【獣医師監修】去勢をすると性格が変わるって本当? 去勢後の猫に起こる変化と注意点
猫を飼う上で、飼い主が考えなければならないことの一つに「去勢」があります。望まない繁殖を防ぐため、愛する猫と長く健康に暮らすため、最近では積極的に考える飼い主が増えているようです。ところで去勢をした場合、猫の性格にはどのような変化が起こるのでしょうか。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
去勢後の猫にみられる変化
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オス猫が去勢手術をすると、成長ホルモンが分泌されなくなります。猫の性格の形成には、この成長ホルモンが強く影響するため、去勢をすることで仔猫時代の性格をそのまま引き継ぐ傾向が強くなるようです。
諸説ありますが、猫が去勢手術を受けられるようになるのは、生後6ヶ月前後といわれています。もし、1歳を迎えるまでに去勢手術を行った場合、飼い主のことを親だと思って甘えることが多くなるようです。また、成長ホルモンと共に男性ホルモンの量も減少するため、中性的な性格になることが多く、攻撃性が和らぐともいわれています。
また、発情を一度も経験しないまま去勢手術を受けた猫の場合、去勢後も発情することはありません。逆に、一度でも発情を経験したことのある猫は、手術後もマーキングやほかの猫を攻撃するなどの問題行動を行う場合がありますが、頻度は減るといわれています。
ただし、去勢手術後はホルモンバランスが崩れやすくなり、カロリーの消費量が減ってしまうため、去勢済みの猫は太りやすくなるといわれています。手術前と同じ量の食事を与えていると、すぐに太ってしまうので注意してください。
肥満は万病のもと。最近では去勢手術をした猫用の低カロリーフードも販売されているので、獣医師に相談してみるといいでしょう。
なぜ去勢手術が必要なの?
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望まぬ妊娠を避けることができる
猫は、一度の出産で2~6匹の子どもを産みます。もし、愛猫がたくさんの仔猫を生んだら、あなたはすべての面倒をみることができるでしょうか。あるいは、すべての仔猫の里親を見つけてあげることができるでしょうか。もしその覚悟がないのであれば、繁殖させるべきではありません。
ストレスの軽減
発情は子孫を残すための本能なので、いつまでも交尾をしないとストレスが溜まり、寿命が短くなるといわれています。去勢手術をすることで、繁殖に関する性的な衝動やストレスから解放されるので、穏やかに生活することができるようになります。
問題行動が減少する
去勢手術をすることで、家庭内における問題行動が減少します。とくに、発情した時のマーキングや叫ぶなどの行動が減るので、飼育しやすくなります。また、性格的にも大人しくなる猫が多いので、ほかの猫とのケンカも少なくなり、メス猫を求めて脱走するリスクも低下します。
病気のリスクが減少する
去勢手術では精巣を取り除くため、精巣腫瘍や前立腺肥大など、生殖器に関わる病気の発生率を減少させることができます。
去勢後の注意点
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安静にさせる
猫はとてもデリケートな動物なので、手術は大きなストレスになります。手術後は、肉体的にも精神的にもダメージを受けている状態なので、環境の変化を避け、慣れている空間で大人しく過ごさせることを心がけましょう。あまり声を掛けたりせず、あくまでも猫のペースを尊重してあげることが大切です。
傷口の管理
猫が手術した部分を気にして、傷口を舐めてしまうこともあります。抜糸前に糸が抜けてしまったり、傷口が化膿してしまったりすることがあるので、注意が必要です。傷口を舐めてしまわないよう、エリザベスカラーなどを装着することもあります。
食欲や排泄に注意する
手術後は、ストレスからご飯をほとんど食べない猫もいます。また、去勢手術は全身麻酔で行われますが、麻酔が切れてから猫の消化器官が回復するまでには時間が掛かります。
無理にご飯を食べると、胃腸が働かずに嘔吐してしまうこともあります。猫の食欲が戻るまで様子をみて、無理をさせないようにしてください。
また、手術後に飲む薬の影響で、下痢や便秘を起こすことがありますが、長引く場合は動物病院で相談しましょう。