【獣医師監修】犬のイボ 考えられる原因や症状、治療法と予防法

犬をなでていると、昨日まではなかった異物感…小さなイボが出来ていることに気づいたりすることはありませんか。人間もどこかしらにイボが出来ると気になるものですが、それは犬も同じ。しかも、犬のイボは、厄介者になる可能性もあります。今回は、犬のイボについて解説していきます。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬にイボが出来る原因

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犬にふれた時に気づくことがあるイボ。そのほかに、犬がイボを舐めていたり、噛んで出血したりして気づくこともあるでしょう。このイボ、多くの場合は「パピローマウイルス」が原因といわれています。

「パピローマウイルス」は、自然界に普通にいる一般的なウイルス。とくに、仔犬や老犬は免疫力の低いことからイボが出来やすく、成犬でも、シャンプーのしすぎにより皮脂が少なくなってしまった時や、栄養不足など皮膚の状態が悪くなった時などになりやすいようです。

パピローマウイルスによるイボは、色はピンクや白で良性のことが多く、放置しておいても数ヶ月で消えてしまうことがほとんどです。とはいえ、ほかの犬への感染はもちろん、人間に感染する場合があります。

犬のイボの症状

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前述の通り、パピローマウイルスによるイボや、赤く小さなイボは、一時的に大きくなったとしても、しばらくするとかさぶたのようになって自然になくなります。しかし、一度にたくさんイボが出来ている場合や、固いしこりのような盛り上がり(皮膚の肥厚といいます)が見られる場合は、精密検査が必要になります。

最初は小さなイボであっても、かゆみや痛みにより犬が掻いてしまい、そこから細菌が入ってしまうと出血や膿が出るといった症状を引き起こし、だんだんと悪化していってしまいます。

犬のイボの治療・予防方法

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犬のイボは、多くの場合、自然治癒でなくなりますが、最初は数ミリだったイボが1センチを超えるくらい肥大化していく時には、悪性腫瘍など良くない状態が疑われるので獣医師の診断を仰いだ方がよいでしょう。

犬のイボが良性か悪性かは、動物病院で病理検査を受けるとすぐにわかります。しかし、一度「良性」と診断されたイボも、なかなか治らず逆に大きくなってくる時は悪性の可能性があるので、再検査が必要になります。

そして、検査の結果、切除が必要なイボだと診断された場合は、手術を受けることになります。小型犬や仔犬・高齢犬のように麻酔がリスクになる可能性がある犬には、麻酔をすることなくカラダへの負担の少ない局所麻酔やレーザー治療を行うという方法もあります。悪性腫瘍の場合は、イボの大きさに対して非常に広い範囲の切除を行うこともあります。

イボが出ないようにするために一番大切なことは、常に犬のカラダや生活環境を清潔にしておくことです。散歩のあとには必ずブラッシングをして汚れを取り、月に1~2回は肌にやさしいシャンプーで綺麗にしてあげましょう。また、犬のイボには日光浴やビタミンEの摂取が効果的ともいわれていますので、日頃の過ごし方が大切になります。

しかし、イボが出来てしまった場合には、それ以上イボを増やさないようにしなければなりません。そのためには、まず、イボには触らないことです。飼い主が気になってイボを触ってしまうと、犬も気になり始めて舐めたり噛んだりして症状が悪化してしまうことがありますので、シャワーのあとなどはイボ以外のところから先に拭いて、最後に自然な感じでイボの周辺を拭いてあげましょう。犬にイボがあることを気にさせないことが、イボを増やさないポイントです。

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