【獣医師監修】猫の咳。咳の原因や考えられる病気、治療法、予防法について
猫も、人間と同様に咳をすることがあります。この猫の咳、とくに心配のいらない生理的なものと、病気によって出ている咳があり、その様子を見ることが大切です。そこで今回は、猫の咳について解説していきます。
- 更新日:
監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
猫が咳をする原因
Lapina/Shutterstock.com
では、猫はどのような時に咳をするのでしょうか?
生理現象によるもの
咳は気管や肺に異物が侵入するのを防ぐための防御機能の一つです。そのため、ほこりを吸い込んだり、勢いよく食事を食べた際に咳をすることがありますが、これらは正常な生理現象ですので心配する必要はありません。
病気によるもの
心配不要の猫の咳は、数回で治まります。しかし、なかなか咳が止まらず、ゼーゼーという音がする時は、何かしらの病気を患っているおそれがあります。鼻腔、咽頭、気管、気管支、肺、食道などに炎症やできもの、感染などが起こることが原因となりますが、その中からいくつかの病気を紹介します。
●猫風邪(猫上部気道感染症)
猫の鼻や口、喉、目にみられる感染症で、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスが原因となることが多いですが、細菌やクラミジアなどによるものもあります。多くの猫で発症が見られますが、特に多頭飼育の猫では感染や発症のリスクが高くなります。
●喘息
人の喘息とよく似ていて、気管の浮腫などが起こり、咳は呼吸困難などの呼吸器症状がみられます。原因は不明ですが、ウイルス、細菌、真菌(カビ)、ハウスダスト、タバコの煙などが影響しているとも考えられています。
●心臓病
心臓の病気により血液が正常に送り出せなくなり、肺の血管がうっ血したり、心臓が拡張し気管を圧迫したりすることで、咳が出ることがあります。
●腫瘍
呼吸器に腫瘍ができることにより、咳が出ることがあります。
猫の咳の治療・予防方法
Africa Studio/Shutterstock.com
咳の原因となる鼻腔、咽頭、気管、気管支、肺、食道などの炎症やできもの、感染に対して治療を行います。当然ですが、原因により治療方法は異なります。
猫風邪(猫上部気道感染症)
食欲不振により弱っていたり、脱水を起こしているような場合では、輸液や栄養補給を行います。インターフェロンの注射を打ったり、抗生剤、食欲増進剤、抗ウイルス薬の内服などを行います。
喘息
呼吸困難を起こしているような場合ではまず酸素吸入を行います。
治療には気管支拡張剤やステロイドが用いられます。吸入剤タイプのステロイドを用いることもありますが、ネブライザーという吸入用の機器を使用するため、通常、動物病院で行われます。
心臓病
なるべく心臓の負担を減らすための内服薬を使用したり、強心剤、うっ血を取るための利尿剤などを使用します。
腫瘍
悪性腫瘍の場合は、その種類により、抗がん剤、外科切除、放射線療法などが選択されます。
病気による咳には予防ができないものもありますが、猫風邪はワクチン接種や完全室内飼育、猫喘息はハウスダストやタバコの煙など、予防できるものもあります。予防可能なものはしっかりと予防して、咳という症状から守ってあげましょう。