ヒトとイヌの関係とその効果を考える-第8回「ペットとの共生推進シンポジウム」開催-

ペットがわたしたちにもたらしてくれるのは、癒しだけではありません。近年、国内外での研究により、「ペットと暮らすことの効用」は科学的にも実証されてきました。そんな「人と動物の関係学」を基に、専門家の意見が聞ける第8回ペットとの共生推進シンポジウムが開催されます。

  • サムネイル: PECO編集部
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わたしたちとペットの関係

犬や猫をはじめとしたペットは、大切な「家族」の一員。ペットは、私たちの生活に喜びと癒しを与えてくれるとても大きな存在です。そんなペットとの共生は「癒し効果」を得られるだけでなく、実は子どもの心の発達や、人の健康維持にも大きな役割を果たすということが、近年の研究で明らかになっています。

人と動物の共生を考えるうえで、ペットの社会的意義や価値を理解することはとても大切なことですが、人と動物の関わりを研究する文献が日本では限られており、一般の飼い主さんにとっては目にする機会も少ないのではないでしょうか?今回の「ペットとの共生推進シンポジウム」では、世界中から集められた研究成果を基に「人と動物の関係学」を学ぶことができるプログラムとなっており、また無料で参加できるのでおすすめです。

「ヒトとイヌの関係とその効果」を考える注目のシンポジウム。

2019年11月17日に東京大学 弥生講堂 一条ホールにて開催される「第8回 ペットとの共生推進シンポジウム」


2019年11月17日に東京大学 弥生講堂 一条ホールにて開催される「第8回 ペットとの共生推進シンポジウム」

ペットとの共生推進協議会は、人とペットとが共生するより良い社会の実現を目指して活動をしています。今回で8回目となるこのシンポジウムでは、ペットに関わる様々な専門知識を持った方々がテーマについて講演を行ったり、パネルディスカッションで意見を交換し、ペットと暮らすことの効用について話し合います。

近年注目されている「ペット飼育の効用」

ペットを家族の一員として迎え共に暮らすことは、ヒトの心身の健康にすぐれた効果・効用をもたらすと言われており、近年「ペット飼育の健康効果」が注目されています。

具体的には、ペットを飼育することでストレスの軽減や精神的安心感を得られる効果が認められたほか、高齢者がペットと暮らすことで認知症の予防や、身体機能のリハビリに役立つ等の報告が行われています。これを受け、ペットを医療の分野で活用する「動物介在療法(アニマル・アシステッド・セラピー)」も全国に広まりつつあります。

「ヒトとイヌの関係とその効果」をテーマに行われる、第8回ペットとの共生推進協議会シンポジウム実行委員長の石山恒氏は、「毎日のペットとの生活を通じて薄々感じていた、ペットと暮らすことの効用を科学的見地から討議することで、ペットとの共生の科学的意味をより詳らかにし、ペットと暮らすことの効用をより深くご理解頂ければ」と、今回のシンポジウムへの期待を語っています。

各分野で活躍する方々の講演やパネルディスカッション

第8回 ペットとの共生推進シンポジウムのプログラムは基調講演と各分野で活躍する方々のパネルディスカッション


シンポジウムの前半となる基調講演は、麻布大学獣医学部介在動物学研究室教授の菊水健史氏が「ヒトとイヌの関係とその効果」をテーマに行う予定です。

麻布大学獣医学部介在動物学研究室教授 菊水健史氏

麻布大学獣医学部介在動物学研究室教授 菊水健史氏

菊水健史氏は、動物行動学を専門に研究。ヒトとイヌとの絆を初めて科学的に証明し、有名な科学誌『Science』に掲載された経歴もあります。犬に関する著書も多い、菊水健史氏の貴重なお話に注目です。また、シンポジウム後半にはパネリストとしても登壇する予定です。

続いて後半には、様々な分野で活躍する専門家による「人と動物の関係学」の文献を踏まえての、パネルディスカッションが行われます。『新しい保健医療福祉制度論』などの著者でもあり、首都大学東京名誉教授・放送大学客員教授の星旦二氏が司会兼パネリストとして登壇。

首都大学東京名誉教授・放送大学客員教授 星旦二氏

首都大学東京名誉教授・放送大学客員教授 星旦二氏

パネリストとしては他に、日本動物病院協会第4代会長としてCAPP活動をスタートした柴内裕子氏、人と動物の関係・動物との共生を基盤とした地域づくりを研究している聖路加国際大学公衆衛生看護学准教授の小林真朝氏、東京都健康長寿医療センター研究所研究部長の藤原佳典氏、健康長寿に向けたライフコース研究を進めている国立環境研究所主任研究員の谷口優氏、アニマルシェルター・メディシンや動物由来感染症・動物疫学を専門とする帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科准教授の山本和弘氏が登壇する予定です。

今回は、動物学のみならず医学の分野からも専門家の方々に参加いただき、科学的見地からペットと暮らすことの効用について議論されます。普段なかなか聞くことのできない様々な視点からの意見はとても興味深く、多くのことを知る良い機会となることでしょう。

前回シンポジウム参加者の声

前回のシンポジウムは、「ペットが育む心と体の健康-子供の動物介在教育-」というテーマで行われ、一般の飼い主の方のみならず、学生や学校関係者の方々にも多く参加頂きました。堅苦しいイメージがあるシンポジウムですが、話も分かりやすくアットホームな雰囲気でよかったとの声も多く寄せられていました。アンケートではその他にこんな声も。

● 今の子供たちの現状と、ペットがいることの重要性を知れた。ペットを介在する学習について、沢山の例を見れたのがよかった。

● 動物介在の第一線で活躍する方々が勢揃いだったので、本当に現場の生の声がうかがえて良かったです。

● ここに来ていない方に来ていただけると良いなぁと心から思います。ペットとの共生に限らず、大人の価値観、ふるまいが子どもの制約を生むこと、動物介在教育の在り方など、印象に残りました。

前回は、アンケート回答者のうち57.6%が初参加とのこと。基調講演・パネルディスカッション共に多くの方に満足いただける内容となり、シンポジウムを通して動物介在教育について深く考えるよいきっかけとなったようです。

動物学や医療の第一線で活躍している専門家の、貴重なお話が聞けるシンポジウム。ペットを飼っている方はもちろん、ペットを飼っていない方もこの機会にぜひ参加し、「人とペットとの共生」について考えてみてはいかがでしょうか。

開催情報

開催日時:2019年11月17日(日) 13:00~16:30
開催場所:東京大学 弥生講堂 一条ホール
参加費:無料(定員:300名)

定員になり次第募集は締め切りとなりますので、参加希望の方はお早めにお申し込みください。

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