【獣医師監修】犬にはレーズン・ぶどうを与えてはいけません!

レーズンやぶどうは小さくて食べやすいことから、ペットに与えても大丈夫と思いがちです。しかし、これらの食べ物には、犬にとって中毒を起こす可能性のある成分が含まれています。軽い気持ちで与えたレーズンやぶどうが、犬の命を奪ってしまうことも…。

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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬にレーズンやぶどうを与える危険性について

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犬にとって、レーズンやぶどうが危険な食べ物であることがわかったのは最近のことです。2006年に、レーズンを食べたダルメシアンが腎不全を起こしたという論文が発表され、「犬にレーズンやぶどうを食べさせてはいけない」という説が一般的になりました。

しかし、レーズンやぶどうに含まれるどの成分が犬にとって有害なのかは、まだはっきりとわかっていません。レーズンはぶどうを乾燥させたものなので、より毒素が強くなるのではないかともいわれていますが、完全にその成分が解明されるまでには至っていないのが現状です。

レーズンやぶどうを食べた犬には、以下のような症状が現れます。

●嘔吐や下痢
●食欲がなくなる
●カラダを丸める
●元気がなくなる
●脱水症状
●多飲多尿

犬がレーズンやぶどうを食べた時には、体内の毒素を除去する機能を持つ腎臓に大きなダメージを受けるため、それらを食べてから72時間以内に嘔吐・下痢などの症状を起こすのが一般的です。その後食欲が低下し、数日後に腎不全を発症、最悪の場合は命を落とすこともあります。犬によって症状の出方が異なるので、レーズンやぶどうを食べてしまった時は、すぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。

犬がどれくらいレーズンを食べたら危険?

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それでは、犬が食べると危険なレーズンやぶどうの量はどれくらいのなのでしょうか。目安は以下の通りです。

●レーズンの場合…犬の体重1kgに対して11~30g
●ぶどうの場合…犬の体重1kgに対して32g

これらを犬の体重5kgで換算すると、レーズンだと55~150g、ぶどうだと160gとなります。このように、ぶどうよりもレーズンの方が少量で危険水域に入ります。しかし、レーズンやぶどうの中毒についてはまだ不明点が多いことから、この目安より少量しか食べていなくても、致死量に至ってしまう可能性がないわけではありません。

とくに、レーズンは菓子パンなどに含まれていることもあるので、飼い主が気づかない間に食べてしまう危険があります。まずはそういった食べ物を、犬の届かない場所に管理することが一番の予防策になります。

もし犬がレーズンを食べてしまったら…

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犬がレーズンやぶどうを食べてしまった時は、食べた量にかかわらず動物病院に連れて行くことをおすすめします。動物病院では、ぶどうに含まれている原因不明の成分を除去するために、胃洗浄などの処置を行い、ぶどうが消化される前に犬の体外へ排出することで中毒症状を防ぎます。その後、活性炭や下剤を投与することで、わずかでも体内に毒物が残らないようにします。

ぶどうやレーズンに限らず、毒物を口にしたことで犬の腎臓にダメージが残ってしまった場合、現代の医療技術をもってしても完全な回復は不可能とされています。症状を悪化させないように点滴治療・対症療法を行い、長期に渡って通院することになります。そのため、多くの場合において、中毒を起こす前のような生活は難しくなるでしょう。

少し前までは、犬にとってレーズンやぶどうが危険だということ自体が知られていなかったので、犬の体調不良の原因がレーズンやぶどうだと考える飼い主は少なかったようです。しかし今では、「犬にレーズンやぶどうを与えることは危険」という知識は一般的になってきました。犬の健康を守るためにも、犬をレーズンやぶどうに近づけないようにしましょう。

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