猫びより
マルタ島で猫に出会う

マルタ島で猫に出会う

(猫びより 2017年5月号 Vol.93より)

  • サムネイル: 猫びより編集部
  • 更新日:

首都バレッタ

マルタ共和国の首都バレッタは、町全体が海に囲まれた要塞都市で、世界遺産に登録されています。
坂と階段が多い格子状の街並みに、民家とオシャレな飲食店が並ぶマルタ最大の観光地。長く続く階段を上り下りしていると、道の途中で猫を見かけることがあります。

通りがかったおばさんに頭を撫でられて、嬉しそうなチャトラ君

通りがかったおばさんに頭を撫でられて、嬉しそうなチャトラ君

ニャーと叫びながら突然飛び出してきたチャトラ猫。向かった先は店主と立ち話をしていたおじいさんです。
「よしよし、もう帰ろうか」と首を撫でるおじいさん。

おじいさんの用事が済むまで待っていたジンジャー

おじいさんの用事が済むまで待っていたジンジャー

「この子はジンジャーっていうんだ。一緒に散歩に来たんだよ」と、そのまま路地に歩いて行きました。嬉しそうに付いて歩くジンジャーの姿から、ふたりの信頼関係がうかがえます。

おじいさんと一緒に帰宅する後ろ姿。どことなく似ているかも?

おじいさんと一緒に帰宅する後ろ姿。どことなく似ているかも?

セングレア

グランド・ハーバーを挟んでバレッタの対岸に位置するセングレア。城壁の入り口を入ると、小さな家が並ぶ静かな住宅街です。

停車中の車の上にいた、大きなサビ猫さん。その先は長い階段が続きます

停車中の車の上にいた、大きなサビ猫さん。その先は長い階段が続きます

階段と坂道が続く細い裏道は、昼間でも日陰でとても涼しい場所。歩いていると、たまに猫に出会うことがあります。

細い路地に海風が吹き、胸毛が美しく揺れていました

細い路地に海風が吹き、胸毛が美しく揺れていました

セングレアの路地で寝そべっていた、お茶目な三毛猫さん

セングレアの路地で寝そべっていた、お茶目な三毛猫さん

かわいらしい街並みや道ばたの花に見ほれていると、植木鉢の中にすっぽりおさまって寝ている黒白の猫が。
とても大きな猫で、はみだしそうなくらいぎゅうぎゅうです。話しかけて触ってみても、とても眠そうにしていて起きません。飼い主のおじさんが外に出てくると、やっと目を覚まして毛づくろい。

朝、手入れをしたばかりの植木鉢の中でくつろいでいました

朝、手入れをしたばかりの植木鉢の中でくつろいでいました

「起きて、写真を撮ってもらいなさい」とおじさんが起こそうとすると、爪を出して思いっきり抵抗します。「あ~痛い! 今引っ掻いただろう」と怒りながらも嬉しそう。

次の瞬間「あ!」と何かを思い出すおじさん。その声に驚き、植木鉢から飛び出した猫……。おじさんが声をあげたのは、朝植えたばかりの苗のことを思い出したからでした。苗は猫の重みで、完全に折れてしまいました。「なんてことだ!」と頭を抱えながら笑うおじさん。猫は聞いてか聞かずか、あくびをしたり伸びをしたり。

おじさんのバイクの上で爪を研ぎながら、お説教を聞いているトミー

おじさんのバイクの上で爪を研ぎながら、お説教を聞いているトミー

猫の名前はトミー。まさに喜劇のようなふたりのやりとりに、普段の穏やかな生活が思い描かれるのでした。

写真・文 岩内喜久子

Kikuko Iwauchi
フリーカメラマン。猫雑貨「kmag」やモバイルサイト「ニャンと猫ねこ」の制作・運営も行う。拾った茶白と三毛の2匹の猫と暮らす。『猫さまのお告げ』『読むだけでやせる! デブねこ格言』(辰巳出版)に写真を多数掲載。
http://www.officek-net.com
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