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【猫びより】「豹廿田」ってなーんだ?【from Hong Kong】(辰巳出版)

【猫びより】「豹廿田」ってなーんだ?【from Hong Kong】(辰巳出版)

【Cat News Network】(猫びより 2021年05月号 Vol.117より)

  • サムネイル: 猫びより編集部
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香港には、不織布マスクの専門業者が60社以上存在するが、その中に愛猫をマスクに描くという究極のオーダーメイドを見つけた。もともとは、SAA(保護遺棄動物協会)という団体がチャリティーとしてマスク製造会社の協力を得て、ペット写真を加工印刷したマスクを受注販売したのが始まりだ。チャリティーは終了したが、同社がイラストレーターとのコラボで引き続きオーダーメイドを続行している。そのイラストを担当しているのが「豹廿田(パウヤーティン)」だ。

白い不織布プリーツ型にイラストが映えるオーダーメ イドマスク

白い不織布プリーツ型にイラストが映えるオーダーメイドマスク

「豹廿田」は、2017年に3人で立ち上げたハンドメイド作家ユニットで、裁縫の得意な姉ビアンカさんが布物グッズ制作を、中学からアートを勉強してきた妹螢螢(インイン)さんがイラストを、そのパートナーである大輝(ダイファイ)さんがマーケティングや経理を担当している。3人とも別に正職を持ちながら二足の草鞋での活動だが、フリーマーケットやSNSで人気となり、今では本業よりも忙しい状況とウレシイ悲鳴を上げている。

左から大輝さん、螢螢さんと愛猫ケルビン、ビアンカさん

左から大輝さん、螢螢さんと愛猫ケルビン、ビアンカさん

5年前、猫好きだった姉妹がSAAを通じて子猫「ケルビン」を引き取ったのをきっかけに、螢螢さんがケルビンのイラストを描き始め、ビアンカさんがそれをバッグ等の布物に仕上げて私物として楽しんでいたところ友人達の目に留まり、彼らのペットでの制作依頼を受けるようになった。そこからさらに口コミが広まり作品が増えるとともに、SNSでの販売やフリーマーケット出店に繋がっていったそうだ。

ペットの写真を元にイラストを作成し、様々なグッズに仕上げてくれる

ペットの写真を元にイラストを作成し、様々なグッズに仕上げてくれる

しかし、当初螢螢さんは自分のイラストに自信がなく、仕事として依頼を受けることを躊躇(ちゅうちょ)していたようだ。実際初期の頃には、一度だけ仕上がった作品をキャンセルされたこともあった。挫折しそうになったその経験をもとに、描くペットの写真は様々なパターンで数枚提出してもらい、性格や日頃の癖まで特徴を詳細に確認。そして、仕上げる前には必ず飼い主の視点でチェックしてもらい、細部まで修正するという丁寧な仕事ぶりで、今では数ヶ月待ちという信頼と人気を誇るイラストレーターに成長した。もちろん傍(かたわ)らには、それをサポートするビアンカさんと大輝さんという欠かせない存在があっただろう。

最近のイチオシは、世界的な名 画を猫に描き換えたユニークなイラスト

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さて、ユニット名「豹廿田」は、螢螢さんが中学時代の宿題に描いた猫作品のタイトルで、当時ビアンカさんが命名したそうだ。どんな意味? というクイズのような名前だが、並べ替えてみると……繁体字の「貓」という字に。皆さん、おわかりになりましたか?

毎回フリー マーケットでは、猫好きのお客さんとの猫談義に花が咲く

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Tsukazaki Yuka
猫と香港在住のライター。広東語で通訳、翻訳、日本語教師などもこなす。著書に『香港の大スター☆クリームあにき』(辰巳出版)。

文・塚碕由香/写真提供・豹廿田

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