首都バレッタ
マルタ共和国の首都バレッタは、町全体が海に囲まれた要塞都市で、世界遺産に登録されています。
坂と階段が多い格子状の街並みに、民家とオシャレな飲食店が並ぶマルタ最大の観光地。長く続く階段を上り下りしていると、道の途中で猫を見かけることがあります。
通りがかったおばさんに頭を撫でられて、嬉しそうなチャトラ君
ニャーと叫びながら突然飛び出してきたチャトラ猫。向かった先は店主と立ち話をしていたおじいさんです。
「よしよし、もう帰ろうか」と首を撫でるおじいさん。
おじいさんの用事が済むまで待っていたジンジャー
「この子はジンジャーっていうんだ。一緒に散歩に来たんだよ」と、そのまま路地に歩いて行きました。嬉しそうに付いて歩くジンジャーの姿から、ふたりの信頼関係がうかがえます。
おじいさんと一緒に帰宅する後ろ姿。どことなく似ているかも?
セングレア
グランド・ハーバーを挟んでバレッタの対岸に位置するセングレア。城壁の入り口を入ると、小さな家が並ぶ静かな住宅街です。
停車中の車の上にいた、大きなサビ猫さん。その先は長い階段が続きます
階段と坂道が続く細い裏道は、昼間でも日陰でとても涼しい場所。歩いていると、たまに猫に出会うことがあります。
細い路地に海風が吹き、胸毛が美しく揺れていました
セングレアの路地で寝そべっていた、お茶目な三毛猫さん
かわいらしい街並みや道ばたの花に見ほれていると、植木鉢の中にすっぽりおさまって寝ている黒白の猫が。
とても大きな猫で、はみだしそうなくらいぎゅうぎゅうです。話しかけて触ってみても、とても眠そうにしていて起きません。飼い主のおじさんが外に出てくると、やっと目を覚まして毛づくろい。
朝、手入れをしたばかりの植木鉢の中でくつろいでいました
「起きて、写真を撮ってもらいなさい」とおじさんが起こそうとすると、爪を出して思いっきり抵抗します。「あ~痛い! 今引っ掻いただろう」と怒りながらも嬉しそう。
次の瞬間「あ!」と何かを思い出すおじさん。その声に驚き、植木鉢から飛び出した猫……。おじさんが声をあげたのは、朝植えたばかりの苗のことを思い出したからでした。苗は猫の重みで、完全に折れてしまいました。「なんてことだ!」と頭を抱えながら笑うおじさん。猫は聞いてか聞かずか、あくびをしたり伸びをしたり。
おじさんのバイクの上で爪を研ぎながら、お説教を聞いているトミー
猫の名前はトミー。まさに喜劇のようなふたりのやりとりに、普段の穏やかな生活が思い描かれるのでした。
写真・文 岩内喜久子
Kikuko Iwauchi
フリーカメラマン。猫雑貨「kmag」やモバイルサイト「ニャンと猫ねこ」の制作・運営も行う。拾った茶白と三毛の2匹の猫と暮らす。『猫さまのお告げ』『読むだけでやせる! デブねこ格言』(辰巳出版)に写真を多数掲載。
http://www.officek-net.com
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