【獣医師監修】猫に立ち入り禁止の場所を教えたい! 効果的なしつけの方法と注意点
飼っている猫には、できるだけのびのびと過ごしてもらいたいもの。しかし、家の中には猫に近づいてほしくない危険な場所があるのも事実です。ここでは、猫に立ち入り禁止の場所を覚えてもらう方法についてみていきましょう。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
なかなか難しい立ち入り禁止のしつけ
猫というと、自由気ままで気まぐれな性格も魅力の一つです。しかし、その性格のおかげで、大切な愛猫が危険な目に遭うことは避けたいものです。猫に立ち入ってほしくない場所といえば、刃物や食べ物がたくさんあるキッチン、転落して溺れてしまう可能性のある風呂場、人間用の寝室など。
入ってほしくない場所に柵を設置しても、猫はジャンプ力があるため、軽々と飛び越えてしまうこともあるでしょう。そこで、猫に立ち入り禁止の場所を覚えてもらうためのしつけが必要になります。では、どうすれば、猫に立ち入り禁止の場所を覚えてもらうことができるのでしょうか。
「あそこは嫌な場所」と覚えてもらうためのしつけ
猫は、犬のように褒めて伸ばすのではなく、不快感を与えることで問題行動を抑制する方法が適しています。何だか可哀想な気もしますが、これには理由があります。猫は、人間から褒められることに対して、あまり気持ちが動きません。
逆に、自分に不快感を与えるものに対しては、非常に優れた記憶力を発揮するという習性をもっています。そのため、一度痛い目に遭ったり、怖い思いをしたりすると、猫は「あの場所へは二度と近づかない! 」と学習してくれるのです。
つまり、猫に立ち入り禁止の場所を教えるには、猫をうまく「痛い目」に遭わせることが重要となります。ただし、注意しなければならないのは、この場合の「痛い目」は、人間のカラダを用いた体罰であってはいけません。体罰は、猫と飼い主の信頼関係を台無しにしてしまう可能性があるので、絶対に避けましょう。
猫に「サプライズ」を与える
では、どのようにして猫に不快感を与えるのがよいのでしょうか。それは、猫が立ち入り禁止の場所に入った瞬間に、猫がびっくりするようなサプライズを与えるのが効果的です。猫を驚かせることで、立ち入り禁止の場所への侵入を半ば強制的に中断させましょう。具体的に、猫にサプライズを与える方法としては、以下のようなものが挙げられます。
猫用の忌避剤
入ってほしくない場所に、猫が嫌うニオイのスプレーをかけてみましょう。この方法をとる場合は、必ず猫のカラダに害のない、専用のスプレーを使用してください。
ガムテープなどのベトベトするもの
猫は足の裏が敏感なので、ベトベトしたものを触りたがりません。この習性を利用して、入ってほしくない場所にガムテープを仕掛けておくという方法があります。
水鉄砲や霧吹き
猫は水が苦手です。立ち入り禁止の場所に入ったら、水鉄砲や霧吹きを使って水をかけてみましょう。この方法をとる場合は、猫に飼い主の仕業だと気づかれないように、猫の死角から水をかけることが重要です。もし、猫に飼い主の仕業だと気づかれてしまったら、それまで築いてきた信頼関係を損なってしまうかもしれません。
自然界にはない感触や音
猫は自然界には存在しない感触や音を嫌がります。とくにアルミホイルは肉球に不快感を与えるだけでなく、クシャッとした金属音や、爪で引っ掻いた時に出る高い音が、猫にとっては耳障りなようです。ただし、猫がアルミホイルを誤飲してしまわないように、使い方にはと充分気をつけましょう。
急な物音や爆発音
急に大きな物音や爆発音がすると、猫はびっくりしてその場から逃げ出します。猫がとくに嫌う音としては、人間が「パンッ! 」と手を打ち鳴らす音、エアダスターの「シューッ! 」という音、空き缶などに硬貨を入れて振る音などが挙げられます。ただし、あまりに大きな音や甲高い金属音を立てると、猫がパニックになり、痙攣や発作を起こす可能性もあるので注意しましょう。
超音波
猫は超音波が苦手です。赤外線を用いて、猫などの動くものを探知し、超音波を発生させて追い払う機械が市販されています。室内で使用する場合は、猫が近づく可能性が低い時はこまめにスイッチを切り、猫に余計なストレスを与えないようにしましょう。
突然真っ暗になる
猫に上からいきなり毛布や布を落とし、猫の視界を真っ暗にしてしまう方法です。急に真っ暗になると、猫は驚いてその場を離れるでしょう。
「ここは嫌な場所だ」「ここに入ると嫌なことが起こる」…その不快な記憶の積み重ねが、猫に立ち入り禁止の場所を覚えさせます。愛猫が家の中で安全に過ごせるように、根気よくしつけましょう。
また、どんなに工夫をしても、猫が立ち入り禁止の場所を覚えてくれない場合は、猫にとって危険なものを部屋の中から撤去することも検討してみてください。猫にとって過ごしやすい環境を整えてあげることも、愛情の一つといえるでしょう。