【獣医師監修】コンセント・電源コードに要注意! 猫が感電しやすい状況と対策
室内飼育の猫が気をつけなくてはいけない事故の一つに、感電があります。猫の場合はとくに、コンセントにつながっている電源コードをかじることで感電してしまう場合が多いようです。もし猫が感電してしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
猫が感電する状況って?
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猫が室内で感電してしまう事故のほとんどは、コンセントにつながっている電源コードが原因で起こるといわれています。猫が電源コードで遊んでいる最中に、誤って外側のゴムカバーを噛みちぎり、感電してしまうのです。
猫にとって、電源コードは大変魅力的な遊び道具。飼い主が掃除機をかけていると、不規則に動く電源コードにじゃれてしまう猫もいます。
猫が電源コードをおもちゃだと思っているなら、遊び感覚で噛みついてしまうのも当然のこと。とくに仔猫は乳歯が永久歯に生え変わるタイミングで歯茎にむず痒さを感じるため、いろいろな物を手当たり次第に噛んでしまうことがあります。
猫が感電した時の症状
猫に以下のような症状がみられた場合は、感電の疑いがあります。
●コンセントや電源コードの近くでぐったりしている
●接触部分(口や前足など)にやけどがみられる
●肺水腫
●不整脈
猫が感電した場合、一時的な痛みや軽度のやけどで済む場合もありますが、不整脈を起こしたり、重度のやけどを負ったり、肺水腫を起こしてしまうケースもあります。
肺水腫は、感電のショックにより肺の毛細血管内に損傷が生じ、肺の中に水が侵入することで起こります。
感電した時の対処
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必ず動物病院へ連れていく
猫が感電した場合には感電の症状がごく軽度にみえたとしても、必ず動物病院で全身を検査してもらいましょう。また、感電してから1週間ほどは、猫の様子を注意深く観察するようにしてください。
感電した猫には直接触ってはいけない
万が一、猫がコンセントや電源コードの近くでぐったりしているのを見つけた時は、直接猫のカラダに触ってはいけません。また、感電した時に猫が失禁することがありますが、その尿にも触ってはいけません。感電中・感電直後の猫のカラダや尿は、帯電している可能性があるからです。
応急処置として、まずは部屋のブレーカーを落とし、感電の原因となった電源コードをコンセントから引き抜きます。そして、乾いた板やプラスチック製品、もしくはゴム製品など絶縁性のものを使って猫のカラダを横向けにします。ゴム手袋をしてゆっくり猫の口を開け、舌を出して呼吸しやすい状態にしたら、急いで動物病院へ連れていきましょう。
感電のショックで猫の心臓が止まってしまった場合、飼い主が心臓マッサージをするという方法もありますが、事前にしっかり練習していて、正しくマッサージを施せる技術があること、さらに猫が帯電していないことが確実に確認できる場合以外はおすすめできません。
不用意な心臓マッサージはかえって猫の症状を悪化させるだけでなく、飼い主が感電するなどの二次被害につながるおそれもあるので、早急に動物病院へ行きましょう。
感電してからでは遅い、事前の対策を
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猫が電源コードをかじらないようにしつけることができればよいのですが、感電事故は生後5ヶ月~1歳半くらいのやんちゃな仔猫に起こることが多いため、なかなか難しいといわざるを得ません。ただし、猫が電気コードをおもちゃと勘違いしてしまわないように、普段から紐状のおもちゃでじゃらして遊ばないようにすることは有効です。
また、感電の予防策としては、電気コードにカバーをすることでコード自体を補強する、電気機器を使用する時以外はコンセントを抜いておくなどの対策を行い、物理的に猫が電源コードを噛めない、噛んでも感電しない環境を作ることが大切です。
感電は猫の命に関わる危険な事故です。しかし、室内で人間と一緒に暮らす猫は、電気コードやコンセントとまったく無縁ではいられません。だからこそ、猫と飼い主がともに安心して暮らせるように、日頃から猫の感電予防に努めることが重要です。