【獣医師監修】猫にきゅうりを与えても大丈夫? 猫にきゅうりを与える際のメリットと注意点

夏野菜の定番、きゅうり。夏の暑い日には、冷やしたきゅうりが恋しくなる人も少なくないと思います。ところで、猫はきゅうりを食べても大丈夫なのでしょうか。

  • サムネイル: PECO編集部
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

猫にきゅうりを与えても大丈夫

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結論からいうと、猫にきゅうりを与えても問題はありません。きゅうりはASPCA(アメリ動物虐待防止協会)の「猫に安全な植物リスト」にも掲載されている食べ物で、猫にとって有害となる成分も含まれていません。

猫にきゅうりを与えるメリット

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きゅうりは南アジアが原産の野菜で、現在では世界中で栽培されているポピュラーな野菜です。きゅうりにはビタミンCやマンガン、カリウム、βカロテンなどの栄養素に加え、抗炎症作用物質や抗酸化作用物質も含まれていることから、健康にも良い野菜であるといわれています。

しかし、その一方で含有されている栄養素があまり多くないため、「世界一栄養素の低い野菜」という不名誉な名前で呼ばれることもあります。

水分を豊富に含む

上述の通り、きゅうりの栄養価はそれほど高くありませんが、その分豊富に含まれた水分が特徴です。基本的に、野菜と果物は水分が豊富な食べ物ですが、きゅうりはなんとその95%が水分でできており、とくに水分量が多い野菜として知られています。

たとえば、きゅうりと同様夏によく食べるスイカの水分量は89%。こうしてみると、きゅうりの含水量が如何に多いかがわかります。

このように豊富な水分を含むきゅうりは、もともとあまり水を飲まない習性を持つ猫の水分補給にうってつけの食べ物といえるでしょう。気温が高い季節は猫の飲水量も増える傾向にありますが、気温が下がるとなかなか水を飲んでくれない時があります。

きゅうりは年中手に入る野菜なので、猫の飲水量が減っていると感じた時は、水分補給のためにきゅうりを与えるのもいいでしょう。

猫がきゅうりを食べずにシャリシャリと噛むだけで、水分が抜けた皮や中の種を吐き出したとしても、噛んでいる間に水分は吸収されているので、それだけでも効果的といえます。

きゅうりを猫に与える際の注意点

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このように、猫の水分補給に効果的なきゅうりですが、与える際には以下のようなポイントに注意しましょう。

きゅうりは皮をむいてスライスする

きゅうりの皮は必ずむいてあげましょう。きゅうりの皮についている突起(イボ)には雑菌がたくさん付着しています。これは、簡単な水洗いでは取り除くことができません。猫に皮がついたままのきゅうりを与えると、お腹を壊す原因になってしまうので注意しましょう。

また、きゅうりを含めた野菜は、完全肉食動物の猫にとっては消化しづらい食べ物です。猫にきゅうりを与える際は、薄くスライスしてあげることで食べやすく、また消化しやすくしてあげましょう。

腎臓病を発症している猫には与えない

きゅうりに含まれているカリウムは腎臓でろ過され、排出される仕組みとなっています。そのため、腎臓の機能が低下した腎臓病の猫にきゅうりを与えると、摂取したカリウムを排出しきれず、血液中にカリウムが残ってしまうことになります。

血液中にカリウムが大量に残ってしまうと「高カリウム血症」となり、猫のカラダに大きなダメージを与える可能性があります。カリウムの量によっては心臓機能が狂って不整脈を起こし、最悪の場合は死に至ることもあるので、腎臓病の猫にきゅうりを与えることは避けてください。

与えすぎは禁物

きゅうりはその成分のほとんどが水分なので、与えすぎると下痢を引き起こす可能性があります。また、健康な猫に対しても、多量にきゅうりを与えると高カリウム血症を発症する可能性がないわけではないので、与える際は必ず適量を守りましょう。

猫に与えるきゅうりの適量は、体重4kgの猫の場合、15g程度です。ただし、きゅうりに限った話ではありませんが、食べ物の許容量には個体差があります。猫にそれまで与えたことのない食べ物を与える場合は必ず少量からスタートし、様子を見ながら調整するようにしましょう。

人間用の味付けをしたきゅうりはNG!

人間用に塩をかけたり、ドレッシングをかけたりして味付けしたきゅうりは、猫に与えてはいけません。猫にとって塩分の過剰摂取になる可能性があるほか、人間用のドレッシングなどには猫が口にしてはいけない、玉ねぎなどの成分が含まれていることがあるためです。

玉ねぎの成分を猫が摂取してしまうと、「溶血性貧血(ようけつせいひんけつ/いわゆる玉ねぎ中毒)」を起こしてしまうおそれがあります。

猫がシャリシャリときゅうりを食べている姿は可愛いですが、与え方には充分な注意が必要です。また、良質なフードをしっかり食べている場合、それ以外の食事は基本的に必要ありません。ほかの食べ物を与えることで、それまで食べていたフードを食べなくなることもあります。猫の飲水量が減っていたり、食欲が落ちたりしていて、とにかく何か食べさせたい時などに参考にしてください。

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