世界的アートな島で会える古民家宿の看板猫
瀬戸内海の美しい島々の一つに、現代アートの聖地として世界から注目を集める直島がある。海辺や山の自然の中にアートが佇むギャップが面白く、特に美術館エリアや港にある草間彌生氏の作品の象徴、水玉かぼちゃは印象的だ。
海岸にある草間彌生氏の黄かぼちゃは映えスポット
その一方、江戸時代から海上交通の要所として栄えた本村エリアには、昔ながらの街並みが残る。フェリーターミナルがある宮浦港から町内バスで10分程、築40年以上の民家をリノベーションしたゲストハウス「路地と灯り」には、麻呂眉にチョビヒゲという実に個性的な柄のじゅうべえ(4歳♂)がいる。長毛で6kgの貫禄ある体格だが、大人しい性格の看板猫だ。
じゅうべえのゴハンの器も古民家風でレトロ可愛い
宿のHPを見て、じゅうべえに会いたいと台湾や韓国など海外から訪れる猫好きが増えているそう。
「今日は美術館へ行く予定だったけれど、雨なので猫と過ごせて幸せ」等、宿の滞在ノートにはゲストたちの愛溢れるコメントがたくさん書かれている。
島の美術館エリアには猫オブジェも
普段は住み込みのスタッフさんにお世話されているが、お客さんがいないオフシーズンに、他にも4匹の猫を飼うオーナー小林貴洋さんの自宅にいる。生後3ヶ月頃、保護活動をしている知人に拾われたじゅうべえは、背中に海苔を貼りつけたような模様のおかげでオニギリそっくりだったとか。
お世話をしてくれるスタッフのお姉さん
立派に成長し、お客さんが居間やキッチンにいると仲間に入りたがるほど人懐っこく愛嬌をふりまき、スタッフ猫としての素質を発揮している。宿から徒歩3分で行ける「カフェサロン中奥」も経営し、料理を振る舞う小林オーナー。
「アートも猫も好きな明るい人たちが、世界中から訪れてくれるのが嬉しいですね」と語る。
芸術大学卒のスタッフが作ったじゅうべえアート
こだわりを感じられるオムライスや新鮮な瀬戸内海の魚、手料理の数々はどれも美味しくてお酒もすすみそう。
オーナー小林さんの真鯛かぶと焼は絶品
宿には広々としたキッチンもあり、長期滞在も可能。骨董品の家具が並び、どこか懐かしいこじんまりとした古民家の宿は猫とまったり過ごすには最適だ。
縁側で庭を眺めながらくつろぐ
路地と灯り
香川県香川郡直島町本村729(バス停「農協前」から徒歩3分)
TEL 080-3058-3887
https://guesthouse-rojitoakari.tumblr.com
Harada Satomi
愛知県在住で保護猫3匹と暮らす。著書に、世界の猫写真と紀行漫画で綴る単行本『猫にまたタビ』(辰巳出版)。日本写真家協会会員。
写真・文 原田佐登美