【獣医師監修】猫の毛が抜ける! 原因と対策と抜け毛の利用法
抜け毛の時期になると、カーペットの上は猫の体毛でびっしり。束で抜ける原因や効果的な抜け毛取りなどを紹介します。抜け毛を利用した帽子も!
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
抜け毛の原因と時期
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猫をお風呂に入れたとき、普段のふっくら丸い姿と違い、痩せて貧相な身体にびっくりした経験はありませんか? 猫の身体を覆う毛は、一つの毛穴から主毛(オーバーコート)と呼ばれる太い毛とそれを取り囲むように副毛(アンダーコート)が生えており、人間と比べ密度が高いため、ふっくら丸い姿をしているように見えるのです。
猫の換毛期は春と秋の年に2回あると考えられていますが、とくにフワフワのアンダーコートが大量に抜ける春先が抜け毛に悩まされる時期でしょう。暖かくなるにつれ、寒さから身を守ってくれた柔らかく密な毛が不要になり、抜け落ちるのです。
体毛の成長サイクルは日照時間が大きく関係しており、太陽の光を浴びる時間が長くなると自然と換毛期を迎えます。ところが、完全室内飼いの猫は毎日、人工的な明かりを浴び続けているため、いつが換毛期かはっきりしないため、換毛期がだらだらと長く続いてしまうこともあります。
換毛期に毛が大量に抜けるのは正常なことですが、時期を問わず束で毛が抜けたり、地肌が見えるほど抜けるのは異常事態といえるでしょう。皮膚疾患には感染性の皮膚炎のほかにも、心因性の脱毛や、舐めすぎることによる脱毛、内分泌疾患による脱毛など、思わぬ病気が潜んでいることもあるので、普段からよく観察して早期発見に努めましょう。
効果的な抜け毛対策
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この時期は、カーペットや布張りのソファ、ベッドはもちろん、「こんなところにも!?」と思うくらい、家中のいたるところで猫の毛を目にします。それだけでなく、セーターやコートなど、身につけるものにも張りつき、どんなに気をつけても、完全に取り除くことはできません。
人間も大変ですが、じつは猫自身も抜け毛が多いと、毛づくろいのときに飲み込む毛の量が増え、うまく吐き出せずに腸につまってしまい、手術が必要な事態に陥ってしまうことがあります。また、抜け落ちるはずの毛が体にまとわりついている状態は皮膚の健康状態に悪い影響を及ぼすこともあります。猫から抜け落ちる毛の量を減らすことはできませんが、積極的に取り除いてあげることはできます。
ブラッシング
一にも二にもブラッシング。換毛期は朝晩の1日2回やるといいでしょう。ペット用のブラシもいろいろあり、抜け毛専用のものはブラッシングするだけで効果的に抜け毛が取れるすぐれものです。
お風呂・シャンプー
水嫌いの猫ですが、シャンプーで一気に抜け毛を洗い流すのも効果的な方法といえるでしょう。ただし、強引にやるのは、二度とシャンプーをさせてくれなかったり、強いストレスを与えてしまうので逆効果です。また、シャンプー前にも必ずブラッシングは行いましょう。
空気清浄機
換毛期は、掃除機をかけたり、コロコロを使ってもすべての毛を取り除くことは不可能です。花粉が舞う時期は、花粉と猫の毛で鼻がムズムズしてしまう人もいるのではないでしょうか。強力な吸引力を持つ空気清浄機があれば、そんな悩みも軽減されます。
抜け毛の利用法
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猫の抜け毛を集めるととんでもない量になります。愛猫の抜け毛だけに愛着もあるし、そのまま捨てるのももったいないような気がします。じつは猫人気と相まって抜け毛の活用術も話題を集めています。どんな使い方があるか紹介しましょう。
猫毛ボールをつくる
集めた毛で猫毛ボールをつくれば、抜け毛処理もできるし、猫のおもちゃにもなって一石二鳥です。自分の臭いがついているので、猫も喜んで遊んでくれるはず。
猫毛フェルトをつくる
猫好きの間で、集めた抜け毛を猫毛フェルトにして小物をつくるのが流行っており、テキストも販売されています。色別に集めれば、作品の幅も広がりそうです。
猫毛帽子
抜け毛でつくった帽子を猫にかぶせて撮ったユニークな写真がネット上にあふれています。どの写真も愛猫の毛を捨てられない飼い主の気持ちが伝わる1枚に仕上がっていて、おもわずにっこりしてしまいます。あなたもインスタグラムを盛り上げる小物として活用してみてはいかがですか?
ペットを飼う人にとって、抜け毛は悩みの種です。基本的な対策は「掃除」につきますが、やってもきりがないというのが正直なところでしょう。ここで紹介した方法を参考に、やっかいな換毛期を乗り越えていただければ幸いです。