「福」と名付けられた、1匹の元野良ネコ。ハンディをのりこえ、『家族と共に生きる姿』に胸を打たれる

道路の真ん中にいたところを保護された、1匹のネコ。この子は様々なハンディを抱えていました。そんなネコちゃんは、飼い主さんのたくさんの愛情をうけて…

  • サムネイル: 蒼樹 りんどう
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※編集部追記(2021/2/27):福くんは、飼い主さんに見守られながら、2020年11月29日にお星様になりました。

 

ジーーーーッ

っとどこかを見つめているのは、Instagramユーザー ruiruiさん 宅の『福』ちゃん。
まん丸なお顔と、クリっとしたお目めが何とも愛らしい、北海道に住むニャンコさんです。

そんな福ちゃんですが、元は野良ネコさん。こちらのお家に来るまでは、外で暮らしていました。

出会い

飼い主さんが福ちゃんと出会ったのは、2012年の3月上旬。雪解けにはまだ少し早い、そんな時期でした。
妹さんと二人で車で出掛けた帰り、車道の真ん中に見つけた“何か” 。最初は袋か何かだと思いましたが……そこに居たのが福ちゃんでした。

わずかに雪の解けた車道で日向ぼっこをするように、座り込む子ネコ。お家でワンコを飼っていた飼い主さんは、その光景をあまり気にすることなくそのまま帰宅します……そう、普段ならば。

ところがこの時は、気が付くと車を脇に止めネコに声を掛けていたのです。

 

話しかけられたネコは顔を上げ、「ニャー」とお返事。
初めて会うにも関わらず、そのまま道路脇までついてきて二人の足にスリスリと戯れはじめました。

車の往来が少ない場所とはいえ、ここにいてはいつ事故に遭ってもおかしくありません。
人懐こいその様子を見た二人は、もう放っておくことは出来ず、ネコをブランケットで包み、動物病院へ連れて行きました。

野良ネコが抱えていたハンディ

獣医師さんによると、ネコは生後6ヶ月ほど。
そして検査の結果、先天性か後天性かは不明ですが、脳に障害があることが分かりました。

ショックを受けつつも、今後のことを考えるため二人はネコと共に帰宅することに。

しかし、いざ保護してみたものの、実は二人は元々ネコが苦手だったのだとか。
当時のことをruiruiさんは、「ネコは引っ掻く動物だと思っていて、どう触っていいのかすら分からず困りました」と、話してくださいました。そんな状況でもネコの体を洗うなど一生懸命にお世話をします。

そして保護してから4~5日経ったころ、飼い主さんはネコの “ある異変” に気が付きました。

玄関扉の開閉音、ワンコたちの吠える声、耳元で鳴る音ーー
この子はあらゆる音に無反応でした。耳が聞こえていなかったのです。

 

二人は当初、この子を里親に出すつもりでいましたが、正式に家族として迎え入れることを決意しました。

それから……

こうして車道の溶けた雪の隙間ではなく、本当の温かい場所を見つけたニャンコ。

飼い主さんから、『福』という名前をもらいました。
“野良ネコ時代に苦労してきた分、この子にたくさん福がくるように” という願いが込められています。

しかし2016年、福ちゃんは目の病気である『ぶどう膜炎』を発症し、「右目が失明する可能性がある」と残酷な現実を告げられます。

“なぜ? どうして?”という気持ちでいっぱいになり、涙が止まらなかったというruiruiさん。

ですが、妹さんの「福が頑張ってるんだから泣くんじゃない!」という一声や、フォロワーさんの励ましにより前向きになれたと話してくださいました。

 

現在、福ちゃんは6歳8ヶ月程。残念ながら右目の光は失ってしまいましたが、音と光を補うようにたくさんの愛情に囲まれ暮らしています。

 

元から人懐こい性格でしたが、飼い主さんと暮らしてからはさらに拍車がかかったようで、どこでもスリスリしてくる甘えん坊な福ちゃん。
ruiruiさんや妹さんだけでなく、姪御さんにもベッタリ。そんな性格が、ruiruiさんは大好きなんだそう!

また最後に、こうも話してくださいました。

「福が来てからは、私たち家族が本当にたくさんの “福” をもらっている気がします」

福ちゃんがruiruiさんたちと出会ったのも、きっと運命だったに違いありません。だからこそ『あの日』不思議と声を掛けてしまったのではないでしょうか。耳と片目は不自由ですが、深い愛情に囲まれた福ちゃんは、これからもみんなを笑顔にし、幸せいっぱい過ごしていってくれることでしょう。

ruirui(@maruelmoruru)・Instagram photos and videos
飼い主さんのInstagramアカウントはこちら。

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