フレンチ・ブルドッグってどんな犬? 歴史やカラダの特徴について
ペチャっとした鼻にツンと立った耳が可愛らしいフレンチ・ブルドッグ。見た目とは違う温厚な性格で人気の犬種です。フレンチ・ブルドッグはこれまでどのような系譜を紡いできたのでしょうか。その歴史と特徴についてみていくことにしましょう。
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フレンチ・ブルドッグの歴史
フレンチ・ブルドッグの起源については様々な説がありますが、祖先はモロシア犬であるといわれています。もとは牛追い用に用いられるなど、カラダも大きく重量のあるブルドッグが活躍していましたが、1835年に戦闘犬が禁止されます。その影響から種の存続のため、品種改良と交配を繰り返し、小型のブルドッグが生み出されたのです。
世は産業革命の時代、フランスの北部へと移住したイギリス人は小柄なブルドッグも一緒に連れて行きました。そして1880年代に熱心なブリーダーによって異種交配がなされ、フレンチ・ブルドッグが誕生しました。当初はネズミ捕り用に飼われていたのですが、その風貌と特徴でフランスの上流階級や芸術家の人々に受け入れられ、認知度と人気は広がっていくことになります。
その後、フランスを旅行していたアメリカ人によってフレンチ・ブルドッグはアメリカへ渡ります。アメリカでは耳が立った「コウモリ耳」のフレンチ・ブルドッグの人気が高く、原産国のフランスでは垂れ耳のフレンチ・ブルドッグの方に人気が集まりました。どちらがフレンチ・ブルドッグとして正しいかという議論が続きましたが、1900年代にアメリカで行われたフレンチ・ブルドッグショーの結果が決定打となり、ピンとした立ち耳が標準と定められるようになりました。現在フレンチ・ブルドッグにアメリカタイプとヨーロッパタイプが存在しているのは、この頃の名残といわれています。
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日本には大正時代に輸入され、昭和初期には多くのフレンチ・ブルドッグが飼われていたようです。二つの戦争を経て、人気は下降し、種の数も減少傾向でしたが、近年その人気が再燃し、多くの人に愛される犬種へと復活しました。
フレンチ・ブルドッグについて興味深いのは、ブルドッグの原産国であるイギリスに逆輸入され、ブルドッグの品種改良に貢献したという点が挙げられます。小柄なブルドッグからフレンチ・ブルドッグが生み出され、ブルドッグの小型化と闘争心の排除を促す品種改良のために、温和で小柄なフレンチ・ブルドッグが使われたのです。
ブルドッグの原産国であるイギリス、それを元にフレンチ・ブルドッグが生まれ育まれたフランス、現在のフレンチ・ブルドッグの標準を定めたアメリカ、この3国がフレンチ・ブルドッグの歴史には深くかかわっているのです。
フレンチ・ブルドッグのカラダの特徴
フレンチ・ブルドッグの体高はオスが30~31.5㎝、メスが29~31㎝とされています。体重はオスが10~13㎏、メスが9~12㎏となり、オスの方が若干大きくなります。典型的な小型のモロシアン・ドッグで四肢は真っすぐしており、カラダは筋肉質で力強い体型をしているのが特徴です。自然な短い尻尾もフレンチ・ブルドッグの可愛らしさのひとつですね。
被毛は短く光沢があります。毛色はフォーン(単色)、ブリンドル(混色)、これらに白い斑点のあるもの、パイドが認められています。フォーンはレッドからライト・ブラウンまであり、全体が白い犬はパイドに分類されます。
フレンチ・ブルドッグの顔の特徴
フレンチ・ブルドッグが人気である要因のひとつが、その顔や表情といえるでしょう。頭は短めで、額には深いシワがあります。短いしし鼻にしゃくれた下顎に加えて、先述したコウモリの羽のような耳を持っているのが大きな特徴です。
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個性的な風貌のフレンチ・ブルドッグは活発で愛情深く、無駄吠えも少ないので飼いやすい犬種といえます。ルーツと特徴を知ることでより愛犬を理解し、絆を深めていきましょう。