猫びより
野性味と優雅さがお好き? ~フランス人が憧れる猫~【from France】

野性味と優雅さがお好き? ~フランス人が憧れる猫~【from France】

(猫びより 2017年9月号 Vol.95より)

  • サムネイル: 猫びより編集部
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フランスで猫の取材を続けること14年余り、時折キャットショーへのお誘いを受けることもある。いろいろな猫と出会う中、ふと気がついた。フランスでアメリカン・ショートヘアを見たことがない! 日本ではキャットフードのデザインにも使われるくらいにお馴染みの猫なのに? そこでFFF(フランスの猫種登録団体)や、LOOF(純血種の猫の出生を管理する機関)に、フランス人が憧れる猫種を尋ねてみた。

ダントツの人気を誇るのは、イエネコとしては最も大きなメインクーン。LOOFによると、出生届が出される猫の1/3はメインクーンなのだとか。好まれる理由には、フランスらしい意外な事情がある。

イエネコとしては最も大きなメインクーン

メインクーン。
いまギネス記録の候補にあがっている子は、体長120センチ、体重14キロの大きさ!

フランスはもともと「お犬さま天国」だった。しかし1990年代からペットとしての猫の数が犬を上回り始める。ライフスタイルが多忙かつ多様になるにつれ、ゆったりと朝夕の散歩に犬を連れて行く時間などが限られてきたからだ。ちなみにゴミや吸い殻のポイ捨てが目立つフランスは、路上に「犬の落とし物」が多いことでも有名。歩いていると、不注意で犬の糞を踏んでしまい、転んで入院する高齢者も少なくない。

落とし物の放置が見つかった場合、今では183ユーロ(約23000円)の罰金が科せられる。いっぽうで、パリや都心部で広々とした家に住める人はごく僅かだが、フランスの賃貸は基本的にペットOK。狭い家に大きな犬がいることも、ごく当たり前だった。

日本のように、「うちの家は狭いから、大きな動物は飼えないわね」という心配はしない。「大きな動物と暮らしたい! でも犬の世話は難しそう……」と考える人が、犬のように大きなメインクーンを選び始めたのである。じっさいに一緒に暮らしてみると、猫なのに水遊びが好きといった犬っぽさもあり、性格は温和ながら迫力と威厳がある。しかも食事代は大型犬よりも遙かに安いというおまけ付き。完璧なパートナーであるらしい。

「ビルマの聖なる猫」と呼ばれるバーマン

「ビルマの聖なる猫」と呼ばれるバーマン。
釈迦の生誕よりも起源は古いという説も

ベンガル

ベンガル。
身のこなしも野性味たっぷりだが、甘えん坊な性格らしい

ほかに人気の猫種は、青い瞳が美しいバーマンや、野性味あふれるヒョウ柄のベンガル、柔らかな毛並みのペルシャ、フランスならではのシャルトリューと続き、その後もあまり日本では見かけない猫種が並ぶ。

ペルシャ

ペルシャ。
フランスでは不動の人気を誇るが、毛並みの手入れの難しさは飼い主さん泣かせ

「フランスの宝」と称されるシャルトリュー

「フランスの宝」と称されるシャルトリュー。
元フランス大統領シャルル・ド・ゴールの愛猫でもあった

日本であえて純血種を選ぶなら、丸顔&童顔のカワイイ系が人気のように感じられるが(そう言えば和猫の魅力も、あの福顔にある)、フランス人は猫の野性味や優雅さ、独立心を愛でるのかもしれない。

もっとも洋の東西を超えて、猫好きは猫好き。人と暮らす猫のほとんどはミックスで、純血種を選ぶ人は一割程度。でも「うちの子」に求める魅力は、日本人とフランス人では、ちょっと違うのかも?

(文・堀晶代)
写真・Christine Chaniel (Studio In’ Clic)

Akiyo Hori
日仏を往復するワイン・ライター。著書に『リアルワインガイド ブルゴーニュ』(集英社インターナショナル)。
大阪の自宅には拾ったメインクーンとアメショーが2匹。

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