この記事では獣医師監修の元、犬と猫のパテラの原因や症状そして検査・治療法について解説しています。動物病院に連れて行く前に参考にしてください。
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犬猫の膝蓋骨脱臼【パテラ】とは?
膝蓋骨(膝のお皿の骨)が正常な位置(滑車溝、大腿骨の溝)から逸脱し脱臼してしまう病気です。

犬猫の膝蓋骨脱臼【パテラ】の原因は?
犬猫でよく見られる原因
生まれつきの骨の形や筋肉のバランスなど、遺伝的な素因もありますが、成長過程の異常と考えられています。
発症しやすい犬種・猫種
若齢の小型犬(トイプードル・チワワ・ポメラニアン・パピヨン・マルチーズなど)に多く見られます。初回、2回目のワクチンの頃に症状が出る子もいます。
小型犬に比べると少ないですが、中〜大型犬や猫で見られることもあります。
膝蓋骨脱臼【パテラ】の症状は?
間欠的な跛行や運動不耐性
運動中に急に後ろ足を挙げてしまったり、走るとスキップのようになってしまうことがあります。足の違和感のために運動を嫌がるようになってしまう子もいます。

2次的な合併症
膝蓋骨が脱臼することで軟骨が損傷し時間の経過とともに進行する骨関節炎や、膝の中にある前十字靭帯の損傷など、2次的な症状につながってしまうことがあります。
気になる症状がある場合はご相談ください
特に重症の場合、ぐったりして元気がなくなってしまうので、できるだけ早く動物病院に行くことが薦められます。
JR山手線「原宿駅」徒歩4分 /
地下鉄東西線「神楽坂駅」徒歩1分
東急田園都市線「三軒茶屋駅」
膝蓋骨脱臼【パテラ】の検査・診断方法は?(動物医療センターPecoの場合)

当院で実際に行う可能性のある検査についてご説明します。
整形外科学的検査
【視診・歩様検査】
立ち姿や歩き方を観察し、体重のかけ方や四肢の使い方などを見ます。
【触診検査】
四肢それぞれの骨や関節などを触り、違和感や痛みのある場所を検出したり関節の動きなどを調べます。
触診による脱臼重症度のグレード分類
グレード | 状態 |
---|---|
GradeⅠ | 通常は膝蓋骨は大腿骨の滑車溝内におさまっている。用手で脱臼するが、手を離すとすぐに整復される。 |
GradeⅡ | 通常は膝蓋骨は大腿骨の滑車溝内におさまっている。足の動きや筋肉の張り具合などで脱臼する。日常生活で脱臼と整復を繰り返している。 |
GradeⅢ | 通常は膝蓋骨は大腿骨滑車溝から逸脱(脱臼)している。用手で整復できるが、手を離すと再度脱臼する。 |
GradeⅣ | 通常は膝蓋骨は大腿骨滑車溝から逸脱(脱臼)している。用手でも整復できない。大腿骨や脛骨の変形を伴うこともある。 |
X線検査
整形外科学的検査で精査が必要と判断した部位のX線検査を行い、関節や骨の状態をより詳細に調べます。
CT検査
骨格の変形が大きい場合には、CT検査により変形を3次元的に評価することがあります。
膝蓋骨脱臼【パテラ】の治療方法

脱臼や疼痛の程度、全身的な体調、年齢などによって異なりますが、内科(保存)療法と外科療法に大別されます。
【内科(保存)療法】
関節のサプリメントを使ったり膝の負担になる運動を制限することで膝蓋骨脱臼の悪化や関節炎の進行を遅らせ、病気とうまく付き合って生活することを目標とします。
【外科療法】
手術によって脱臼を整復して、はずれないようにします。
今後の合併症のリスクを減らすことが期待でき、100%に近い運動機能の回復を目指します。
当院が膝蓋骨脱臼【パテラ】の診療で心がけていること
膝蓋骨脱臼がある子の中には股関節など膝以外の関節の問題を併発している子もいます。しっかりと視診や触診を行い、今現在問題になっている部位を見極めることが重要と考えています。
上記のように治療の選択肢は多岐に渡ります。
その時その子にとって一番良い治療方針をご提案し、治療内容の詳細やメリット・デメリット、予想されるその後の経過などをしっかりお話しさせていただきます。
初診時の一般的な検査費用
当院では、病気の診断や状態把握のために、必要と思われる検査を選択致します。以下に一般的なパテラの検査料金をご紹介します。
検査内容 | 料金の目安 |
---|---|
カルテ新規開設料 | 1,100円 |
初診料 | 4,950円 |
整形外科学的検査 | 2,750円 |
X線検査(2枚〜) | 9,000円〜 |