【獣医師監修】金魚が卵を産んだ。そんな時、どう対処すればいい?
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【獣医師監修】金魚が卵を産んだ。そんな時、どう対処すればいい?

飼育している金魚が突然卵を産んだら、「ふ化するのかな、でも増えすぎたらどうする?」と、期待も不安も膨らみます。ブリーディングに挑戦して、我が家の金魚のファミリーを増やす機会の到来かもしれません。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:オールペットクリニック 平林雅和院長

卵を発見したらまず何をすればいい?

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金魚は3~5月頃に産卵するほか、9~11月頃にも産卵します。種類により異なりますが、1回の産卵で約500個、多い時には約5000個、中には数回に分けて1万個も産む金魚もいます。全ての卵をふ化させると、大変な数の稚魚が生まれてくることになります。

卵を発見したら、そのままにしておくと、親が卵を食べてしまいます。さらに卵の食べすぎで親が死んでしまうこともあるので、親と卵を別々に分けます。
卵はとてもデリケートなので、別の水槽へ移す時はスポイトでやさしく吸い上げます。親を別の水槽に移す場合、精子で白く濁った水は腐りやすく、バクテリアやカビなどが繁殖しやすい状態になっているので、卵の移動後に、産卵した元の水槽の水替えを行います。また、親を別の水槽に移す際は、さらにオスとメスを別々に分けます。メスは産卵の疲労とオスに追われる追尾で弱っており、移した先の水槽でさらにオスに追われると死んでしまうこともあるからです。

親と卵を分けたら、次に有精卵と無精卵を区別し、カビの発生、水質の悪化につながる無精卵を除去します。有精卵は数日経つと稚魚の目である黒い点が現れますが、無精卵は白濁したままになります。

水槽内のろ過装置や循環式エアレーションを使用すると、卵やふ化した稚魚が吸い込まれてしまうので止めてください。卵や稚魚を吸い込まない「稚魚専用タイプ」を用意して、水質を維持しましょう。

ふ化した後・稚魚の育て方

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卵がふ化する時期は水温によって異なり、春先で5~7日、水温が高い夏は2日程でふ化します。ふ化した稚魚はわずか5ミリ程の大きさで、泳ぐというよりも水中を力なく漂っています。稚魚の腹部には栄養を備えた袋があるため、ふ化後の2~3日の間は、エサは不要です。

稚魚はエサが必要になると、エサを探して泳ぎ回るようになります。エサやりのタイミングは稚魚が教えてくれます。稚魚のエサとして一般的なのは、ブラインシュリンプという生餌です。ペットショップなどで売られている卵を、水温28度の塩水に入れてふ化させて与えます。専用のふ化器を使えば、1日程ですぐにふ化します。ブラインシュリンプはエビ類の幼生で、ふ化直後は0.4~0.5ミリ程です。池や沼に生息するタマミジンコも稚魚のエサになります。また、稚魚用の粉末状のパウダーフードも市販されています。どのエサも、与えすぎに注意してください。

ふ化後3週間ほど経過すると稚魚の食欲も増え、市販の人工飼料に切り替えることもできます。水質はどんどん悪化していくため、ふ化してから10日ほどで最初の水替えをして、以降は1週間おきに水換えをします。ふ化後の1ヶ月までは死んでしまう稚魚もいるので、慎重に世話をする必要があります。1ヶ月を過ぎると、稚魚は成魚に近い状態で飼育できるようになります。

金魚は比較的産卵・繁殖させやすい魚です。稚魚が増えすぎて後々困らないように、繁殖させたい数だけ、有精卵を残しましょう。飼育しきれなくなって自然の川に放流するなどはもってのほかです。金魚を繁殖させる際は、事前に生まれてきた金魚の引き取り先を考えておくことも大切ですね。

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