【獣医師監修】犬に牛乳を与えてはいけない理由と、飲んでしまった時の対処法

仔犬が生まれてから2ヶ月ほどは、母乳を飲んですくすくと育っていきます。この時期に、母犬から免疫力を受け継ぎ、健康な犬に成長していくのです。しかし、母乳と同じ「ミルク」でも、牛乳は犬に与えてはいけません。今回は、犬と牛乳の関係について解説していきます。

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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長

犬に牛乳を与えてはいけない理由

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牛乳にはたくさんの栄養素が含まれていますが、その中に乳糖(ラクトース)という成分があります。この乳糖は、自然界では哺乳類の母乳からしか摂取できない甘みを持つ成分ですが、乳糖を体内で消化するためにはラクターゼという酵素が必要です。

生まれたばかりの仔犬は、体内にたくさんのラクターゼを持っていますが、牛乳に含まれる乳糖の量は、犬の乳に含まれるものより多いため、下痢を起こすおそれがあります。また、犬の成長とともに、体内のラクターゼはどんどん少なくなってしまいます。そのため、成長した犬が牛乳を飲むと、多くは下痢を起こしてしまうというわけです。

このようなことから、一般的に成犬には市販の牛乳を与えない方がよいといわれています。

犬に牛乳を与えると、下痢を引き起こす可能性があるほか、肥満になるリスクも高まります。牛乳のカロリーは、100mlあたり67kcalとなっています。ちなみに、一般的なスポーツドリンクのカロリーは100mlあたり11kcal程度。牛乳のカロリーがいかに高いかわかりますね。

それでは、ヨーグルトやチーズなど、ほかの乳製品も犬に与えるのは避けた方がよいのでしょうか。じつは、ヨーグルトやチーズを犬が食べたとしても、下痢を起こすことはほとんどありません。牛乳に含まれている乳糖は、ヨーグルトやチーズに加工する過程で一部が分解されてしまうため、犬が下痢を起こすリスクが軽減されます。ペットショップなどで犬用のチーズが販売されているのは、そのためです。

しかし、人間用に加工された味の濃いヨーグルトやチーズは、犬の健康を害するおそれがあります。そこで、ヨーグルトは無糖・無脂肪タイプを、チーズは犬用のものか、カッテージチーズを与えるようにしましょう。

犬が牛乳を飲んでしまった時の対処法

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下痢を引き起こす可能性がある牛乳を、犬が口にしてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。犬が牛乳を飲んだことがわかった時は、まず様子を見ます。下痢をした場合は、どのような下痢を、どれくらい繰り返すかチェックしましょう。

その時に、一回の下痢で終了すれば大きな問題にはならないのですが、何度も繰り返し下痢をする場合は、一度断食を行います。24時間はドッグフードやおやつを与えず、一度胃の中を空っぽにして、下痢の症状を止めます。

過度な下痢は、脱水症状を招く危険性があります。もし、断食しても下痢が止まらない場合は、動物病院で診てもらいましょう。

人間でも、体内で乳糖を上手く分解できなかった時には、腹痛や下痢を起こします。その時の痛みは、経験したことがある人も少なくないと思いますが、相当につらいものです。その痛みを犬に経験させないためにも、牛乳の取り扱いにはくれぐれも注意してください。万が一、犬が牛乳を口にしてしまった場合は、症状が治まるまで目を離さないようにしましょう。

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