【獣医師監修】犬が糞を食べる!? 食糞の理由とその対策について
犬を飼い始めてびっくりした行動の上位に来ると思われるもの、それがフン(糞)を食べてしまうという行為。人間の感覚でいうと、「いやあ、それはちょっと…」と思ってしまいますが、じつはこの食糞という行為にはしっかりとした意味があることも。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
犬が糞を食べる理由
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犬の食糞には本能的なものもあります。赤ちゃんのお世話の一環として便を舐め取ったり、周囲の外敵に匂いで気づかれないように隠すために食べたりすることがあります。
とくに、砂をかけて便を隠すことができない室内では、隠したいという欲求から食べてしまうケースもあります。
仔犬の食糞はまた少し理由が違います。母親が便を食べてくれることをまねしている、退屈で食べてしまう、便からまだ食べ物の匂いがするので食べてしまう、などが考えられます。最後の理由は、仔犬の消化機能は未発達のため食べたエサの匂いが便からすることがあることが原因と考えられます。
また、空腹が理由になっていることもあります。単純にエサの量が少ないということもありますが、寄生虫感染などで栄養が不十分、消化や代謝の機能が不十分など病気が原因になっているおそれもあります。
「異嗜」という可能性もあります。これは食べ物ではないものを好んで食べてしまう現象で、糞以外にも小石や布などを飲み込んでしまいます。
また、食糞をしている犬を見て騒いでしまった飼い主もいると思います。犬はこの飼い主の行動を見て「糞を食べれば注目してもらえる」と考えてしまう場合があります。このときは、飼い主に構ってほしくて糞を食べている可能性もあります。
犬の食糞をやめさせるには
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犬が自分の糞を食べてしまうことは健康上大きな問題はありません(消化管内に寄生虫感染がある場合は自分の糞を介して何度も感染を繰り返すので健康上問題があります)。しかし、見ていて気持ちの良いものではないですし、できればやめさせたいですよね。
それではどのような方法で食糞をやめさせれば良いのでしょうか?
まずすべきことは、犬の食生活を振り返ってみることです。エサはしっかり与えているでしょうか? そのエサを嫌がらずに食べているでしょうか? バランスの良い栄養価になっているでしょうか?
食糞をするということは、エサが足りていない(好みじゃないエサなので食べない場合も含む)、もしくは足りていても十分な栄養価を吸収できていない可能性があります。まずは、エサについて検証し改善できるポイントがあれば改善しましょう。
そして、食糞が癖になってしまっている犬については、食糞をしていてもあまり騒がないことが重要です。これは、「飼い主が騒ぐ=楽しい」ので食糞を続けてしまうからです。
そこで食糞をしていたとしても、冷静にやり過ごしてしまうことが大切になります。飼い主が淡々としていれば、犬も食糞では注目してもらえないことに気づくはずです。
それと同時に糞をみつけたら食べられてしまう前にすぐに片付けるようにします。そして、片付けたらご褒美を与えます。そうすることで、「飼い主は糞を見つけるとご褒美をくれる」と学習し、糞を食べずに飼い主に見つけてもらうことを待つようになります。
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糞に振り掛けるタイプの食糞防止スプレーや、食事に混ぜるタイプの食糞防止サプリなどを試してみるのもいいかもしれません。
食事の見直し、すぐに片付ける、騒がない、ご褒美をあげる、食糞防止スプレーなどをうまく利用して食糞を減らしていきたいですね。