犬が飼い主に背中を向ける。この行動の意味とは?

ある日、いつもはしっぽを振ってとことこ近寄ってくる犬が、飼い主に背中を向けている…このようなちょっとした行動が、犬にとっては大きな意味を持っていることがあります。そこで今回は、犬が飼い主に背中を向ける意味を解説していきます。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬が背中を向ける理由は「信頼の証」

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犬が、自分のカラダの中で一番の弱点と感じている部位はお腹だといわれています。信頼している相手にお腹を見せるのは、弱いところを絶対に攻撃してこないという安心感からの行動であるともいわれます。

じつは、犬にはお腹以外にも弱点と感じている部位があります。それが、後ろ足です。

後ろ足は、ハンターだった犬が走るためには欠かせない部分です。野生動物時代の犬にとって後ろ足を怪我するということは、狩りができなくなり、死が近づくということを意味していました。そのため、群れで生活していた犬は、互いの背中・おしりをくっつけて休息を取っていたのだとか。自分たちの急所をお互いで守るようにしていたというわけです。

この名残から、犬は後ろ足を守るような仕草をよくみせます。また、仲の良くない人・気を許していない人におしりや後ろ足など、下半身を触られることを非常に嫌がります。これは犬の警戒心から来るもので、攻撃してくるかもしれない相手に弱みを見せないためです。つまり、犬が飼い主に背中を見せたり、下半身を触られても逃げたりしないのは、「この人が攻撃してくることはない」という信頼の証なのです。

飼い主に対して犬が背中を見せた時に、飼い主としては「嫌われているのかな…」と寂しく感じるかもしれません。しかし、犬から見た場合の意味合いは真逆で、信頼しているからこそ自分の弱みを見せているということになります。犬が背中を向けて遊んでいる時は、「信頼されているんだな」と喜ぶべき瞬間なのです。

また、以下のような時にも、犬が飼い主に背中を向けることがあります。

●犬が安心を求めている
●飼い主に背中を撫でてもらいたい
●カーミングシグナル

上の2つは、飼い主に対する信頼の証であり、忠誠心を抱いているからこその行動です。最後のカーミングシグナルですが、これは犬同士が相手を落ち着かせるための行動で、下位の犬が上位の犬に行うことが多いといわれています。このカーミングシグナルについては、次項で詳しく説明します。

「背中を向ける」行動の活用法

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犬同士がけんかに発展しないようにするために、相手に対して背中を向けることで「私は攻撃する意思はありません」という気持ちを伝えることがあります。苦手としている犬と仲良くなるために、わざと背中を向けたり目をそらしたりするこの行動を、カーミングシグナルといいます。敵意がない犬に対して、信頼・服従の意味として背中を見せ、友好的に過ごそうとしているのです。

このカーミングシグナルは、犬の社会のルールともいえるものですが、これを犬のしつけに活用することができます。その方法は、とても簡単です。人間も、仲良くなりたい犬に対してわざと背中を見せて、攻撃する意思がないことを示すのです。人間の社会で背中を向けるのはあまり良い意味ではありませんが、犬にとっては異なります。なかなか友好的にしてくれない犬に対しては、背中を向けることで、自分から仲良くなりたいという気持ちを伝えることができるかもしれません。

今でこそ犬は人間社会に溶け込んで共同生活を送っていますが、もともとは野生動物として狩りをしながら、毎日が生きるか死ぬかの生活をしていました。その時代の名残が、信頼できる相手に対して背中を向けるという行動なのです。飼っている犬が、ある日あなたに対して背中を向けたなら、それはあなたが犬の信頼を勝ち取った証といえるでしょう。

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