【猫びより】光榮結業、忌廉家族(へいてんクリームふぁみりぃ)【from Hong Kong】
【Cat News Network】(猫びより 2021年09月号 Vol.121より)
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21年5月24日、クリームあにきの1周忌。香港は1年が経過してもまだコロナ対策の制限令のため、法要のイベントは行えず、各々にあにきの祭壇を訪れるしかなかった。そんな収束の見えないコロナ禍で、あにきが店長を務めた『クリームふぁみりぃ』閉店が公表されたのだった。
店の顔とも言える、入口に描かれた3D壁画
それから6月30日の閉店まで、人気のあった3D壁画の前での記念撮影や、祭壇への献花や猫缶のお供えに訪れるファンが後を絶たなかった。
店内の壁画の前で記念撮影する地元ファン
香港に来られない日本のファンからもあにきの招き猫やカード等の贈り物が海を渡って届けられ、飼い主の高夫妻も感慨ひとしおのようだった。
お花や猫缶等ファンからのお供物が絶えなかった祭壇
熱心な日本人ファンから贈られたあにきの招き猫
思えば、16年5月25日にそれまで営業していた新聞スタンドを閉め、一度は引退した高夫妻とあにき店長が、ファンの熱い要望に応えてペット用品と猫グッズの店を再開したのは17年10月21日のことだった。
あにきとあねさんのカップルに加え、蛋糕(ケーキ)と牛奶(ミルク)の兄弟に、妹分の高妹(ゴ ームイ)を加えた5匹のファミリーが揃い、店は以前にも増して活気に溢れていた。
わざわざ見に来るファンもいた、恒例の食事風景
3兄弟のデカさに思わず感嘆するカメラマン
地元のファンのみならず、日本や台湾、韓国等海外からの観光客も多く訪れ、新しい観光スポットとしてメディアでも注目を集めていた。
日本からは、18年2月に放送された「にじいろジーン」(フジテレビ系)が、新聞スタンド時代から2度目の撮影に訪れ、番組マスコットジーンちゃんとの再共演を果たした。また、「もふもふモフモフ」(NHK総合)が、19年8月の特番の撮影に訪れた。
丸1日の店長仕事に密着撮影し、カメラの前でも動じないあにきの威風堂々ぶりにはカメラマンも感心。また、本誌でおなじみの猫写真家・沖昌之さんや、香港迷(マニア)で有名な女優の伊藤修子さんもあにきに会いに訪れている。
あにきの威風堂々たる店長姿(写真提供:Wing Chan)
さらには、毎年8月第1日曜日に恒例だったあにきお誕生日会はもちろん、あにきをモデルにした絵画教室や、手芸本『ウチのコそっくりボンボン猫人形』(日東書院本社)を用いた、あにきのボンボン人形教室も開催された。
ここを訪れたすべての人が思い出を分かち合い、それぞれの記憶の中にあにきやふぁみりぃが残っているにちがいない。
1周忌に地元ファンが用意した大仏あにきのケーキ
クリームふぁみりぃは、再びおうちの子に戻った。あにきと共に先に勇退したあねさんは、悠々自適の生活でふくよかになり、妹分のゴームイもお嬢様暮らしを満喫している。
あねさんはベッドでまったり(写真提供:Annie Choy)
おうち暮らしでお嬢様度がアップしたゴームイ
遅れて加わったケーキとミルクの兄弟も、仲良くのんびりやっているらしい。みんなお疲れ様でした。
お店のアイドルとして頑張ってきたミルク&ケーキ兄弟!
二度あることは三度ある。三度目の正直。ファンならずとも、この言葉を信じて、店長から天長に昇格したあにきとクリームふぁみりぃ、そして高夫妻の再復活を期待したい。
その親しみやすさでファンからも愛された高夫妻
Twitter:@hkcreamaniki
Facebook:@creamfamilyhk
Instagram:creambrother_thecat
Tsukazaki Yuka
猫と香港在住のライター。広東語で通訳、翻訳、日本語教師などもこなす。著書に『香港の大スター☆クリームあにき』(辰巳出版)。
写真・文 塚碕由香