚いたそう。
普段は叱られてもへっちゃらなのだが、この時ばかりはかなりビビッてビクビク。その効果に、叱ったご主人のほうも驚いたとか。
「本気で叱らなくちゃいけない時、これは使えるなと思いました」
偶然発見した愛犬教育の最終兵器ではあるのだが、使わないで済めばそれが一番だろう。
まとめ
我々人間だって犬語をけっこうわかってる
我々人間の側はどうだろうか、犬の言うことを理解できているか?
そこのところを考えてみれば……キュ~ンと鼻を鳴らせば「悲しいのか?」「何か要求してるのか?」と察したり、普段の吠え声と違ってギャンギャンと激しく吠えたら「怖がってるな」とか、ウ~ッと唸れば「何怒ってるんだよ」と、なるほど、けっこう犬の言葉って理解できているような。
また、人が犬の吠え声から察する程度には、犬側も人語を理解してそうな気がする。
いや、それは言葉として理解してるというよりも、口調から人の感情を察しているのかも。優しげな赤ちゃん言葉や高い声に、犬の反応が良くなるというのもそのあたりが理由だろう。
ただ、取材した感じだと日本犬の場合は……他の犬種とは違って、反応はさほど良くなかったような。むしろ、普段は低い声で話す飼い主が、無理して高い声を出したりすると、「大丈夫ですか? なんか、いつもと感じが違うですよ」なんて戸惑っているような感じもある。
普段通りに話しかけるってのも、犬とのコミュニケーションを円滑に保つには大切なことなのかもしれない。
Text:Makoto Aoyama Photos:Minako Okuyama、Miharu Saitoh、Teruhisa Tajiri