【獣医師監修】猫の平熱って何度? 適正体温と測り方
人間の体温計を使っても大丈夫? 猫の体温を測る場所はやっぱり耳? 体温の測り方を覚えて、猫の健康管理に役立てましょう。
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長
猫の平均体温は人間より高い
猫を膝の上に乗せていると、猫に触れている部分だけでなく、カラダの方もじんわり熱くなってきます。それもそのはず、猫は私たち人間より1~2度ほど高い38度台が平熱です。仔猫はそれより少し高く、老猫はそれより少し低くなります。一般的に熱がある状態は39.0~40.0度で、それ以上になれば高熱の状態です。平熱は猫によって違うので、まずは愛猫の平均体温を知り、どのくらいになれば発熱している状態なのかを把握しておくことが大切です。
体温調節の方法
人間は全身に汗をかいて熱を逃がしますが、猫が汗をかくのは肉球だけ。それでは、うまく体温調節ができません。じつは、猫には猫ならではの方法があるのです。猫はカラダが熱くなると、口を開けてあえぐような声を出します。これは「パンティング(あえぎ呼吸)」と呼ばれる行為で、呼吸器粘膜から気化熱を放散して体温を下げているのです。たとえば、私たち人間も水に濡れると、だんだんとカラダが冷えてきます。この時、皮膚についた水分を空気中に放散する熱のことを「気化熱」と呼んでいます。猫の習性でもあるグルーミングでカラダを湿らせ、その水分を放散するのも体温を下げる方法の一つです。
では、逆に寒い時はどんな方法で体温調節をするのでしょうか? 人間も寒い時はブルブルと身震いすることがありますが、猫もブルブルと筋肉を細かく収縮させる「シバリング(振戦運動)」と呼ばれる方法で、体温を上昇させます。また、全身を覆っている体毛も防寒に欠かせません。寒い時、猫はよく毛を逆立ててカラダを膨らませています。これは毛の間に空気の層を作り、ダウンジャケットのように冷たい外気をシャットアウトしつつ、カラダの熱が放出するのを防いでいるのです。
熱中症の症状と対策
いくら自分で体温調節ができるとはいえ、猛暑が続くここ数年の日本の夏は、猫にとってなかなか手ごわい季節です。猫は人間と比べて熱を逃がす能力が劣るため、熱中症にかかってしまうおそれがあります。とくに太っている猫やペルシャなどの鼻ぺちゃ種の猫は体温調節が苦手です。暑い車内や室内、もしくは激しい運動をした後に「ぐったりしている」「エサを食べない」「呼吸が荒い」「大量のよだれを垂らしている」「嘔吐」「下痢・血便」「けいれん」などの症状が現れた時は、熱中症かもしれません。
その場合は、まず熱を下げることが第一です。猫を日陰などの涼しいところに移し、水を飲ませるのと同時にカラダにも水をかけます。次に、うちわや扇風機などで風を吹きかけ、気化熱によって体温を下げてください。重症化すると死に至ることもあるので、猫の様子をしっかり観察し、回復しないようであれば、症状が現れてから1時間以内に病院に連れて行きましょう。
低体温症の症状と対策
長時間寒いところにいたり、仔猫や老猫、ケガをしている猫は低体温症になることがあります。呼吸が荒い、ぐったりしているなどの症状が現れたら要注意。寒い地域では凍傷になることもあります。対処法としてはカラダを温めることですが、急激に温めるとショック状態に陥ることもあるので、毛布でくるんだり、タオルでマッサージするなどしてゆっくり温めてください。凍傷になった場合は、ぬるま湯にその部分をつけると効果的です。なお、猫は腎臓病になると低体温症を起こします。体温が低くなるだけでなく、おしっこの量が少ない、エサを食べない、吐くなどの症状がみられたら、単なる低体温症ではない可能性があることを覚えておきましょう。
体温の測り方
猫の体温を測る時も、人間と同じく体温計を使います。体温計は人間用のものでかまいません。「じっとしていない猫に体温計を使うのは不安!」という飼い主は、2人で行うといいでしょう。
体温は肛門で測ります。まず体温計にラップを巻き、滑りやすくするためにオリーブオイルやワセリンを塗っておきます。次にしっぽを持ち上げ、肛門から2~3㎝奥に挿入して測ってください。どうしても嫌がる時は、後ろ足の付け根に体温計を挟んで測る方法もあります。ただ、この場合は肛門での検温と比べ、0.5~1℃ほど低く測定されます。
簡単に正確に測りたいという人は、動物専用の耳体温計も市販されています。1万円前後と高価ですが、猫の耳に1秒ほど当てるだけで測定できるのでとても便利です。
猫と暮らしていれば、習性や喜怒哀楽などの感情、行動パターンなどは自然とわかってきます。普段から猫に触れていれば、体温計を使わなくても体温の変化にも気づけるかもしれません。元気がないと感じた時は、おでこや脇、肉球などを触って確かめてみるのもおすすめです。明らかに熱が高い、あるいは低いと感じたら、体温計を使って測定してみましょう。
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