【獣医師監修】犬が骨を好む理由と与える際の注意点
昔から、マンガに出てくる犬には「骨」がつきものです。実際に、犬は喜んで骨をかじりますが、最近では固い骨を与えるのは危険だという意見もあります。そこで今回は、犬と骨の関係について解説していきます。
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監修:電話どうぶつ病院Anicli(アニクリ)24 三宅亜希院長
犬に骨を与えるメリットとは?
まずは、犬に骨を与えるメリットについて考えてみましょう。一番のメリットは、カルシウムが補給できるということです。
もうひとつのメリットとしては、骨を噛んだり砕いたりすることで、犬の顎が鍛えられ、歯が丈夫になることが挙げられます。ドッグフードにはない食感が楽しめるほか、固いものを噛むことで、顎の筋肉の強化や歯みがきの効果も期待できます。
「生骨が良くて加熱骨は良くない」というのは本当?
骨の与え方については、様々な意見があります。中でもよくいわれるのが、「犬に骨を与える時は生骨にして、加熱骨は避ける」というものです。その理由は、加熱骨は砕けやすいので、破片が犬の口の中や内臓を傷つけてしまう可能性があるためです。反対意見としては、成犬の消化器官は発達しているので、骨の破片も問題なく消化できるというものもあります。
実際に実験が行われたことはないため確定的なことはいえませんが、加熱骨が鋭く尖ってしまうかどうかは、骨の部位や太さ、加熱方法などによっても異なるようです。たとえば、圧力鍋などを使って調理をした手羽先などは、人の歯と顎でも骨まで安全に食べられます。
また、生の骨に関しては、狼を始めとしたイヌ科の肉食獣は、捕食した動物の肋骨などやわらかい部分を食べたり、食料不足の際、保存用に土の中に隠しておいた骨を食べたりすることはあるようですが、わざわざ固くて太い部分の骨を好んで食べることは少ないようです。
また、動物園などで肉食獣に生の鶏肉などを与える際は、肉の上から叩いて骨を細かく砕いてから与えることもあります。どちらかというと、犬などの肉食獣は骨自体が好きというよりも、骨にこびりついている肉を食べるようにして骨をかじるのが好きだと考えられます。
与え方に注意して、おいしく食べさせよう!
犬に骨を与えることは、栄養や健康の面のメリットだけではなく、ストレス発散にもつながります。しかし、その与え方にはくれぐれも気をつけなければなりません。
まず、固すぎる骨は、犬の歯が欠けてしまうことがあるので与えるのは避けましょう。犬の歯は非常に丈夫ですが、骨を噛み砕こうとして逆に歯が欠けてしまう例は少なくありません。
また、骨のサイズにも注意が必要です。犬が丸飲みできるサイズの骨を与えてしまうと、噛むことなく丸飲みしてしまい、喉に引っ掛かったり消化不良を起こしたりすることがあります。
犬に骨を与える場合は、固すぎずやわらかすぎず、きちんと噛み砕ける、丸飲みできないサイズの骨が最適です。
そして、骨以外の食べ物にもいえることですが、いくら犬が骨を好きだからといって与えすぎは禁物です。また、犬によっては骨をうまく消化できず、下痢などを起こす場合もあります。
犬にとって、骨は与えるメリットが大きい食べ物ですが、与え方によっては犬を危険にさらしてしまうこともあります。犬に骨を与える際には充分に注意し、少しでも異常がみられた時はすぐに動物病院に連れて行きましょう。
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