【獣医師監修】オウムと暮らすために必要な飼育環境と注意点
おしゃべり好きで頭の上の冠羽がかわいいオウム。オウムはセキセイインコなどの小鳥と比べてカラダも声も大きく、飼育環境には充分な注意が必要です。オウムを家族に迎えたいと思ったら、まずは飼い方のポイントをおさえておきましょう。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
オウムってどんな生き物?
ひと言でオウムといっても、たくさんの種類があります。分類上は、オウム目オウム科に属する21種類の鳥の総称をオウムといいます。オウムとインコは混同しがちですが、外見上で頭の上に冠羽があるのがオウム、ないのがインコです。
体色もオウムは白や黒、またはその他の色の単色が多く、インコはカラフルで鮮やかな種類が多くみられます。解剖学上の違いでは、オウムには胆のうがあり、インコにはありません。
一般的なオウムの体長は30~60cm。小型の鳥が多いインコと比べると、比較的サイズが大きくなります。ただし、インコの中にもコンゴウインコのように、体長90cm以上になる種類もあります。
じつは、名前に「インコ」とつけられてもオウム科に属する鳥がいます。ペットとして人気のオカメインコ、またピンクの体色のモモイロインコは両方ともオウム科に属しています。
オウムはとても長生きです。個体差はありますが、平均寿命は30~50年程度といわれています。オウムの中で最小サイズのオカメインコでも約20年、大型のオウムになると30~70年生きる場合があります。
飼育に必要なもの
飼育に最低限必要な、ケージとエサを用意しましょう。
ケージ
ケージは、オウム用を個体の大きさに合わせて選びます。毎日の放鳥時間が長く取れる場合はさほど大きなケージでなくても大丈夫ですが、部屋に放す時間(放鳥時間)が短い場合は、オウムが動き回れるような大きめのケージが必要です。
カラダが大きいオウムは噛む力も強く、ケージの金網をかじって歪ませてしまいます。ケージの材質には金属メッキやステンレス製などがありますが、少々高くても丈夫で金属中毒の心配がないステンレス製がおすすめです。オウムがかじることを想定して作られたステンレス製以外のケージを販売しているメーカーもあるので、ショップのスタッフに相談しながら選びましょう。
ケージの底の部分もかじって壊してしまうので、プラスチック製ではなく金属製のものが安心です。
ケージ内の止まり木やエサ入れ、水入れはケージとセットになっていることが多いですが、止まり木もかじって壊してしまうことが多いので、スペアの止まり木も用意しておきましょう。
エサ
市販されているオウム用ペレット((固体になっているドライのペットフード)を与えます。ペレットは栄養バランスが整ったエサですが、ペレットだけでは飽きてしまい、食べる楽しみがなくなることでストレスの原因にもなってしまいます。そのため、副食やおやつとして野菜や果物、シードなどを与えてください。 ただし、与えすぎると偏食になったり下痢になったりすることがあるので、量は控えめにしましょう。
オウムが喜ぶこと
オウムは遊び好きです。おもちゃ遊びや水遊びのほか、飼い主と遊ぶのも大好き。放鳥すると、オウムは飼い主とコミュニケーションをとったり、歌を歌ったりなど、勝手に遊び方を見つけます。飼い主も一緒に遊ぶことで、信頼関係を深めましょう。
おもちゃはオウムが噛んでも安全な木製品や革製品、紙製品を選んでください。市販されている「製品」でなくても、丈夫なアクリル製のボールや積み木などがあれば、オウムは喜んで遊びます。飼い主が手作りしたものでも十分です。
ただし、ゴムやビニール、プラスチックなどのおもちゃは、噛みちぎって誤飲するおそれがあるので与えてはいけません。金属類も、亜鉛メッキを施したものは金属中毒になりやすいので避けましょう。
水遊びは、容器にオウムの足の半分くらいまでの水を張って遊ばせます。水浴びはオウムのストレス解消になるだけでなく、カラダの汚れやダニ、細菌などを水で洗い流す効果もあります。注意したいのは、水遊びをしすぎるとカラダが冷えてしまうため、10分を限度としてください。オウムは日光浴も好んで行うので、1日15分以上を目安に日向ぼっこさせてあげましょう。
オウムはとても賢く、中には人と会話する個体もいます。また、感情も豊かで、飼い主とのコミュニケーションを大切にします。オウムとの信頼関係を築くためにも、毎日一緒に遊ぶなどして充分にコミュニケーションをとりましょう。
オウムを飼育するにあたっての注意点
オウムは大きな鳴き声を出します。いわゆる雄叫びです。周囲に迷惑をかけないためには、防音性に優れた環境が必要です。オウムを家族に迎える場合は、あらかじめ飼育スペースの壁に防音材を貼り付ける、防音カーテンを使用する、防音アクリルケージを使用するなどの防音対策を施しましょう。
また、毎日最低1時間は放鳥してあげること、日光浴させることも大切です。放鳥はオウムにとってストレス発散となるほか、飼い主とのコミュニケーションの時間にもなります。十分な放鳥スペースと時間を確保してください。
日光浴は、オウムが体内でビタミンDを生成するために必須の習慣です。ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収率が低下し、様々な病気の原因となるので注意しましょう。
オウムを飼う上でなによりも重要なのは、毎日のお世話を長期間続けること、そしてその覚悟を持つことです。長生きのオウムは、飼い主にとって生涯付き合うペットになる可能性があります。自分が先立った時の引き取り先を決めておくことも大切です。
オウムも飼い主もストレスのない生活を送るためには、放鳥と防音対策が大きなポイントになります。オウムが快適に生活できる飼育環境を整え、毎日のコミュニケーションを大切にしてください。