猫好きなら一度は訪れてみたい、猫の町「尾道」とは!?
尾道は広島県東部の瀬戸内海に面する、ノスタルジックな港町。古くから海運物流の中継地点として栄えてきましたが、文学や映画、アニメの舞台として老若男女に人気のある街です。そんな尾道がここ最近、「猫の町」として全国からも熱い視線をあびるように。今回は、猫好きなら行ってみたい尾道の猫スポットを紹介します。
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尾道は「物流の町」「坂の町」「文学・芸術の町」…そして「猫の町」
尾道という町を深く知ると、さまざまな側面を持っていることが分かります。これだけ多くの冠を持つ町はなかなかないのではないでしょうか。
1.物流の町
瀬戸内海に面した尾道は、古くから近畿、四国、九州との海運物流の中継地「瀬戸内十字路」として栄えてきました。一時期海運が下火になりましたが、1999年にしまなみ海道が、2015年に中国横断自動車道が開通したことで、現在は陸路での物流の中継地としての重要な役割を果たしています。
2.坂の町
海と山が近接し、山側の「猫の額」ほどの狭い地域に、ひしめきあうように歴史ある街並みが連なっています。そのため、自転車さえ通れないような坂道や階段道が網の目のように張り巡らされていて、なんともノスタルジックで趣のある雰囲気。自動車が入れないため、猫にとっても安全な地域となっています。
3.文学・芸術の町
趣ある尾道に、さまざまな作家、芸術家が目を向けないはずはありません。作家林芙美子、志賀直哉の作品の舞台となったり、映画では大林宜彦監督の新旧尾道三部作や、NHKの連続テレビ小説の舞台にもなったりしています。
4.猫の町
港・坂・文学・芸術・ノスタルジー、尾道を表すのによく使われる単語です。これって、猫と親和性がとても高い言葉ではないでしょうか。港と猫。坂道と猫など、どれもしっくり合います。つまり尾道の町と猫ってピッタリハマる要素があるということですよね。
尾道には漁港もあり、地形も坂道や小さな路地が多いため、昔から猫が多くいましたが、アーティスト園山春二氏が企画する「イーハトーヴ」と呼ばれる空間プロジェクト内での「猫の細道」をきっかけに、猫好きな人から注目を集めるように。現在では、尾道の町のいたるところに猫モチーフのグッズやグルメのお店もでき、一度は訪れてみたい猫の町となっています。
尾道に来たらぜひ訪れてほしい「猫の細道」
猫の細道
猫の細道は、「イーハトーヴ」という空間プロジェクト(古民家など、もともとある街並みを再生するとともに、アート、町、人、を緑で繋ぐプロジェクト)のエリア内にあり、艮(うしとら)神社の坂の上に続く、深い緑に囲まれた古い小道のことで、もともとは千光寺の参道でした。アーティスト園山氏が丸い石に描いた色とりどりの「福石猫」という108個の石の猫たちが道なりに置かれ、観光客を出迎えます。ご近所の猫や、お店の看板猫など、実際そこに住む猫たちの通り道とも重なっていて、まさに猫に出会える小道なのです。
自然豊かなこの道沿いには古民家を再生した美術館やカフェ、ショップが立ち並び、まるで昭和初期にタイムスリップしたような、緑とさまざまな生き物と人が繋がる調和の空間がここには存在します。
猫の細道の入り口で出会った黒猫2匹。
道には可愛い猫の足跡も!
梟の館。不思議な世界に迷い込んだよう。
ショップの看板で一生懸命爪をとぐ猫。
色とりどりの丸い福石猫が待ち受けます。お気に入りに出会えるかも。
招き猫美術館in尾道
古今東西、3000体もの招き猫が収集された美術館で、初代看板猫小梅ちゃんの実家なのだそう。ところ狭しと並ぶ招き猫は圧巻です。招き猫が地域によってこんなにも違いがあるのだ、と新しい発見もできるでしょう。福石猫はこちらで購入できます。
◆営業時間:11:00~17:00(土日祝:10:00~17:00)
◆入館料:大人300円 小学生100円
◆休館日:木曜日
看板猫見習い 「ティーグル」くん 2才♂
おっとり温和な性格でオトボケな天然くんは、生後1ヵ月の時にひきとられ看板猫修行中。
猫グッズのお店「Le Chat(ルシャ)」
文房具からアクセサリー、洋服まで、さまざまな猫グッズを取りそろえたお店。市販品だけではなく、アーティスト作品やオリジナル商品も取り扱っています。
古民家を改装した空間で、店内は落ち着いたレトロな雰囲気。
看板猫 「ノアール」ちゃん 2才♀
ティーグルくんの妹で、一緒にもらわれてきました。とっても人懐っこく甘えん坊さんで、お客さんの膝に乗ることも。
看板猫 「ゴアくん」 年齢不詳 ♂
この界隈のボス猫ですが、去勢してからはちょっとおとなしくなったそう。でもまだまだ貫禄あるりっぱなボスです。
オルガンとテラスと猫…、絵になりますね。
◆営業時間:13:00~17:00(土日祝:11:00~17:00)
◆休館日:水曜
猫に会うなら餌ではなく、猫じゃらしを!
