【獣医師監修】犬の口輪の用途やメリット、選び方や注意点など

口輪というと、攻撃性の高い犬につけるアイテムという印象があるかもしれません。最近ではアヒルのくちばし型など、可愛らしい見た目の口輪も販売されていますが、そもそも犬の口輪とは、どのような目的で使用されるものなのでしょうか。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ヴァンケット動物病院 松原且季院長

口輪の用途

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犬の口輪とは、犬の口につけて「自由に口を開けられないようにする」アイテムです。本来の用途としては、犬が人や物に咬みつくことを防いだり、拾い食いを防止したりする目的で「一時的に」使用します。

自由に口を開けられないことは、犬にとって非常に大きなストレスとなるため、病院での診察時や認知症による誤飲・誤食の防止など、どうしても必要なタイミング以外では使用しないことをおすすめします。

また、犬の無駄吠え防止のために口輪を使用する飼い主もいるようですが、口輪は呼吸のために少しは口を開けられる仕組みになっているので、完全に無駄吠えを防げるわけではありません。たとえ無駄吠えが多い犬につけたとしても、狙った効果は得られないことが多く、無用なストレスを与えてしまうことになるため、無駄吠えは口輪ではなく、しつけで改善するようにしましょう。

口輪の種類

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犬の口輪の種類には、以下のような物があります。

バスケット型革製口輪

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犬のマズル(口吻)と口輪との間に隙間があるので、平常時は無理なく呼吸することができます。しかし、口輪自体が重いことから、中型犬から超大型犬に使用するのがよいでしょう。

このタイプの口輪は犬の口が開きづらくなるため、とくに夏場や暑い時間帯、激しい運動・トレーニングの際に使用する場合は、パンティング(喘ぎ呼吸)による体温調節がうまくできないことで、熱中症を引き起こす場合があります。万が一の事故を防ぐため、装着時は犬から目を離さないようにしましょう。

メッシュ型口輪

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メッシュ型の口輪は通気性に優れ、口輪自体が軽いため、犬のカラダにかかる負担も小さくなりますが、口をふさぐ効果は弱いので、口輪をした状態でも咬みつかれる可能性があることは覚えておきましょう。そのため、顎の力が強い犬や攻撃的な犬には向かず、もともと大人しい犬種や小型犬・中型犬に使用します。

ワイヤー製口輪

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ワイヤーのメッシュを素材とした、バスケット型の口輪です。マズルを入れるバスケット部分がストラップで固定されているので、ズレに強く、犬が自力で外しにくいというメリットがあります。しかも、犬のマズルと口輪の間に余裕があるので、無理なく呼吸する事ができ、通気性にも優れています。

口輪の選び方・注意点

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口輪を選ぶ時に一番重要なのは、愛犬に適したサイズかどうかを確認することです。口輪が大きすぎれば、犬が頭を振った時に抜けてしまったり、犬が自分で外してしまったりすることがありますし、小さすぎれば摩擦によって傷ついたり、パンティングによる体温調節がしにくくなってしまうため、必ず犬のカラダに合ったサイズのものを選びましょう。

また、口輪をつける犬の種類も重要なポイントです。パグやブルドッグなどの口が短い犬種や、興奮しやすい性格の犬種、ゴールデン・レトリーバーやヨークシャー・テリアなどダブルコートの長毛犬種などは、パンティングができないことで熱中症を引き起こすリスクが高まるため、口輪を装着している間は絶対に目を離さないようにしましょう。

犬は本来咬む動物ですが、とくに攻撃性・警戒心が強い犬種は、しつけによりその習性を抑制する必要があります。犬の歯はとても鋭く、顎の力も強いため、噛み癖を放置しておくと命に関わる大事故に発展してしまう可能性もあります。

大型犬はもちろんのこと、小型犬であっても噛み癖の矯正を怠れば、最低限必要なカラダのお手入れさえしてあげられなくなってしまう場合もあります。仔犬のうちから飼い主が責任をもってしつけを行い、「人や物を咬んではいけない」という社会のルールを覚えてもらいましょう。

最後に、犬とって口輪をすることはストレス以外の何物でもありません。どうしても口輪を装着する必要がある場合は、できる限り犬に負担がかからないように気を配ってあげてください。そして、一日も早く口輪をつける必要がなくなるように、どんな環境であっても食べてはいけないものを口に入れたり、人や物を噛んだりしないためのトレーニングを行いましょう。

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