洋犬に比べると乗り物が苦手なイメージが強い日本犬。でも、最近では家族とドライブしたり、キャンピングカーに乗って旅行したり、中にはバイクのサイドカーに乗るなんて方々も。昔の日本犬はどうだったか、昭和の女が勝手に考察だっ!
今どきの犬は車での自分の席をしっかり確保!
Hey! 彼女! 俺の車乗ってかない?
約10年前にお会いした方々は軽トラの荷台に乗っていた。最近お会いした方は軽トラの助手席から顔を出しておられたよ♪
定番はケージ&クレート。昔は木の箱にin!
これ、涼しくて快適だよ~♪
昔に比べてかなり軽量化したケージ類。実家の父は昭和の頃、木と鉄格子で作った手製のクレートに犬を入れて展覧会に行ってたな。
柴といえば乗り物酔い グェェ~
実は俺、飲もうとしてるだけ
車酔いしない日本犬が増えたとはいえ、洋犬に比べてまだまだ「酔っ払い犬」は多い。
ちなみにまる子は15分が限界。1時間以上のドライブなら、車の中は大洪水さ♥
乗り物に乗る機会がぐ~んと増えたのは家族の一員としてより存在感が増した証!?
飼い主さん「飼い主を乗り物にするんじゃな~いっ!」
まる子ちゃん「お腹のぶよぶよ感が乗り心地満点だね♪」
昭和の犬が車に乗る時、それは展覧会に出る時さ!
昨年頃、機内に犬と一緒に搭乗できる飛行機が現れて話題となった。荷物として愛犬を預けなくて良いので、これは本当にありがたい話。また、最近の車には犬仕様の快適なものも増えたし、SAで車を止めれば多くの洋犬に混ざり、ドライブ中の休憩を楽しむ日本犬の姿も見られるようになった。
車の窓から風を感じている者、バイクのサイドカーに乗る者、自転車のカゴに乗る者、キャリーバッグやクレート、カートに入って、バスや電車で移動する者、休日は飼い主とカヌーやヨットに乗る者など、乗り物に乗って飼い主と出かけたり、レジャーを満喫する日本犬がいるのは、当たり前の風景になりつつある。
昔はどうだったか、いつものように昭和の記憶を辿ってみよう。
犬と車に乗った最初の思い出は3歳の頃。日保の展覧会に行った時。今の東京スタジアムが確か飛行場だった。ここで展覧会が行われていて、父が作った木と鉄格子でできたごっつい犬小屋に「国姫号」を入れ、おにぎりを持って家族で出かけたのだ。
自宅から車で小1時間ほどの場所だったが、もちろん「クニちゃん」は車酔いでゲロまみれ。現地に到着して父がクニちゃんの体をボロタオルで拭いてあげていたな。考えてみれば、酔うのも当然。だって、車に乗るのなんて年に何回あるかどうか。
乗るのは展覧会に行く時だけ。昔は動物病院だって歩くか抱っこして連れて行ったし、そもそも犬を車に乗せる、という考えがなかった。ちなみに、今でも展覧会に出陳する人たちは、愛犬の車酔いも考慮して移動するケースも多い。以前聞いた話では、遠隔地で開催される展覧会は「現地に前日の夜に到着して、その晩は愛犬と一緒に車中泊。翌日の出陳に備えて愛犬の体調を整えます」なんてことも。昔も今も、勝負の世界は厳しいのだ。
さて、今では「近所を歩くだけの散歩は嫌がるのに、車に乗ってお気に入りの広い公園に行き、たっぷり遊んで帰りは車の中で爆睡」なんて、ちゃっかりタイプの車好きな犬もよく見かけるが、犬が家族と一緒に気軽に車に乗るようになったのはいつ頃からだろうか。
これも自分の記憶と推測の域を出ないが、やはり昭和50年代後半あたりからではないだろうか。国民の所得がさらに増え、バブルを目前に控えたこの時期。暮らしに余裕が出たことで、車を持つことが誰にでも可能になったことも影響しているのだろう。そしてそんな豊かな生活の中、核家族化も手伝い、犬を家族の一員として迎え、まるで幼い末っ子や孫のように接することが増えたからではないか。犬の家庭内での立ち位置や待遇、そして日本の経済事情って密接な関わりがあるのだね。
話は変わり、現在の我が家。まる子を連れての実家への往復時はもちろん車。最初の頃は乗車してすぐに吐くので、15分おきの「途中下車の旅」は必須だった。後部座席でまる子のお世話係と化した夫からは、「まる子のために急ブレーキはやめてください」など、いちいち注文が多かったので、「ちっ!」と思ったが、そのおかげで運転は少し上手くなった気がする。
また、最初はクレートに入れてゲロまみれにさせてかわいそうだったが、夫自ら「俺がまる子のゲロをかぶってもいい!」と申し出たので、後部座席や床にボロの毛布やタオルを敷き詰め、夫がまる子を赤ちゃん抱っこしたら、不思議なことにほとんど吐かなくなった。それどころか、寝息を立ておねんねするまでに!
もしや日本犬って、「抱っこ犬」に育てると乗り物酔いが減ったりしてね。愛犬の乗り物酔いにお悩みの飼い主さん、ゲロまみれになるのは承知で、いろいろと試してみては?
Text:Mari Kusumoto Photos:Masayuki Satoh、Michio Hino、Minako Okuyama