「残念なことに、猫の細道では、観光客から餌や人間の食べ物をもらったりして、健康問題が起きています」と話してくれたのは、猫と人との共生を考えるイーハトーヴスタッフの土井卓(どい すぐる)さん。今後、猫とどう接するべきかを観光客向けにガイドする「ネコガイド」や、地域との連携を積極的にしていきたいそう。
「これから訪れる人にぜひ考えていただきたいことがあるんです」と土井さん。「それは、猫たちにもふつうの暮らしがあるということ。むやみに追いかけまわさず、猫の生活を尊重することも大切です。猫に会いに来る時は餌でなく猫じゃらしを持ってきて遊んであげてください。猫たちの健康のためにぜひともご協力をお願いいたします」。
確かにちょっとぽっちゃり猫も。
尾道駅前から続く「尾道本通り商店街」。ここでも猫を満喫!
尾道駅のすぐそばから東へ2キロほども続く、長い商店街。西から東へ、「一番街」「中商店街」「本町センター街」「中央街」「尾道通り」の5つのエリアからなります。
アーケード街なので雨でもゆっくり散策でき、100年以上前からあるレトロな建物があるかと思えば、最新のおしゃれカフェもあるという、新旧入り混じった楽しい空間です。専門店ではなくても、片隅に猫グッズコーナーを設けているお店も。掘り出し物の猫グッズに出会えるかもしれません。
体験工芸館 「Sora Studio&Gallery」
尾道市出身で、箱根で腕を磨いてきた陶芸家藤本善史(ふじもと よしふみ)さんによる陶芸スタジオです。こちらでは、そらねこ(猫の人形)作りや電動ろくろを体験できるので、ぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。
昨年オープンしたばかりのレトロな雰囲気の「Sora」。
体験スタジオだけでなく、藤本さんの作品を展示するギャラリーにもなっています。
とても気さくな藤本さん。ほんの数分でお手本を作ってしまうのはさすがプロ。
◆人気のそらねこ作り体験にチャレンジ!
好きな猫の形を思い描いて作っていきます。置物以外にも、箸置きや小物入れ、お香立てなど自由に制作可能。ハマってしまう人は、なんと月1回訪れるとか。制作の目安時間は1時間ですが、3時間かけて作った人もいるそう。たっぷり遊んでも700円。平日は予約なしでも大丈夫ですが、休日は混み合うこともありますので予約しておくと安心です。
1.用意いただいたのは柔らかい設樂の赤土。たまごくらいの量。
2.まずは頭と胴体用に粘度を分割。手を雑巾で湿らせながら胴体部分を成形。足は別に作ってくっつけます。
3.頭の部分をのせ、つなぎ目を手でなじませます。
4.最後に8色のカラフルな化粧土を使って、楽しく色付け。
◆営業時間:10:00~18:00(体験受付は17:00まで)
◆定休日:水曜日(臨時休業あり)
そらねこ作り体験60分 1体1000円
電動ろくろ体験30分 1700円+焼成費(900円~)
※どちらも作品を焼いて受け取りまで約2ヵ月かかり、直接受け取りまたは発送(別途)となります。
御菓子司 「松愛堂」
尾道市に6店舗を展開する松愛堂(しょうあいどう)は、因島の特産、はっさくを使ったお菓子も有名ですが、なんと言っても猫好きにはたまらない、練りきりを使った猫型和菓子「尾道ゆるネコシリーズ」が秀逸! 職人さんが一つ一つ手間暇かけて手作りしているのだそうです。
創業大正10年という老舗和菓子・洋菓子店。
練りきりで作ったネコ型和菓子。こし餡のたま(猫顔)とみけ(三毛猫)、イチゴ餡の招き猫、キャラメル餡のトラ(茶トラ)の4種類。各税込250円、2匹入り(500円)、4匹入り(1000円)
こし餡はもちろん、イチゴ餡もキャラメル餡もそれぞれの豊かな風味が活かされた香り深い味わいです。このシリーズは生菓子のために店頭でしか購入できないレアもの。個別包装で1つから購入可能なので、猫友へのおみやげに喜ばれること間違いなしです!
◆営業時間:9:00~19:00
◆定休日:年中無休
「三阪商店」
日用の陶器だけでなく、「あのお店に行けば何か面白いものが見つかるよ」というオンリーワンの品ぞろえを目指しているのだそう。こちらのお店には「猫庵」というコーナーがあり、猫をモチーフとした作家作品がたくさん置かれています。陶器だけでなく、さまざまな猫グッズも。見るだけでも楽しめてしまう、猫好き大満足の品ぞろえです。
創業100年の老舗陶器店。
作家の猫モチーフ陶芸作品コーナー「猫庵」。
福山市在住の作家、やましたあきこさんの作品も。思わずクスリと笑ってしまう愛嬌のある猫たち。
お守りにもなる、色とりどりの猫だるま。合格祈願、縁結び、商売繁盛、招福など目的も表情もそれぞれ。
◆営業時間:9:00~19:00
◆定休日:木曜日(祝日は営業)
◆問い合わせ先:0848-23-3220
陶芸を体験したり、ショッピングを楽しめたり、猫たちに会ったり、尾道には猫の魅力がもりだくさん。そして猫だけでなく人々の優しさにも出会えるでしょう。ほっこりとした温もりに包まれる尾道に、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか♪