犬のハーネスの用途やメリット、選び方や注意点など
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犬のハーネスの用途やメリット、選び方や注意点など

ハーネスとは、犬の胴体に装着する胴輪のことです。首輪と同様に、リードを装着して犬をつないだり、歩かせたりするために使用します。ハーネスはもともと荷物を牽引する犬のために作られたアイテムですが、最近では散歩など日常のお出かけの際にも、首輪ではなく、ハーネスを使用する飼い主が増えているようです。

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犬のハーネスの用途

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ハーネスとは、もともとは馬具の一種でしたが、荷物を牽引する犬のために転用され、輸送の手段が車や電車などの機械に取って代わられた後も、犬ぞりやウェイトプルなどの競技で長く使用されてきました。

とはいえ、荷物を牽引するために開発されたハーネスは、重量物を引っ張っても犬のカラダに負担がかかりづらいというメリットがある反面、犬の行動をコントロールするのに適した構造をしていなかったため、日常の生活で使用されることはあまり多くありませんでした。

しかし、最近では首輪に頼らず犬をコントロールするトレーニング方法が浸透してきたこと、また犬種によっては首輪を使うことで首や気管に大きな負担がかかってしまうことから、日常的にハーネスを使用する飼い主が増えているようです。

犬のハーネスの種類

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ハーネスには様々な種類がありますが、一般的には犬の年齢や種類・サイズを基準に選ぶ人が多いようです。

8の字型ハーネス

名前の通り、2つの輪が連なって8の字に見えるハーネスのことをさします。片方の輪を犬の首、もう片方の輪を胴体に巻いて使用します。犬の足を持ちあげることなく装着させられる手軽さから、とくに大型犬の飼い主に人気が高いタイプです。

一つの輪に頭をくぐらせ、バックルがついたもう一つの輪を胴に巻きつけて締めるタイプと、両方の輪にそれぞれバックルがついているタイプがありますが、後者であれば輪に頭を通す必要がないので、頭部が大きい犬でも使用できます。

H型ハーネス

H型ハーネスは、2本のテープで2つの輪をつないだ形のものです。8の字型ハーネスと同様、首と胴体に輪の部分を装着すると、テープの部分が犬の背と胸部分に当たります。8の字型ハーネスとは違い、犬に足を通させる必要がありますが、犬の胴体をしっかりホールドできる上に首への負担も少ないため、小型犬でよく使用される傾向があります。

ベスト型

ベスト型は、ハーネスの中でもっともデザイン性の高い洋服タイプのものです。首から通すタイプや足から通すタイプなど様々な種類があり、犬にもオシャレをさせたいと思う飼い主が、ベスト型を選ぶ傾向にあるようです。

また、やわらかい素材でできているものであれば犬にかかる負担も小さく、皮膚の保護や防寒機能も期待できるため、カラダが弱ってきた高齢犬でも安心して使用できます。

そのほか、高齢犬の歩行を補助する介護用ハーネスや、しつけなどに最適なイージーウォークハーネスなども販売されています。

首輪との違い

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首輪とハーネスの用途は同じですが、それぞれにメリットとデメリットがあるので、どちらが良いとは一概には言えません。そのため、飼い主が首輪とハーネス、それぞれのメリットとデメリットを把握した上で、愛犬の成長のサイクルや使用の目的に合わせ、適切に使い分けることが大切です。

ハーネスのメリット・デメリット

ハーネスは、タイプによっては装着が大変ですが、上半身の広範囲で犬のカラダをホールドするため、首や呼吸器にかかる負担を軽減することができます。そのため、カラダが充分に成長しきっていない仔犬や衝撃に弱い小型犬、呼吸器のトラブルを抱えた犬には、首輪よりもハーネスの方がおすすめです。

ただし、首輪と比べると飼い主の指示が犬に伝わりづらいというデメリットがあるため、しつけ目的での使用には向きません。

また、もともと牽引を目的として作られたハーネスは、カラダ全体で荷物を引っ張りやすいように設計されています。そのため、力が強い犬や引張り癖のある犬の場合は、飼い主が引きずられてしまう可能性があるので注意してください。

そのほかプードルやパピヨンなど、長くて繊細な被毛を持つ犬の場合は、ハーネスとの摩擦によって毛玉ができやすくなるというデメリットもあります。

首輪のメリット・デメリット

首輪の最大のメリットは、その着けやすさでしょう。基本的には首に巻いて金具やバックルで留めるか、単純に頭をくぐらせるだけの構造をしているので、手軽さでは首輪の方が上といえます。

散歩の時も、犬に飼い主の指示をより正確に素早く伝えたい場合、たとえば「引っ張るな」「止まれ」といった指示を犬に与えたい、あるいは引張り癖を治したいという目的がある場合は、首輪の方が効果的です。これはリードから首輪に、ストレートに飼い主の指示が伝わるためです。

しかし、首輪の場合、リードを引っ張られた時の衝撃が犬の首一点にかかってしまうため、椎間板ヘルニアや呼吸器疾患などのトラブルを引き起こしてしまう場合があります。

とくに短足のダックスフンドやウェルシュ・コーギー、鼻のつぶれたパグやブルドッグなどの短頭種ではこれらのリスクが高くなるため、首輪の使用は控えた方がよいでしょう。

犬のハーネスの選び方

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犬のハーネスは、デザイン性が高いものが多いので目移りしてしまう飼い主も多いかもしれません。犬の一緒のお出かけを楽しむためにはデザインも大切ですが、第一にサイズと安全性を重視してください。

また、素材や機能面でも、愛犬にかかる負担が少ないハーネスを選ぶことが大切です。皮膚が弱い犬であれば通気性のいいメッシュ素材のハーネスを、足を持ち上げられるのが苦手な犬には8の字型ハーネスを選ぶなど、犬の体質や性質に合わせて工夫をしましょう。

ロックがしっかりできる、安全性の高いハーネスを選ぶことも重要です。マジックテープタイプのハーネスは、犬がカラダを動かした際にハーネスが外れてしまう可能性があるので、とくに活動的な犬にはおすすめできません。

そのほか、暗い夜間でも安心して散歩ができるよう、反射テープの付いたハーネスも販売されているので、飼い主のライフスタイルなども考慮して、最適なものを選びましょう。

ハーネスを使用する際の注意点

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犬の胴体に装着するハーネスは、首輪と比べて抜けにくいというメリットがありますが、着け方を間違えるとケガや事故の原因となるので気をつけましょう。

足を通すタイプのハーネスは、足が抜けた状態で歩くと、犬のカラダに大きな負担がかかります。また、ねじれたベルトにこすれて被毛が切れたり、皮膚が傷ついたりしてしまうことも。そのほか、足や胸を無理に締めつけることで、呼吸困難を起こしてしまうおそれもあります。

犬にハーネスを着ける際には、ペットショップの店員やドッグトレーナーに指導を受け、正しい着け方や使用方法を理解した上で散歩に出かけましょう。

また、ハーネスを嫌がる犬に、無理矢理ハーネスを着けようとすると、ストレスから散歩嫌いになってしまうことがあります。警戒心の強い犬には、ハーネスのニオイを嗅がせたり、おやつを与えたりしながら着けることで警戒心を取り除いてあげましょう。

近年、犬の散歩にハーネスを使用する飼い主が増えた理由…その一つには「愛犬のカラダに負担をかけたくない」という愛情があることは間違いないでしょう。大切な愛犬と楽しく散歩するためにも、ハーネスのメリット・デメリットをしっかりと理解し、適切な使用を心がけましょう。

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