【獣医師監修】猫が後をついてくるのはどうして? 理由と心理について
猫は気まぐれな動物です。自分の思うままに、飼い主に甘えたかと思えば、声をかけても見向きもしない時もあります。その猫の行動の中でも、飼い主の後ろをぴたりとついてくるというものがあります。そして、飼い主が立ち止まると、同じように立ち止まります。では、なぜ猫は飼い主の後をついて行くのでしょうか?
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫が後ろをついてくるのはなぜか
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猫のマーキングのため
猫にとって、飼い主は親同然の存在です。猫はテリトリー意識の強い動物なので、においをつけることで、飼い主を自分の所有物として認めさせようとする習性があります。後ろをついてきた猫は、カラダ全体はもちろん、とくに額・口・顎を擦り付けてきます。これは、額・口・顎に臭腺と呼ばれるにおいを分泌する器官があるので、においがつきやすいようにそうしているのです。
遊んでもらいたい
猫は、飼い主が自分の世界に入っている時によく邪魔をしてきます。飼い主からすると、自分の時間を邪魔されているように感じますが、これは飼い主に遊んでもらいたいがために、後ろをついてきているということです。
たとえば、飼い主が本を取りに行こうと立ち上がった時に後ろをついてくる猫は、飼い主に遊んでもらいたいという気持ちで、ついて行きます。このような時は、本を読みたいかもしれませんが、「邪魔をするな」と怒るのではなく、コミュニケーションをとってあげると猫は喜びます。
空腹になってしまった
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猫は人間の顔をしっかり区別していますので、誰が飼い主で、誰がエサをくれるのかをしっかり覚えています。お腹がすくと、誰について行けば何とかなるかをわかっているのです。何か食べたそうに飼い主の後ろをついてきて、やさしく鳴いたりカラダを擦り付けてくる時は空腹のサインですので、ちゃんとエサやおやつを与えましょう。とはいえ、前のエサからあまり時間が経っていない時や、大量のおやつを欲しがる時は要注意です。猫のわがままに付き合ってしまうと、猫の健康が脅かされてしまいます。
親離れできないまま成長した
母猫が仔猫に対して親離れを促す威嚇を行い始めるのは、通常生後4~6ヶ月ほどです。母猫が仔猫に対して、冷たくあしらったり威嚇したりしているのを見たことがある人もいるかもしれません。
しかし、何らかの理由で、この親離れができないまま母猫と引き離されてしまう仔猫もいます。この親離れを経験しないまま飼い主に引き取られると、仔猫は飼い主を母親だと思い込んで、親同然に甘えてくるようになります。とはいえ、飼い主は母猫のように仔猫を威嚇することはありません。そうなると、仔猫はずっと親離れできないので、大きくなっても仔猫と同じ気持ちで親である飼い主の後ろをずっとついてくるのです。本来は母猫にする行動を、飼い主にしている…そう考えると、飼い主の猫に対する責任は本当に大きなものなのです。
それでは、猫が後ろをついてこないようにする方法はあるのでしょうか? 猫がついてくるということは、飼い主を信頼している証拠なので喜ばしいことではあるのですが、どんな場所にでもついて行こうとするのはちょっと困ります。
猫が動き回るとケガをする可能性のあるキッチンのような場所は、猫が近寄れないようにバリケードをして入って来られないようにしましょう。その時、猫が寂しい思いをしないよう、飼い主の姿はしっかり見えるように工夫しましょう。
猫が後ろをついてくるのは、飼い主に対する信頼を示している行動ですので、しっかり受け止めてあげることが大切です。忙しい時でも、邪険にすることなくコミュニケーションをとってあげましょう。
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山内直人
2018年01月15日 06:49
小山悠二
2018年01月15日 04:59
福島 みち子
2018年01月14日 03:56