【獣医師監修】犬にスルメを与えてはいけません! その理由について
犬は嗅覚が発達しているので、スルメのようなおいしい食べ物のニオイには非常に興味を示します。しかし、スルメのような乾燥させた魚介類を犬に与えても大丈夫なのでしょうか。今回は、犬とスルメについて解説していきます。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
犬にスルメを与えてはいけません
ペットショップなどに行くと、よく魚を原材料とした犬用のドライフードを見かけますが、スルメに関しては犬に与えない方がよい食べ物とされています。
というのも、スルメにはネギやチョコレートのように、犬がショック症状を起こす可能性のある成分は含まれていませんが、塩分が多く含まれていることから、犬の健康に悪い影響を与える可能性があるためです。また、スルメは消化が悪いため、過剰摂取によって下痢・嘔吐を引き起こすおそれがあるほか、大きい状態のまま飲み込んでしまうと胃腸で詰まってしまうこともあります。
スルメというともうひとつ、「猫はスルメを食べると腰が抜ける」という話を聞いたことがあるかもしれません。じつは、このことは犬にも当てはまります。イカにはチアミナーゼというチアミン(ビタミンB1の一種)を分解する酵素が含まれているため、過剰に摂取するとビタミンB1欠乏症に陥り、後ろ足がふらついたり、麻痺したりといった神経系の症状が現れることがあります。この状態を「腰が抜ける」と表現しています。とはいえ、これは生のイカを大量に食べた際に起こるかもしれない症状であり、乾燥させたスルメで犬が「腰を抜かす」ことはありません。
犬にとってのスルメの危険性
犬にスルメを与えた場合、以下のような影響が考えられます。
塩分の過剰摂取
商品によって多少の誤差はあるものの、スルメには一般的に100gあたり2gの食塩が含まれています。そのため、長期にわたって食べ続けると、高血圧や心臓病といった、人間でいうところの成人病の原因になる可能性があります。人間用に味付けされている食べ物全般にいえることですが、犬にとっては塩分の過剰摂取となるので気をつけましょう。
胃で膨張する
スルメはスルメイカを乾燥させた加工物なので、胃腸で水分を吸って膨張し、食べた量の何倍にもなることがあります。大量のスルメが胃の中で膨らんでしまうと、胃痛などを起こすことも考えられます。
下痢・嘔吐
スルメはもともと消化の悪い食品なので、大きい状態のまま飲み込んでしまったり、一気に大量に食べたりしてしまうと消化不良を起こします。犬が消化不良を起こすと、下痢や嘔吐の症状が現れます。
このように、スルメは犬に積極的に与えるにはリスクが高い食材なので、食欲不振時に食欲増進効果を期待したい場合でも、別の食材を使用する方が無難かもしれません。
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