【猫びより】あなたが猫を保護したら……(辰巳出版)
猫との出会いは突然に。時には思いがけず猫を保護することもある。そんな時、真っ先にやるべきことを整理してみましょう。(猫びより 2018年9月号 vol.101より)
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子猫の場合
体温保持
低体温は命にかかわるので、緊急時は取り急ぎタオルにくるむ。生後45日までの子猫には、段ボール箱の隅に湯たんぽや使い捨てカイロなどの保温グッズをタオルでくるんで置き、清潔なタオルもしくはフリースを敷いて保温ベッドを作ってあげると◎。体が濡れていたり、体温が下がっている場合は、ドライヤーをかけて温める
給餌
子猫が離乳前か離乳後かを確認(おおよその目安は歯の有無)して、離乳前なら猫用ミルクを、離乳後であれば離乳食かドライフードをふやかしたものを与える。低体温同様、脱水も命にかかわるので要注意。夜中など猫用ミルクが手に入らない場合は、砂糖水を飲ませておくだけでも低血糖が防げる
乳飲み猫の場合は排泄の補助が必要
ぬるま湯で濡らしたティッシュやコットンなどで肛門付近を優しく刺激する。膀胱がパンパンだとミルクが飲めなくなるので、排泄は授乳前に行うと良い。下痢もしくは3日以上出ない場合は動物病院に相談を
成猫の場合
脱走対策
しばらくはケージから出さないようにする。ケージがなければ、玄関や窓を開ける際に必ず猫がいないか確認したり、扉を完全に閉めて窓には施錠する習慣を。突き破って逃げる場合もあるので網戸にも注意
隔離
外にいた猫にはノミやダニ、寄生虫がいることが多いので、トイレ、水、フードを用意した上でケージに入れて浴室などに隔離する。2週間程度が目安(記事下部「すでに家に猫がいたら」も参照)
子猫・成猫共通
動物病院を受診する
病気や健康状態、マイクロチップの有無を確認するため、できるだけ早く動物病院を受診する。ケガや病気があったり、子猫の場合、容体が急変するので早めに対処したい(記事下部「動物病院でのチェック項目」も参照)
警察と保健所に届出
迷い猫の可能性もあるので最寄りの警察署と保健所に問い合わせて確認を。段ボール箱に入れられて遺棄されていたら立派な犯罪(動物愛護法違反)なので必ず警察に届け出る
情報収集
迷い猫の可能性もあるので最寄りの警察署と保健所(動物愛護センター)に問い合わせて確認を。地域猫の場合は、世話をしている人がいれば話を聞いて、性格や健康状態など後々役に立つ情報を聞きたい
グッズを用意する
最低限必要なグッズを揃える。さしあたりトイレ、爪研ぎ、水入れ、フード皿(哺乳瓶もしくはシリンジ)、フード(猫用ミルク)、ケージだけは用意しておきたい
保護する前に冷静に考えてみよう
●自宅で引き取れる環境とキャパシティはあるか?
●自宅で飼えなくても里親が見つかるまで諦めずに探す覚悟はあるか?
●最終的に保健所や保護団体に丸投げすることなく、自力で里親を探す覚悟があるか?
どうしても自宅に置けない場合も身内や友人に預かってもらえないかも探る。ペット不可の物件でも一時保護なら家主の理解を得られるケースもある。保護団体やボランティアには基本的にアドバイスをもらうだけにとどめ、自分で動くように心がけること。とにかく諦めず、粘り強く猫にとって最善の落ち着き先を探りたい。
動物病院でのチェック項目
□ 全身の健康診断
□ 年齢と性別のチェック
□ 検便
□ ワクチンが打てる健康状態であればワクチン接種
□ 寄生虫駆除
□ エイズ白血病検査(採血できる大きさなら)
□ 爪切り
□ 食事やお世話の仕方を指導してもらう
すでに家に猫がいたら
病気の感染リスクもあるので、動物病院での検査後の隔離期間(2週間程度)が終わるまでは他の猫と接触させず、トイレ、水、フードを用意した上でケージに入れて隔離する。後々、消毒や清掃が楽なので浴室がベスト。
里親を探すときのチェック項目
□ 経済力 食事代や予防接種など必要最低限の医療を受けさせる余裕はあるか
□ 住宅環境 猫が快適に生活できる住環境が整っているか。ペット飼育可の住宅に住んでいるか
□ 他のペットの有無 他のペットとの相性はどうか。お互いに大きな危険やストレスが生じないか
□ 年齢 終生面倒を見られる年齢か。本人に何かあった時に家族のフォローが期待できるか(60歳代以上の方の場合、お子さんなどの同意をもらっておく)
□ 家族 家族の理解は得られているか。出産など家庭環境の大きな変化を控えている家庭ではないか。単身の場合は家族のフォローができるか
□ 勤務形態 極端に家を空ける時間が長くないか。子猫の場合、留守番時間の長い人はNG。フルタイムで仕事をしている方には、成猫をお勧めする
□ 完全室内飼い 病気や迷い猫になるリスクを軽減するためにも、里親には完全室内飼いが求められる
□ 不妊手術 望まない繁殖を防ぐために不妊手術を約束する
イラスト・おかやまたかとし
監修・墨田由梨(東京都動物愛護推進員)