【獣医師監修】金魚のカラダの表面に白いものが! 白雲病ってどんな病気?
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【獣医師監修】金魚のカラダの表面に白いものが! 白雲病ってどんな病気?

金魚は丈夫な観賞魚ですが、生き物である以上病気にかかることもあります。金魚の体表に白い斑点や膜のようなものがあったら、それはただの汚れではなく、死の危険もある感染症、白雲病かもしれません。

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監修:オールペットクリニック 平林雅和院長

白雲病の原因

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白雲病は病原虫である鞭毛虫のコスティアや繊毛虫のキロドネアが、体調を崩している金魚の体表に取りついて発症します。この病原虫は、体表の細胞や粘液から栄養を取り込みながら増殖していきます。
この病気は水槽内の水質の悪化や、急激な水温の変化が大きな原因となります。環境の悪化が病原虫の繁殖を助け、金魚の免疫力を低下させてしまうのです。水質の悪化は油脂成分の多いエサの与えすぎや、ろ過器内や敷石の汚れから起こります。気温や水温が変わりやすい早春や梅雨、秋口などは発症しやすい時期のため、とくに注意が必要です。

白雲病の症状

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白雲病の初期の段階は、金魚の体表やウロコに、白い雲のようなモヤっとした斑点状のものが現れます。症状が進むにつれ斑点状のものが膜状に広がり、1週間程で体表全体を覆っていきます。
白雲病の前兆、あるいは初期症状として現れる行動として、水槽の内側にカラダをこすりつける動きがみられます。発症後は食欲がなくなり、水面や水底に静止している状態が多くなります。白いモヤっとしたものは異常分泌した金魚の粘液です。白雲病の病原虫にとってはこの粘液が格好のエサとなり、さらに増殖してしまいます。金魚のエラにこの粘液が出ると、窒息死してしまう可能性もあります。

末期症状として、体表の粘液がなくなってザラザラした状態となり、充血や出血がみられることもあります。
とても進行の速い病気で、放っておくと1週間から2週間で窒息死、あるいは衰弱死してしまいます。

白雲病の治療方法

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白雲病の治療には、塩水浴と薬浴があります。白雲病の初期段階なら塩水浴で十分効果があり、重症化している場合は薬浴で治療します。
個体に白雲病の白い斑点を確認したら、まずはその個体をほかの水槽や容器に移し、ほかの金魚と隔離します。その後、白雲病の治療に入りますが、民間療法的には、食塩濃度0.5%の塩水浴槽(水1リットルに対して食塩5グラム)を作り、発症した個体を入れる塩浴がよく用いられています。食塩濃度0.5%は浸透圧を利用した除菌・消毒効果が期待できるだけでなく、金魚の体内塩分濃度とほぼ同じのため、金魚のエネルギー消費を抑え、金魚自身の自己治癒能力を高める効果があるといわれています。

症状の改善がみられない場合は、塩分濃度を高めたり、薬剤を使用した薬浴を検討します。また、「飼育環境に不備がないか」「環境性のストレスは解消されているか」など、見落としがないかを考えることも重要です。いずれにしても、獣医師や飼育員、魚病に精通している人に相談をして、飼育環境や飼育方法に問題がないかを確認してもらいましょう。その際にはなるべく確定診断を行い、その結果を踏まえて高濃度の塩浴、または市販のグリーンFゴールド顆粒やメチレンブルーを使用した薬浴に移行しましょう。

最後に、基本的なことでありますが、水温や水質管理は重要です。病気になるバックグラウンドを理解しましょう。水温20~23℃を目安として、ほぼ一定の水温を保つようにすることや、pHなどの水質を管理することが大前提であることを常に心に留めておきましょう。水温が一般的な至適温度である26℃を超えてしまうと、様々な病気の発症や体調不良の原因となります。また、至適pHを保つための、デジタルpH計装置などを設置することも大切です。

白雲病の予防方法

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白雲病は進行が速いため、時として即時の判断が結果を左右することもあります。塩水浴や薬浴の用意はもちろん、実施の決断、飼育環境の改善が良い結果につながることは間違いありません。まずは白雲病にかかることがないように、予防を心がけることが重要です。大きな原因である水質の悪化と水温の変化を抑えるために、日々のお世話と注意深い観察を続けてください。水質の悪化のおもな原因となるエサの与えすぎに気をつけて、水槽の水の入れ替えや大掃除を忘れずに行いましょう。また、季節の変わり目の水温の変化も要注意。金魚に悲しい思いをさせないように、愛情をこめて管理しましょう。

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